内市街の世俗建築
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1970年代以降に敢行された内市街再開発で、いくつかの箇所でははっきりと認知できるほど都市景観が破壊された。13世紀に建設された市門は、特に南側の西側にわずかな痕跡をとどめるだけになった。保護文化財に指定されている「ディッカー塔」の基部は、「アム・ディッケン・トゥルム 19」という建物の中庭にある。それでも、たとえば「クナレンブリンク」や「ジューデングラーベン」などの魅力的な街並みが遺るところもある。 最も古い世俗建築は、マリエン教会(オーベルステ・シュタットキルヒェ)の近くにある1230年頃の建物である。この建物に、1609年にラテン語学校が入居した。この学校からメルキッシェス・ギムナジウム・イーザーローンが設立された。19世紀には牢獄として使われ、その後幼稚園となった。1971年からは、福音主義ブルクアーカイブおよびファルンハーゲンシェ図書館が入居しており、15世紀から18世紀の史料を大量に収蔵している。 フリッツ=キューン広場の、1720年に建設された「ハウス・デア・ハイマート」には、市立博物館が入居している。この建物はマンサード屋根と中央リザリート(ドイツ語版、英語版)を持ち、その正面に屋外階段を持つ美しい玄関を備えている。同じ時代の別の建物としては、1730年頃に建設されたマウアーハウスがジューデングラーベン28番地にある。「ハウス・デア・クライネン・ロイテ」(直訳: こびとの家)とも呼ばれるこの小さな民家は、公益協会「イーザーローン=デンクマール」によって完全に修復され、訪れることができる。アンデア・シュラハト2番地の建物は、1755年に建造されたバロック様式の玄関を有している。この建物はもともと市の行政庁舎 I に付属していたが、1974年の再開発で行政庁舎が取り壊された。この他の18世紀から現存している建物には、1748年建造の寄棟屋根の漆喰塗り建築「ランペルマンシェス・ハウス(旧ランペルマン邸)」や「フォン・シャイプラーシェス・ハウス(旧シャイプラー邸)」がある。後者は、イーザーローンの織布職人でテキスタイル工場の工場主でもあったヨハネス・ルーペの住まいとして、建築家 J. H. ラフロイアー(1730年 - 1787年)によって1783年に建設された、高い1階部を持つ4階建ての漆喰塗り石造建築である。正面には平屋根を戴く中央リザリートが設けられている。 市内には多くの役場が存在した。イーザーローンの4代目の市役所であったアルター・ラートハウスプラッツ(旧市役所広場)に面した旧市役所は1875/1876年に建設された。古い正書法にしたがえば、Rathhaus と表記される。その先代の建物は、イーザーローンで最初の石造の市庁舎で、1738年頃にその機能を失った。この市庁舎があった場所は精確には分かっていないが、おそらく旧市庁舎の近くであったと推測されている。それ以前の2つの市庁舎についてはほとんど情報がない。旧市庁舎は、1974年に議会や市の行政機関がシラー広場の新市庁舎に移された後、イーザーローン市立図書館の本館となっている。 シラー広場の新市庁舎(1974年建造)は、イーザーローンの歴史上5代目の市庁舎である。地上9階のこの建物は、内市街で最も高い建物の1つである。この地方でかつて行われていたガルマイ鉱(ドイツ語版、英語版)(菱亜鉛鉱と異極鉱の総称)採掘のため、建物の一部は数 cm 沈み込んでいる。 20世紀の建築様式も内市街に作例がある。南西端のシュタットバーンホーフの近くに旧市営浴場の建物がある。この建物は1908年にユーゲント・シュティール様式で建設された。この年の5月5日にイーザーローンで最初の浴場施設として開館した。ここのは大きな水泳用水槽の他に、シャワー施設、公衆浴場、医療用浴場もあった。保護文化財に指定されたユーゲントシュティール様式の建物の一部を含むこの場所に、老人ホームが建設され1987年に運用が開始された。塔、ユーゲントシュティール様式の階段室、モザイクが施された旧玄関が遺されている。 イーザーローナー・クライスアンツァイガーの出版社の社屋は、この新聞の創設者にちなんで「ヴィッヒェルホーフェンハウス」として知られている。この建物は、4階建てのレンガ建築で、中央部へゆくにつれ階段状に高くなっている。この建物は1927年に新即物主義様式で建設された。装飾は主に表現主義の影響を受けている。内部にはクリスタル・ガラスの表現主義様式の窓がある。同じく表現主義様式のレンガ建築が、イーザーローンで育ったハンブルクの建築家カール・ベンゼルが1924年から1925年に建設した「ホイテルベック邸」である。 ジューデングラーベン28番地の民家(ハウス・デア・クライネン・ロイテ) 旧ランペルマン邸 旧シャイプラー邸 ヴィッヒェルホーフェンハウス ホイテルベック邸
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