ルターの思想とは? わかりやすく解説

ルターの思想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 03:54 UTC 版)

ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事における「ルターの思想」の解説

詳細は「マルティン・ルター」を参照 ルターの思想は古代初期キリスト教)のアウグスティヌス思想から決定的な影響受けている。その要点を示すと、信仰における個人主義内面尊重自由意志否定、「二王国論英語版)」である。 ルターアウグスティヌスに従って人間原罪重視し人間本質的に罪人であるうえに神の絶対的支配の下にあるのだから、神の意志超えた人間意志による善行があるとすれば、それによって救われるのではないとして自由意志否定し、ただ神の恩寵恵み)によってのみ救われることが可能であるとした。これは善行を積むことによって救われる説く当時カトリック教会異を唱えるものであり、この神の恩寵与るためにはひたすら神を信頼して信仰寄せることにより、救いに至ることができるとした。すなわち、これが上述した「信仰義認」であり、ルターは「塔の体験」を通じて神の義とは神が罪人罰する「能動的な義」ではなく罪人が罪あるままで神から無償賜物として与えられる義、すなわち「受動的な義」であることに目覚めたのである。そして、この神と個人との間に介在するものはなく、ここから万人司祭主義、神の前での信仰における人間の平等、聖職者特権否定説かれる従来教義含めた信仰根拠教会求められていたのに対し、それを聖書にあるとしたルターは、教会教えであっても聖書記載のないものは神の言葉ではないと主張する。「聖書のみ」の考え方がそれで、聖書根拠のないマリア崇拝煉獄秘蹟排除する一方聖書ドイツ語訳して一般信徒読めるようにし、教会独占していた聖書の解釈万人自由におこなってよいと述べた。以上のように、ルター聖書解釈信仰における教権優位性否定したが、彼は神の言葉への奉仕者としての牧師教師)職は必要とも考えた政治社会との関係でいえば、「二王国論」が重要である。ルターは神がこの世界に二種の支配2つ王国)を作り出したといい、1つ霊的な教会目に見えないものにしてキリスト教徒のみに許されているという。もう1つ世俗的な剣の支配で、これはキリスト教徒限られ世界あらゆる民族包含している。ルターキリスト教反しない限り世俗支配積極的に受け入れるべきであると説くが、教皇もしくは皇帝違反した場合にはこれに抵抗できるとしている。すなわち、ルターキリスト教世界問題としてこれを考えていたにもかかわらず宗教権力優越という考え方には異議唱え結果的に政治的なものを利することになったのであり、ある意味では政教分離強力な推進者となったとはいえルターあらゆるキリスト教徒抵抗主体となることを認めているわけではなかった。抵抗主体なりえるのは、自らの領民キリスト教のもとに保護する責務がある諸侯のみである。しかも、世俗法において皇帝諸侯契約によって関係を結んでいるから同等であるとする。農民などの民衆皇帝対等ではないので、抵抗すれば反乱となる。これは結果として信仰における諸侯絶対的権限および領邦教会制度後述)を理論的に認めるものであり、ルター社会的政治的見解きわめて保守的なものであった

※この「ルターの思想」の解説は、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の解説の一部です。
「ルターの思想」を含む「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の記事については、「ヨーロッパにおける政教分離の歴史」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ルターの思想」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ルターの思想」の関連用語

ルターの思想のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ルターの思想のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヨーロッパにおける政教分離の歴史 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS