優収束定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/16 03:55 UTC 版)
数学の測度論の分野におけるルベーグの優収束定理(ゆうしゅうそくていり、英: dominated convergence theorem)あるいは単にルベーグの収束定理とは、ある関数列に対して、そのルベーグ積分と、ほとんど至る所での収束という二つの極限操作が可換となるための十分条件について述べた定理である。また後述するこの定理のある特別な場合はしばしば(ルベーグの)有界収束定理と呼ばれる。
リーマン積分に対しては、優収束定理は成立しない。なぜならば、リーマン可積分関数の列の極限は多くの場合、リーマン可積分とはならないからである。優収束定理の持つ威力と有用性は、リーマン積分よりもルベーグ積分が理論的に優れているということを示すものである。ただもちろん有界収束定理の方はリーマン積分においても類似が成り立ち、これはしばしばアルツェラの有界収束定理と呼ばれる。
この定理は、確率変数の期待値の収束のための十分条件を与えるため、確率論の分野において広く利用されている。
定理の内容
{fn} を測度空間 (S, Σ, μ) 上の実数値可測関数の列とする。この列はある関数 f に各点収束し、次に述べる意味である可積分関数 g によって支配されるものとする:|fn(x)| ≤ g(x) が、すべての添え字 n および S 内のすべての点 x に対して成り立つ。このとき fn, f は可積分であり、
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