作品の批評
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2013年3月26日の朝日新聞には4人の論評が掲載された。筆者、題名、文章の一部は以下の通り。 山本晋也は『愛する者との別れ慰める』という題で、「若くして死を覚悟した愛が、純に言い聞かせたでしょう。『どんなに愛し合った者も、いつかは別れないといけない』『神様は全知全能じゃない。ちょっとしたことしかできないんだ』。稀有なことが起きて2年。今も助けを求めている人たちへの慰めに聞こえるんだ。50年近く朝ドラと付き合ってきたが、定番は主人公の一代記。でも今回は社会派、人間派の斬新な朝ドラだね」と述べている。 藤田真文は『「心を読む」禁じ手破り新鮮』という題で、「ヒロインの夫・愛が他人の心を読めてしまうという設定は、近代の物語では禁じ手だった。相手の心中がわからないがゆえのすれ違いや苦悩からこそ、ドラマが生まれると考えられているからだ。でも、度胸よくやってみると違和感がなく、新鮮だった」と述べている。 田幸和歌子は『醜さ抱えた人間像に共感』という題で、「ヒロインの味方ばかりでご都合主義だった従来の朝ドラとは違い画期的だ」「醜さを抱えた人間はリアルで誰にも思い当たる節がある」「物語の展開には不満もあるが、従来的価値観への批評性だけは色濃く感じました」と述べている。 山下柚実は『感情共有の過程まで壊した』という題で、「『家政婦のミタ』も刺激を投入していく手法は同じだが、朝ドラはほぼ毎日15分、半年間見続けるもの。視聴者がこまやかな感情を登場人物と共有し、自分の気持ちを発酵させていく過程こそが真骨頂なのに、そのプロセスまでもが壊されたのは残念だ」と述べている。 第76回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では、夏菜が主演女優賞3位、風間俊介が助演男優賞2位、となった。風間に対しては『素朴で不器用で優しい役にリアリティーがあった』という評があった。「純と愛」についてコメントした審査員の評は以下の通り。 松尾羊一は「『魔法の国』を夢見る破天荒な飛躍を恐れない物語があったりする。リアリズムの奴隷に甘んじていた古いドラマ観を突き破るようなドラマが目立ったクールである。玩具箱をひっくり返したようなポップな物語性の中にこそリアリティーがひそむ〝逆説の時代〟なのだ」と評した。 稲増龍夫は「『純と愛』はあえて朝ドラにエキセントリックでジェットコースター的世界を導入した意欲は買うが、やり過ぎだったかも。でも、他が低調だったので消去法で高評価となった。こちらも役者陣は熱演だったが、風間のジャニーズらしからぬ空気感が収穫だった」と評した。 北川昌弘は「夏菜はとんでもないドラマに主演させられて不憫」と評した。 上記の松尾羊一は、「意気込む制作側とお茶の間に大きな温度差を感じる。朝ドラの歴史を覆したいという遊川氏の本気度がうかがえる」とも評している。
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