仮定および概算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/18 21:01 UTC 版)
アルキメデスは、宇宙の大きさに関して、以下の仮定を立てた。ただし、ここでいう宇宙とは、天動説を背景として、地球を中心とし地球から太陽までの距離を半径とする球のことである。 地球の周囲は約300万スタディアで、それ以上ではない 地球の直径は月の直径よりも大きく、太陽の直径は地球の直径よりも大きい 太陽の直径は月の直径の約30倍で、それ以上ではない 太陽の直径は、宇宙球の大円に内接する正1000角形の一辺よりも大きい 1. 2. 3. は天文学者の説を元に、4. は自身の観測を元に、宇宙を大きめに見積もるように仮定したものである。なお、現代的な知識からすると、1. 2. 4. は正しく(ただし 1. は大きく見積もりすぎ)、3. は誤りである。これらの仮定を元に、 宇宙球の直径は100億 (1010) スタディアよりも小さい と、誤った仮定からではあるが、正しい推論で結果的に正しい命題を導いた。 また、砂粒の大きさに関しては、以下の仮定を立てた。 1個のケシ粒の体積は、1万個の砂粒の体積よりも大きくはない 1個のケシ粒の直径は、1⁄40ディジットよりも小さくはない 2. は自身の観測を元に、砂粒の大きさを小さめに見積もるように仮定したものである。これらの仮定から、 直径1ディジットの球を満たす砂粒の個数は、6億4千万より少なく、故に10億 (109) より少ない ことを導いた。また、 1スタディオン(スタディアの単数形)は1万ディジットよりも小さい ことを用い、 直径1スタディオンの球を満たす砂粒の個数は、十万の第3級の数 (1021) よりも少ない とした。上記の宇宙の大きさの見積もりと合わせ、 宇宙球を満たす砂粒の個数は、千の第7級の数 (1051) よりも少ない と結論した。 ところで、アリスタルコスは、(太陽以外の)恒星までの距離は非常に大きいと考え、宇宙球の大きさでさえ、諸恒星までの距離と比較すると無視できるほど小さい、としたという。アルキメデスは、宇宙球のみならず、諸恒星までの距離を半径とする球(以下、恒星球と呼ぶ)を満たす砂粒の個数をも見積もった。そのために、 恒星球の直径の、宇宙球の直径に対する比は、宇宙球の直径の、地球の直径に対する比に等しい という(現代的な知識からは誤った)仮定を設け、 恒星球を満たす砂粒の個数は、千万の第8級の数 (1063) よりも少ない と結論した。
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