先進国の公的規制とラディカル・フェミニズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 22:35 UTC 版)
「ゲーマーゲート論争」の記事における「先進国の公的規制とラディカル・フェミニズム」の解説
詳細は「表現の自由」および「性的対象化」を参照 1982年、キャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンが主導する形で、性差別を扇動する内容のポルノグラフィを禁止する「反ポルノグラフィ公民権条例(Antipornography Civil Rights Ordinance)」の制定を目指したが、ミネソタ州長が拒否権を行使した為に不成立となった。 1986年、インディアナポリスが「ポルノグラフィ」を「女性に対する差別行為」と定義するポルノグラフィ規制法を制定したが、表現の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に反しており、違憲無効であるという判決が下された(アメリカ書籍業協会対ハドナット裁判)。 1992年、カナダの最高裁は、キャサリン・マッキノンとアンドレア・ドウォーキンが起草した「反ポルノグラフィを掲げるモデル法」を採用した。わいせつ物規制をモラルや道徳を理由に行うのは表現の自由を侵害するため違憲だが、わいせつなポルノは平等権侵害であり、規制は合憲であるというもの(バトラー判決、バトラー裁判)。以降、カナダでは制作過程で実在の人物が被害にあった性的表現も、完全なフィクションで制作過程に被害者のいない表現も、等しく違法ポルノとみなされることとなった。この「反ポルノグラフィを掲げるモデル法」は、ドイツ、フィリピン、スウェーデン、イギリス、ニュージーランドでも導入された。 しかし2000年代には、アメリカ、オランダ、スウェーデン、ドイツの最高裁で「実在の被害者がいる児童ポルノと、創作物を同じとすべきではない」という判決が下っている(アシュクロフト対表現の自由連合裁判、スウェーデン漫画判決など)。 2014年、インターポール(ICPO)は『重大な犯罪には深刻な定義を』という趣旨で、「児童ポルノ (child pornography)」は不適切であり「児童性虐待記録物 (CSAM:child sexual abuse material) 」として表現すべきという表明を行い、NPO法人うぐいすリボンが邦訳を公開した。また2016年6月、『児童を性的搾取と性的虐待から保護するための用語ガイドライン(原文:Terminology guidelines for the protection of children from sexual exploitation and sexual abuse)』、通称「ルクセンブルク・ガイドライン」に賛同を表明した。 「児童性虐待記録物(CSAM)」とは「必ずしも明示的に児童の性虐待を描写するものではなくても、児童を性対象化し児童を搾取するあらゆる記録物」を意味し、「児童ポルノ」に関する既存の国際協定等での定義には、この性的搾取に類する性的行為が網羅されておらず、CSEMはこれらに該当するとした。日本国外の司法当局では、現行法の適用外にある児童性搾取記録物をCSEMと表現するようになっており、着エロ(child erotica)も含まれている。これらはIT翻訳・通訳者のT.Katsumiがブログで翻訳を公開している。 関連して日本国内では2014年、衆議院・参議院の全国会議員721名に対し、「児童ポルノ」ではなく「児童性虐待記録物」と呼ぶよう求めた署名活動が行われ、漫画家やリベラル・フェミニストらを中心に13,200人の賛同者を得て提出された。山田太郎は、「児童ポルノは解釈が生まれる余地があるが、性的な虐待の記録であれば解釈の余地は生まれにくい」「制作過程で被害者のいない創作物に対する規制はされなくなる」と、賛同の見解を示した。
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