積率母関数とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 学問 > 統計学用語 > 積率母関数の意味・解説 

積率母関数


 ある分布特徴づけるとき,その積率計算すれば便利なことがある。積率母関数 は積率統一的に表現するものとして使用される
 次式のような関数考える。
   積率母関数
 この両辺について期待値取ってみる。すると,離散型ならば
   積率母関数
 また,連続型ならば,
   積率母関数  …… (1)
となる。この Mx ( θ ) を 積率母関数 という。( 1 )式は,
   積率母関数
となり,変数の積率母関数が見いだされて,θ のベキ級数展開することができるならば,xの積率(特にμ,σ2 )は単にその展開式調べることで直ち統一的に求めることができる。すなわち,特定の次数例えば第 r 次の積率求めたいならば,Mx ( θ ) を r 回微分し,θ = 0 とおいて求めることができる。
   積率母関数

積率母関数


積率母関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/05 19:03 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

確率論統計学において、確率変数 X積率母関数またはモーメント母関数: moment-generating function)は、期待値が存在するならば次の式で定義される。

積率母関数がそのように呼ばれるのは、t = 0 の周囲の開区間上でそれが存在する場合、それが確率分布モーメント母関数であるからである。

積率母関数がそのような区間について定義される場合、それにより確率分布が一意に決定される。

積率母関数で重要なことは、積分が収束しない場合、積率(モーメント)と積率母関数が存在しない可能性がある点である。これとは対照的に特性関数は常に存在するため、そちらを代わりに使うこともある。

より一般化すると、n-次元の確率変数ベクトル(ベクトル値確率変数) の場合、 の代わりに を使い、次のように定義する。

計算

積率母関数はリーマン=スティルチェス積分で次のように与えられる。

ここで F累積分布関数である。

X が連続な確率密度関数 f(X) を持つ場合、f(x) の両側ラプラス変換である。

ここで、i番目のモーメントである。

2つの独立確率変数の和

2つの独立な確率変数の和の積率母関数は次のようになる。

独立確率変数の総和(一般化)

X1, X2, ..., Xn が一連の独立確率変数で(分布が同一である必要は無い)、

としたとき(ai は定数)、Sn の確率密度関数はそれぞれの Xi の確率密度関数の畳み込みとなり、Sn の積率母関数は次のようになる。

他の関数との関係

積率母関数に関連して、確率論にはいくつかの変換が存在する。

特性関数
特性関数 と積率母関数は という関係にある。すなわち、特性関数は iX の積率母関数であり、X の積率母関数を虚数軸で評価したものである。
キュムラント母関数
キュムラント母関数は積率母関数の対数として定義される。特性関数の対数をキュムラント母関数とする場合もあるが、通常そちらは「第2」キュムラント母関数と呼ぶ。
確率母関数
確率母関数は で定義される。したがって、 である。

具体例

分布 積率母関数
二項分布
コーシー分布 存在しない[1]
指数分布 for
正規分布
ポアソン分布

  1. ^ Allan Gut: Probability: A Graduate Course. Springer-Verlag, 2012, ISBN 978-1-4614-4707-8, Chapter 8, Example 8.2.

積率母関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/30 19:16 UTC 版)

連続一様分布」の記事における「積率母関数」の解説

積率母関数は次の通りである。 M x = E ( e t x ) = e t be t a t ( b − a ) {\displaystyle M_{x}=E(e^{tx})={\frac {e^{tb}-e^{ta}}{t(b-a)}}} ここから積率 mk計算することができる。 m 1 = a + b 2 , m 2 = a 2 + a b + b 2 3 , m k = 1 k + 1 ∑ i = 0 k a i b ki . {\displaystyle {\begin{aligned}m_{1}&={\frac {a+b}{2}},\\m_{2}&={\frac {a^{2}+ab+b^{2}}{3}},\\m_{k}&={\frac {1}{k+1}}\sum _{i=0}^{k}a^{i}b^{k-i}.\\\end{aligned}}} この分布に従う確率変数では、期待値m1 = a + b/2 となり、分散は m 2 − m 1 2 = ( b − a ) 2 12 {\displaystyle m_{2}-{m_{1}}^{2}={\frac {(b-a)^{2}}{12}}} となる。

※この「積率母関数」の解説は、「連続一様分布」の解説の一部です。
「積率母関数」を含む「連続一様分布」の記事については、「連続一様分布」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「積率母関数」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「積率母関数」の関連用語

積率母関数のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



積率母関数のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
統計学用語辞典統計学用語辞典
Copyright (C) 2025 統計学用語辞典 All rights reserved.
日本オペレーションズ・リサーチ学会日本オペレーションズ・リサーチ学会
Copyright (C) 2025 (社)日本オペレーションズ・リサーチ学会 All rights reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの積率母関数 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの連続一様分布 (改訂履歴)、ポアソン分布 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS