リンネの性分類体系とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > リンネの性分類体系の意味・解説 

リンネの性分類体系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/24 15:21 UTC 版)

リンネ式階層分類体系」の記事における「リンネの性分類体系」の解説

リンネの『自然の体系 初版』(1735年)に掲載した性分体系の鍵 Clavis Systematis Sexualis」 性分体系24綱のゲオルク・エーレットによる模式図リンネ1753年Species Plantarum植物種誌』において、約5900種の植物記したリンネ生殖こそが植物にとって元も重要であり、生殖形質に基づく分類こそが自然分類であると考えたリンネ植物の体系化において、綱と目という上位分類階級対し、そして、植物雌蕊雄蕊の数と配置重視した性分体系(羅: Systematis Sexualis、性体系)」を構築した。綱の区分標識とした形質雄蕊の数により13綱が区別され雄蕊配置差異雌蕊との合着および隠花性によって全24群を認識し、それを最上位の「綱 class」とした。そのため「24綱分類」と呼ばれることもある。そこから、雌蕊花柱数など標識下位概念である「目 order」に区分した花冠雄蕊雌蕊果皮種子花床(および花序)などを"fructificatio vegetabilium"と呼んで主な標識としてすべての植物分類し、属に分けたリンネ体系化雌雄属性を鍵として定めたものであり、自然の産物ある種と属とは違い、綱と目については人為所作であることを認めていた。この性分体系人為分類代表するものとされ、18世紀後半フランス植物学者たち(例えば、ドゥ・カンドールなど)によって自然分類とは言えないと批判された。彼らからはこの性分体系のように、教条的な第一原理から人為分類構築することは「体系的」であると批判され観察に基づく論証通じて自然分類構築することは「方法的」であると称賛された(リンネ時代では「方法」と「体系」はほぼ同義であった)。 また、リンネ植物の上位分類階級として「科」を用いたが、綱、目、属などの分類階級とは異な別の分類概念として用いたリンネは『植物学論』(1751年)において、植物 (Vegetabilia)は菌類 (Fungi)、藻類 (Algae)、蘚苔類 (Musci)、シダ類 (Filices)、禾本類 (Gramina)、ヤシ類 (Palmae)、植物類 (Plantae) の7つの「科 Familiae」からなるとした。性分体系では最初の4科は隠花植物綱とされ、禾本類の多く第3綱に、植物類は各綱に分けられた。ヤシ類ではリンネにとって位置づけ難し分類群で、24綱とは別に扱われていた。 数や量で表現できる標識は、それが困難なものに比べ明晰認知が容易であり、数に差がある雄蕊標識とすることは合理的だ受け止められた。そのようなことから、リンネ分類それ以前体系とは違いパラダイムとしての力を持っていたとされる。 綱の番号綱の和名綱の学名雄蕊形質含まれる植物の生殖器官の図第1綱 一雄蕊綱 Monandria 1本 カンナ属 Cannaアッケシソウ属 Salicornia 第2綱 二雄蕊綱 Diandria 2本 オリーブ属 Oleaクワガタソウ属 Veronica 第3三雄綱 Triandria 3本 多く禾本 Poaceae 第4綱 四雄蕊綱 Tetrandria 4本 プロテア属 Proteaヤエムグラ属 Galium 第5綱 五雄蕊綱 Pentandria 5本 サツマイモ属 Ipomoeaホタルブクロ属 Campanula 第6綱 六雄蕊綱 Hexandria 6本 スイセン属 Narcissusユリ属 Lilium 第7綱 七雄綱 Heptandria 7本 ツマトリソウ属 Trientalis、トチノキ属 Aesculus 第8綱 八雄蕊綱 Octandria 8本 スノキ属 Vaccinium、Dirca(ジンチョウゲ科) 第9綱 九雄蕊綱 Enneandria 9本 ゲッケイジュ属 Laurus、ハナイ属 Butomus(ハナイ科) 第10綱 十雄蕊綱 Decandria 10ツツジ属 Rhododendronカタバミ属 Oxalis11十二雄蕊綱 Dodecandria 12本(11-19本) カンアオイ属 Asarum、トウダイグサ属 Euphorbia12二十雄蕊綱 Icosandria 上に20サボテン Cactus、Mesembryanthemum(ハマミズナ科) 第13綱 多雄蕊綱 Polyandria 花軸上に 20-100 本 シナノキ属 Tilia、キンポウゲ属 Ranunculus14二強雄蕊綱 Didynamia 二強雄蕊(4雄蕊中) シソ科 Lamiaceae多く15四強雄蕊綱 Tetradynamia 四強雄蕊(6雄蕊中) アブラナ科 Brassicaceae16一束雄蕊綱 Monadelphia 一束雄蕊 アオイ科 Malvaceae ほか 第17綱 二束雄蕊綱 Diadelphia 二束雄蕊 マメ科 Fabaceae ほか 第18綱 多束雄蕊綱 Polyadelphia 多束雄蕊 カカオTheobromaオトギリソウ属 Hypericum19集葯雄蕊 Syngenesia 集葯雄蕊 多くキク科 Asteraceae20雌雄綱 Gynandria 雄蕊雌蕊合着 ラン科 Orchidaceae など 第21雌雄同株綱 Monoeciaia 雌雄花同 スゲ属 Carex、クワ属 Morus 第22雌雄異株綱 Dioecia 雌雄花異 ヤナギ属 Salix、ビャクシン属 Juniperus 第23雌雄雑性綱 Polygamia 雌雄花同または異同時に完全花をもつ カエデAcerヌマミズキ属 Nyssa(ヌマミズキ科) 第24隠花植物綱 Cryptogamia 0本 イノモトソウ属 Pteris、ハラタケ属 Agaricus地衣類 Lichen

※この「リンネの性分類体系」の解説は、「リンネ式階層分類体系」の解説の一部です。
「リンネの性分類体系」を含む「リンネ式階層分類体系」の記事については、「リンネ式階層分類体系」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「リンネの性分類体系」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リンネの性分類体系」の関連用語

1
植物の種 百科事典
12% |||||

2
4% |||||

リンネの性分類体系のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リンネの性分類体系のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのリンネ式階層分類体系 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS