六段目:釣船三婦内とは? わかりやすく解説

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六段目:釣船三婦内(通称:三婦内)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 13:56 UTC 版)

夏祭浪花鑑」の記事における「六段目:釣船三婦内(通称三婦内)」の解説

七月の暑い盛り高津神社宵宮の晩のこと。磯之丞は、団七紹介内本町道具屋の手となったが、義平次らに金を騙し取られそうになり、共犯仲買弥市殺し琴浦とともに三婦の家に匿われている。そこへ、徳兵衛女房お辰尋ねてくる。夫婦そろって国許帰るための暇乞いである。三婦の女房おつぎは、早速磯之丞を一緒につれて帰ってほしいと頼む。二つ返事快諾するお辰だが、三婦が承知しない、「こんたの顔に色気があるのじゃ」というのが理由で、万が一お辰と磯之丞との間に関係ができてしまうのを恐れているのだ。「それでは、妾の顔が立たぬぞえ、立ててくだんせ、もし、三婦さん」と憤るお辰だが、三婦はうんといわない思い余ったお辰は傍にあった焼き鏝を己の頬にあて、「これでも思案のほかという字の色気ありんすか」と自身美貌醜くしてまでの心意気を示す。感心した三婦は承諾する。 そこへ、と八がきて琴浦拉致ようとする信心のため喧嘩止めていた三婦は我慢ならず、おつぎと、「こりゃ!嬶、どうでも、切らなあかんなあ」「ほんなら、こちの人、切らしゃんすのかい」「おお、切らいでどうする」と相談すると八は老人思って舐めてかかり「おお、おもろいなあ、切るんかい」「切ってもらおうかい」「さあ切れ!」「ええ、キリキリと切りさらせ!」とすごむ。三婦は、耳につけていた数珠を引きちぎり「じゃかましいわい、わいが切るのはこの数珠じゃ、切ったからには元の釣船、うぬらに遠慮がいるものかい」とあべこべにと八をけり倒してお前らそこで待ってけつかれ」と、着替えたあと、長ドスひっさげ佐賀右衛門を斬りに行く。お辰はおつぎに見送られ、磯之丞とともに家を去る。 入れ違いに義平次駕籠連れて門口現れ、「年取って子供使われてます、団七頼まれ琴浦引き取りきましたのでな」とおつぎに訳を話しそそくさ琴浦駕籠乗せて連れて行くそのあと、三婦、徳兵衛とともにやってきた団七お辰から事情聞かれる自身言った覚えがない。どうやら佐賀右衛門欲深い平次使って琴浦攫う算段のようだ団七急いで駕籠のあとを追う。 見どころ この場面で東京は「聖天」。上方は「だんじり」の下座使用される幕開け祭礼音楽聞こえ獅子舞家の中踊り女房おつぎが祭り時に食べ焼いているという、真夏時の大阪下町見事に活写されている。なお、獅子舞は家の様子探りに来たと八であることが示され後半部への伏線が貼られている。 この場は三婦が主役である。人生辛酸知り尽くした侠客心意気求められ硬軟取り混ぜた見せ方が難しい。十三代目片岡仁左衛門その意味で最高の三婦を見せたといわれている。ほかには、三代目市川左團次八代目市川團蔵七代目嵐吉三郎四代目尾上菊次郎など腕達者脇役印象的だった近年四代目市川段四郎坂東彌十郎四代目市川左團次が得意としている。また、数珠を切り刀を引っさげての入りでは雲竜墨絵模様帷子を着るが、これは団七刺青引き立てるための演出である。 お辰は三婦役の役者に対抗できるだけの芸力が求められる今日では四代目澤村源之助やり方主流である。とくに引っ込みの際、おつぎに声をかけられたあと、「こちの人が好くのはここやない」と顔を指し「ここでござんすごめんやすと胸をたたく爽快な演出は源之助の考案したもの。十七中村勘三郎十八代目中村勘三郎父子は、それぞれ団七との早替わり二役をつとめている。また、衣装も黒帷子黒繻子の帯、浅黄綿帽子、それに日傘差して出る美しい夏いでたちとなっている。顔のやけどを盆に移し見て、その盆を畳について三婦を見上げる型もある。 三婦女房おつぎは、ごく普通の市井一女房だが、反面、老侠客連れ合いの味を出すことも求められ、脇を固め重要な役柄である。十三代目片岡我童のおつぎは上方風色気漂わせ絶品だった。三婦がと八を追い立てて花道を去るときは「ようよう○○屋!」と三婦役の役者屋号呼びたて客席沸かせる演出となっている。 前半部のおつぎと三婦のやりとり中心とする重苦しさから、後半部の三婦の数珠の件からは一転して人物の出入りめまぐるしい快速運びとなる。幕切れ近く団七一散に花道に入る時は、東京では「聖天」の囃子花道七三にかかり、見得をして引っ込むが、上方では「だんじり囃子」をクレシェンドもりあげ団七の焦る心中上手く表している。そして、韋駄天走りという独自の引っ込みの型をとる。

※この「六段目:釣船三婦内(通称:三婦内)」の解説は、「夏祭浪花鑑」の解説の一部です。
「六段目:釣船三婦内(通称:三婦内)」を含む「夏祭浪花鑑」の記事については、「夏祭浪花鑑」の概要を参照ください。

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