モーメント (確率論)とは? わかりやすく解説

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モーメント (確率論)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/09 06:39 UTC 版)

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確率論統計学におけるモーメント: moment)または積率(せきりつ)とは、確率変数のべき乗に対する期待値で与えられる特性値。

定義と性質

X確率変数α を定数としたときに、α に関するn次モーメント (n-th order moment) は次で定義される。

ここで、⟨…⟩ は期待値を取る操作を表す。

X離散型の場合は、

ここで x1, x2, … は確率変数 X の実現値である。

X が連続型の場合は、

ここで p(x) は確率変数 X の確率密度関数である。

特に α = 0 の場合に、モーメントは mn と記される。

期待値 μ は 1次のモーメント m1 に等しい。分散 σ2 は これと2次のモーメント、つまり m1, m2 を用いて表すことができる。すなわち、

m1 に関する n 次モーメントを μn で表し、n 次の中心モーメント (n-th order center moment)、またはn 次の中心化モーメントという。

ここで、2次の中心モーメント μ2 は分散と一致する。

一般の確率分布において、モーメントは必ずしも有限値として存在するとは限らない。実際、コーシー分布

において、モーメントは全て無限大に発散する[1]

積率母関数による表示

確率変数 X積率母関数を次の式で定義する:

その級数表示

においては、ξn 次の項の係数部分に n 次のモーメント mn = <Xn> が現れる。この関係からモーメントは、モーメント母関数の導関数によって、次のように与えることができる。

特性関数による表示

確率変数Xに対する特性関数を次のように定義する:

特性関数についても、その級数表示において、n 次のモーメントは ξn 次の項の係数に現れる。

この関係からモーメントは、特性関数の導関数によって、次のように与えることができる。

キュムラントとの関係

n 次のキュムラントは、n 次以下のモーメントで表すことができる。

逆に、n 次のモーメントは、n 次以下のキュムラントで表すことができる。

ポアソン分布

確率質量関数が

で与えられるポアソン分布において、モーメントは次のように与えられる。

正規分布

確率密度関数が

で与えられる正規分布において、n 次の中心モーメントは n が奇数のときは 0 で、偶数のときのみ 0 でない値をとる。

n!!二重階乗

脚注

  1. ^ コーシー分布の特性関数
    は、0 において解析的ではなく、このことからもモーメントが存在しないことが分かる。

参考文献

関連項目


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