ワカタケルの政権とは? わかりやすく解説

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ワカタケルの政権(古墳時代中期後半)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 13:49 UTC 版)

ヤマト王権」の記事における「ワカタケルの政権(古墳時代中期後半)」の解説

475年高句麗大軍によって百済の都漢城陥落し蓋鹵王はじめ王族多く殺害されて、都を南方熊津へ遷した。こうした半島情勢により「今来漢人(いまきのあやひと)」と称される主として百済系の人びと多数日本渡来した5世紀後半から6世紀にかけての雄略天皇時代は、渡来人第二波時期でもあった。雄略天皇は、上述した倭の五王のうちの武であると比定される。 『宋書』倭国伝に引用され478年の「倭王武の上表文」には、倭の王権(倭王武先祖)が東(毛人)、西(衆夷)、北(海北)の多くの国を征服したことを述べられており、みずからの勢力拡大して地方豪族服属させたことがうかがわれるまた、海北とは朝鮮半島意味する考えられるころから渡来人第二波との関連考慮される。 この時代のものと考えられる埼玉県稲荷山古墳出土鉄剣金錯銘鉄剣)には辛亥年(471年)の紀年銘があり、そこには「ワカタケル大王」の名がみえる。これは『日本書紀』『古事記』伝え雄略天皇本名一致しており、熊本県江田船山古墳出土鉄刀銘にもみられる東国九州古墳に「ワカタケル」の名のみえることは、上述の「倭王武の上表文」の征服事業記載整合的である。 また、稲荷山古墳出土鉄剣銘には東国豪族が「大王」の宮に親衛隊長(「杖刀人首」)として、江田船山古墳出土鉄刀銘には西国豪族大王側近文官(「典曹人」)として仕え王権一翼になっていたことが知られている。職制と「人」とを結んで厨人」「川瀬舎人」などのように表記する事例は、『日本書紀』雄略紀にもみられ、この時期在地勢力ヤマト王権仕奉関係は「人制」とよばれる。 さらに、銘文には「治天下大王」(江田船山)、「天下治むるを左(たす)く」(稲荷山)の文言もあり、宋の皇帝中心とする天下とはまた別に、倭の大王中心とする「天下」の観念芽生えている。これは、大王のもとに中国権威からある程度独立した秩序形成されつつあったことを物語る。 上述した「今来漢人」は、陶作部錦織部鞍作部、画部などの技術者集団品部)に組織され東漢氏管理まかせたまた、漢字用いてヤマト王権さまざまな記録財物出納外交文書作成あたったのも、その多く史部よばれる渡来人であったこうした渡来人組織化契機に、管理者である伴造やその配下におかれた部などからなる官僚組織がしだいにつくられていったものと考えられるいっぽう5世紀後半古墳時代中期後半)の古墳の分布検討すると、この時代には、中期前半大古墳のつくられ筑紫吉備毛野日向丹後などの各地大規模な前方後円墳造営がみられなくなりヤマト政権の王だけが墳丘200メートル超える大前方後円墳造営つづけている。この時期に、ヤマト政権の王である大王権威著しく伸張しヤマト政権性格大きく変質したことは、考古資料の面からも指摘できる。 なお、平野邦雄平凡社世界大百科事典』(1988年版)の項目「大和朝廷」のなかで、「王権中心に一定の臣僚集団による政治組織形成され段階としての朝廷概念提唱しワカタケル時期をもってヤマト朝廷」が成立したとの見解表明している。

※この「ワカタケルの政権(古墳時代中期後半)」の解説は、「ヤマト王権」の解説の一部です。
「ワカタケルの政権(古墳時代中期後半)」を含む「ヤマト王権」の記事については、「ヤマト王権」の概要を参照ください。

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