仮定についての考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 10:58 UTC 版)
関数列がある可積分関数 g によって支配されるという仮定を外すことは出来ない。このことは次の例によって分かる。区間 [0, 1] 上の関数列 {fn} を次で定義する。(0, 1/n] 内の x に対しては fn(x) = n であり、それ以外の x に対しては fn(x) = 0 である。この列を支配するような g が存在するとしたら、それは各点上限 h = supn fn も支配しなければならない。今、 ∫ 0 1 h ( x ) d x ≥ ∫ 1 / m 1 h ( x ) d x ≥ ∑ n = 1 m − 1 ∫ ( 1 / ( n + 1 ) , 1 / n ] n d x = ∑ n = 1 m − 1 1 n + 1 → ∞ as m → ∞ {\displaystyle \int _{0}^{1}h(x)\,dx\geq \int _{1/m}^{1}{h(x)\,dx}\geq \sum _{n=1}^{m-1}\int _{(1/(n+1),1/n]}{n\,dx}=\sum _{n=1}^{m-1}{\frac {1}{n+1}}\to \infty \quad {\text{as }}m\to \infty } であることが、調和級数の発散性により分かる。したがって、ルベーグ積分の単調性により、そのような関数列を [0, 1] 上で支配するような可積分関数は存在しないことが分かる。次のような直接的な計算により、この場合の関数列の積分と各点収束極限の順序は交換できないことが分かる: ∫ 0 1 lim n → ∞ f n ( x ) d x = 0 ≠ 1 = lim n → ∞ ∫ 0 1 f n ( x ) d x {\displaystyle \int _{0}^{1}\lim _{n\to \infty }f_{n}(x)\,dx=0\neq 1=\lim _{n\to \infty }\int _{0}^{1}f_{n}(x)\,dx} (この関数列の各点収束の極限はゼロ関数であるから左辺は 0 である)。関数列 {fn} は一様可積分ですらないため、ヴィタリの収束定理を適用することも出来ない。
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