古西部
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 14:41 UTC 版)
アメリカ合衆国東部の諸州からオレゴン・トレイルを通って西部領土へ多くの移民があったのは1840年代からである。1849年のカリフォルニア・ゴールドラッシュによって、カリフォルニアは数ヶ月間という短期間で急速な拡大を遂げ、1850年には他の州が経験したような準州という移行期を経ずしていきなり州に昇格した。アメリカの歴史で最大の移民は、末日聖徒イエス・キリスト教会が西部での安全を求めて中西部を離れた1840年代に起こった。1850年代は南北戦争に導く国家的問題の一部をなした政治的な議論が特筆される。この中で1850年の和解によりカリフォルニアは奴隷を認めない自由州として設立された。カリフォルニアは南北戦争の時は、主戦場から遠く離れていたためにほとんど役割が無かった。南北戦争の終戦後、多くの元アメリカ連合国支持者がレコンストラクションの最終期にカリフォルニアに移民してきた。 19世紀遅くから20世紀初めのアメリカ西部の歴史は、文学や映画の世界で文化的ミトスを生んだ。カウボーイのイメージ、入植者および西方への拡張は実際に起こったことであり、少なくとも1920年代以降のアメリカ文化に影響を与えた西部の神話となっていった。 マーク・トウェイン、ブレット・ハートおよびゼーン・グレイといった作家達がカウボーイの文化を賞賛したりけなしたりする一方で、フレデリック・レミントンのような美術家達は西部開拓を記録する方法として西部美術を作り上げた。特にアメリカの映画は西部劇というジャンルを創出し、多くの場合は自立自尊とアメリカ気質という美徳に対する喩えとして西部を使った。西部について文化のロマン主義と西部開拓史の現実との対照は、20世紀遅くから21世紀初めにかけての西部に関する学会のテーマとなってきた。カウボーイの文化はアメリカの経験の中で共通の文化的試金石として埋め込まれ、現代ではカントリー・アンド・ウェスタンや画家ジョージア・オキーフの作品といった形で、人の少ない気候も厳しい地域で精神に吹き込まれた孤独や独立の感覚を賞賛してきた。 急速な発展を経験した結果として、多くの新しい住民は個人的な失敗や前の共同社会での敵意などの前歴を持って、新しい出発をするためにまた新たな土地に動いた。新たな土地でより実務的な目標を抱いてやって来たこれらの人々によって、その地域では自己決断力や個人的自由の強い精神を発展させ、その住人は前もっての関係も無く共通の観念や忠誠心も無い共同社会を作り上げた。この地域の広々とした土地があって、住人は東部の都市よりも隣人から距離を置いて住むことができるようになり、他人の異なる価値観や目的を認める倫理観が発達した。カリフォルニア州憲法は、個人の財産権や個人の自由に重きを置き、市民社会の方向に向かう理想を犠牲にする集団によって起草された。
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