冷戦後の中国脅威論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 13:48 UTC 版)
冷戦の終結後は、ならずもの国家の脅威が論じられ、東アジアにおいてはジョージ・W・ブッシュによって北朝鮮が名指された。 中国脅威論は米国の産業政策復活を後押ししており第二次世界大戦後、75年以上続いた「パクス・アメリカーナ」が米中ハイテク冷戦により存続が危ぶまれることで産業政策導入の機運を高めていることが指摘されている 2000年代にはテロリズムの脅威と“ならずもの国家”の脅威が結びつく一方で、中国脅威論も再び台頭した。西側諸国では近年[いつ?]の中国脅威論では過去数十年単位で見た軍事費の伸び率の高さや不透明性、共産主義国家としての報道・言論規制、国境線問題、抑圧的な人権政策、愛国主義的歴史教育、輸出の拡大による貿易摩擦、甚大な環境破壊、資源の囲い込み等から今後中国が周辺諸国の又は地球規模での脅威となっていくとする見方で、この論説は、日本・台湾・米国・オーストラリア・ベトナム・インドなどで展開されている。また米中冷戦とともに言及されることがある。 沖ノ鳥島 中国の輸入原油の80%がマラッカ海峡経由である(2004年限在)。 21年連続2桁増で急増する軍事費、軍事費の内訳の不透明性、兵器や人員の実態の不透明性、核戦力の充実、日本の沖ノ鳥島における排他的経済水域の否定、数々の示威行為(人工衛星破壊・アメリカ海軍原子力空母至近での潜水艦浮上・日本の領海侵犯・排他的経済水域での無断調査・台湾近海でのミサイル演習)により、中国脅威論が展開されている。2006年のアメリカ国防総省の年次報告書では、軍事費の増大などを背景に「周辺諸国への潜在的な脅威になっている」と述べている。 経済大国として「世界の工場」と呼ばれる中国は廉価な製品の輸出によって他国の現地産業を圧迫しているという脅威論もある。 この輸出攻勢の背景には外資の誘致による工場の乱立や安い人件費の他に、中国当局が固定相場制によって人民元が輸出に有利になるよう誘導している背景があり、人民元の変動相場制への転換圧力にもなっている(人民元改革も参照)。 中国は10億を超える人口を抱えていること、エネルギー効率が悪いことから石油等地下資源の確保に積極的なため、新たな脅威論の要因となっている。2005年には米国大手石油会社・ユノカルの中国企業中国海洋石油総公司による買収騒動はアメリカ議会上院が法案を出すほどの事態に発展した。 この他、中国からの移民は世界各国で摩擦を生んでいる。 古くから東南アジア諸国などでは華僑が国の政治・経済に大きな影響力を有しており、近年では欧米や日本への移民の急増により、各地でチャイナタウンが形成されるなど、存在感を増している。 中国の軍事的な脅威として中国人民解放軍によるサイバーテロが論じられもする。ニューヨーク・タイムズは、ダライ・ラマ14世のコンピューターなど、103か国の政府や個人のコンピューターが、主に中国からのサイバー攻撃を受けていたと報じた。 またF-35戦闘機の機密情報にアクセスしようというサイバー攻撃があったことを、アメリカ空軍が発表している。 2010年には米国の調査機関が中国人民解放軍陸水信号部隊によるサイバー攻撃の事例を発表した。 2012年3月11日のサンデー・タイムズは、中国のハッカーがF-35戦闘機のデータを盗み出すため、BAEシステムズのコンピューターに侵入していたと報じた。
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