事例:ネイティブ・アメリカンの文化盗用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 07:54 UTC 版)
「文化の盗用」の記事における「事例:ネイティブ・アメリカンの文化盗用」の解説
批評家の間では、先住民の文化の誤用や詐称は、植民地主義の搾取形態の一つであり、先住民文化の破壊の一歩と見なされている。このような先住民文化の悪用の結果、いくつかの部族や国際連合総会はこの問題についていくつかの宣言を発表している。『ラコタ族の精神文化の搾取者に対する宣戦布告』には次のような一節がある。 我々は、非インディアンによる我々の儀式の収奪に「お墨付き」を与えるために我々自身のコミュニティの中から現れた、いかなる「白人のためのシャーマン」に対しても、ゼロトレランスの姿勢を主張する。そのような「プラスチック・メディシンマン」はすべて、ラコタ、ダコタ、ナコタの人々の敵である。 先住民族の権利に関する国連宣言の第31条1項には次のように書かれている。 先住民は、自己の文化遺産、伝統的知識、伝統的文化表現を維持、管理、保護、発展させる権利を有する。また、人的及び遺伝的資源、種子、医薬品、動植物の特性に関する知識、口承、文学、デザイン、スポーツ及び伝統的ゲーム並びに視覚的及び実演的芸術を含む、科学、技術、文化も同様である。また、彼らは、そのような文化遺産、伝統的知識、伝統的文化表現に関する知的財産を維持、管理、保護、発展させる権利を有する。 アメリカ合衆国で1970年頃から活動しているカウンターカルチャー・ニューエイジのグループ、レインボーファミリーには、「このグループはホピ族の長老や他の先住民からネイティブアメリカンの予言(いつかレインボーウォリアーが来て世界を救う)の成就である」というレインボーに関する流言があり、このことがレインボーファミリーによく見られる文化の盗用を許していた。マイケル・I・ニマン著『People of the Rainbow: A Nomadic Utopia』(1997年)によると、この神話のルーツは『Warriors of the Rainbow』という1962年に出版されたキリスト教福音派の冊子にまでさかのぼる。それはネイティブアメリカンのコミュニティ内で伝道する試みであり、先住民に対する攻撃であった。2015年、アメリカ先住民の学者や作家のグループは、レインボーファミリーの搾取行為に対して声明を発表した。「レインボーのメンバーは無自覚かもしれないが、彼らは、私たちの文化と人間性を我々の土地のように誰でも自由にできると暗示している。我々先住民族の戦いの部外者であるレインボーギャザリングは、善より悪をもたらしているし、今後ももたらすであろう。」 先住民の知的財産について書いた記事の中で、NARF(Native American Rights Fund)の理事レベッカ・ツォシエ教授は、これらの財産権が個人ではなく集団で保有されることの重要性を強調している。 長期的な目標は、実際に二つのことを認める法制度を整備することである。第一に、先住民は自決権を持つ人々であり、それには先住民に属するすべての財産に対する統治権が含まれることである。第二に、先住民の文化表現も伝統的知識も知的財産の一形態であるが、それらは集団に属する資源であり、一個人がそれらの資源の権利を譲渡することはできないということである。部族国家は実際にそれらを集団で所有している。
※この「事例:ネイティブ・アメリカンの文化盗用」の解説は、「文化の盗用」の解説の一部です。
「事例:ネイティブ・アメリカンの文化盗用」を含む「文化の盗用」の記事については、「文化の盗用」の概要を参照ください。
- 事例:ネイティブアメリカンの文化盗用のページへのリンク