中心市街地活性化基本計画の課題
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「ぶらくり丁商店街」の記事における「中心市街地活性化基本計画の課題」の解説
商店街の衰退を招いている要因として、和歌山地域経済研究機構の「ぶらくり丁活性化・再生研究会報告書」では「事業改善の個別相談を希望する商店主が6人に留まり、60代が大半を占める商店主のうち5割近くが後継者がいないと答えるなど、事業者の商業再生に対する意欲が不足しており危機意識が低い」と指摘している。ぶらくり丁活性化・再生研究会の調査報告書でも「地権者を含む商店経営者の自己再生の努力がまず先行しなければならない」と地元商店主達の奮起を促している。市民からも商店街の自助努力の不足が指摘されている。しかし、そうした精神論的主張に対しては「商店街が衰退する根本原因は社会や都市の構造的なもので、商店主のがんばりだけでは問題は解決しない」という批判もある。 「シャッター通り#原因・背景」も参照 また、ぶらくり丁活性化・再生研究会の調査報告書では「不特定多数の人々が集まる公共的な大規模施設を誘致するなど都市機能の再拡充が必要だ」と指摘された。郊外に対する投資を抑制してでも中心市街地に公共投資を行って中心市街地に誘導しようというコンパクトシティ建設へ政策転換をすべきという意見はあるものの、和歌山市は郊外から中心市街地に投資をシフトするという明確な表明は行っていない。 実際の和歌山市の施策には、これとは逆の郊外開発推進の動きも見られる。和歌山市中心市街地活性化基本計画の認定直前の2007年(平成19年)8月24日、黒潮市場やポルトヨーロッパに付随する観光商業施設として一体的に整備するためとして、市の南にある和歌山マリーナシティの商業施設に隣接する駐車場を第1種住居地域から商業地域に用途変更している。 また、郊外のふじと台で計画されたイオンモール出店についても、2009年(平成21年)5月18日の大橋建一和歌山市長の定例記者会見で「イオンが出店をしても中心市街地の空洞化に繋がらない」と発言した。これに対しした和歌山市中心市街地活性化協議会は反発、同年8月10日付で和歌山市長宛てに提出した意見書で「大型商業施設の進出が中心市街地の空洞化にはつながらないという市長の発言について、単なる希望的観測ではなく、波及効果のシミュレーション等、その具体的な根拠を明示されたい」と質問した。これに対し同月25日に開かれた第11回の同協議会で、市側が「出店規模、店舗形態等が分からないため、波及効果のシミュレーション等については行っておりません」と答えた上で、「他都市の傾向では大規模集客施設の出店による既存商店街等に及ぼす影響は、プラス面よりもマイナス面の方が大きい」「中心市街地の商業面へのマイナス影響はあると予測できます」としながらも、「本市だけの大規模集客施設の立地制限だけで、隣接する自治体の同一歩調がなければ実質的に意味のある制限とはならず、消費の市外流出だけが大きくなり、商業機能の衰退に歯止めがかからないと予測されます」と回答した。2009年(平成21年)9月14日の和歌山市議会では、大橋市長が「中心市街地としては独自の魅力や付加価値を高め、限られたパイを奪うのではなく、連携とすみわけに基づいた商業振興を図りたい。市全体の集客力が高まれば消費の市外流出に歯止めがかけられる」としてイオンモール出店について前向きな発言をした。 和歌山市中心市街地活性化基本計画の策定後に次々と郊外への大型商業施設開業容認の方向が打ち出されている。ぶらくり丁活性化・再生研究会の調査報告書では「まちづくりの中で商業主体の適正配置は可能なのか、ということについて議論する場を持つことが先決」と指摘されている。和歌山市の政策において中心市街地優先策があやふやなものとなっていることや、合意が形成されていないことも要因と見られている。長浜市の黒壁、長野県の小布施町、東京の代官山のような美しい街並みの形成を行うことが成功の鍵との意見もある。
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