各社の復刻状況
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音源復刻に関しては現存するどのレコード会社も行っているが、その状況については会社によって大きく異なる。 年代別 昭和40年代 第一次懐メロブームの時期でもあり、またレコード購入層が当時“リアルタイム”だった世代でもある。ステレオ音源に似せたいわゆる疑似ステレオ化されたものが多く、歴史資料的にみると音は醜いものが大半である。また、復刻された曲はヒット曲がメインである。 昭和50年代 昭和初期創業した各社が創業50周年の節目を迎え、歴史的資料(ノン・ヒット曲を多く収録)としての復刻をしたものが各社から発売された。特にコロムビアから発売された30枚組がレコード大賞特別賞を受賞した。他にビクターから戦前10枚・戦後8枚(のちさらに30枚組)、ポリドールから戦前・戦後それぞれ10枚組、キングから25枚組、テイチクから10枚組、ニットー・タイヘイ・マーキュリーから24枚組(通販のみ、元々25枚組だったが最後の1枚は諸般の理由によりカット)と組み物として発売されている 昭和60年代~平成初期 21世紀を迎えさらに20世紀の遺産としての位置づけで未復刻のものを中心にCDとして発売されている。 レコード会社別 コロムビアは、最も積極的に復刻を行っている。昭和30年代に既に復刻を行った実績があり、昭和40年代頃から次々と自社の持つ大量のSP音源を利用して歌手別の復刻を行った。特にごく一時期しか在籍しなかった楠木繁夫や津村謙など、会社内ではマイナーな存在である歌手の音源を大量に復刻したのは他社に例がない。CD時代になっても定期的にSP音源を復刻し続け、最近では「音聴盤」と称する廉価の復刻盤も販売している。 テイチクは流行歌時代からある会社の中でも特に消極的。「流行歌」そのものの復刻には積極的であるものの、その音源は後述のステレオ音源に頼っており、楠木繁夫などステレオ音源がない歌手以外、SP音源はほとんど復刻された実績がない。同社を大手にのし上げた藤山一郎のものですら過去数えるほどしか復刻されていない。ようやく平成期に、デイック・ミネ、古賀政男の作品集上下二巻、ジャズソング全集が出た程度である。 ポリドールは復刻には比較的積極的であるが、東海林太郎と上原敏に大きく比重が偏っている。同社の流行歌時代はこの2人が牽引したと言っても過言ではなく、また現在でも根強い人気があることから集中的に復刻が行われていると考えられる。ただし、CD全集になると東海林は出ているが上原のはまだ出ていない。また、田端義夫・北廉太郎など他の歌手については、何度か個人で復刻された実績のある歌手もいればオムニバスなどで思い出したようにしか復刻されない程度の歌手もいるなど、各々の歌手間で差が大きく不均一で、その点ではコロムビアに劣る。 キングは復刻には積極的。同社の勢力が大きかったのが戦後であるため戦後の曲が中心であるが、歌手別の復刻盤を出すなど他社と比較しても多い方である。全集類では戦前の曲や会社設立期の曲も積極的に復刻し、貴重な音源を提供する。 ビクターは昭和の終わり頃まで金属原盤をほぼ完全な形で保管していたこともあって他社と異なり戦前の曲は“原盤”から、戦後の曲は他社同様“盤起こし”でほぼ流行歌時代全てに渡って復刻を行っている。歌手別の復刻盤も出しており、特に藤山一郎については何度も復刻。コロムビアとテイチクにはさまれて影が薄れがちなビクター時代の貴重な音源を提供している。 このほか、会社同士の協力による横断復刻が行われた例がいくつかあるが、そもそも流行歌の復刻自体が「需要が少ない」と軽視されている面があるため、どの会社も相互協力には腰が重く、大部なものしか発売されたことがなかった。しかし2008年(平成20年)1月、上記の大手5社の協力で「青春歌年鑑」シリーズの姉妹盤として「青春歌年譜」シリーズがCD2枚組・全10巻という比較的手に入れやすい形で発売され、会社をまたいだ流行歌の鑑賞が楽に行えるようになった。
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