モハ72形970番台・クハ79形600番台
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:00 UTC 版)
「国鉄72系電車」の記事における「モハ72形970番台・クハ79形600番台」の解説
1974年(昭和49年)に、仙石線用のアコモデーション改良車として4両編成のモハ72形970番台・クハ79形600番台が、72系新製車グループの改造で製作された。 モハ72970同様に103系ほぼそのままの車体を与えられ、高運転台の前頭形状も当時の山手線用103系増備車そっくりであった。寒冷地向けのため、半自動ドア(停車中は手動で開閉し、発車時に自動でドアを閉める)が特徴である。そのためドアエンジンは115系同様、半自動扱い時に扱い方を容易にしたTK8形を使用している。クハ・モハ各10両の4両編成5本、合計20両が改造されている。本グループの改造は、郡山工場で施工されたことになっているが、実際には外部車両メーカー(富士重工業)に委託された(同社宇都宮工場最寄りの日光線鶴田駅での更新工事竣工直後の写真が残る)。富士重工業は電車製造の実績はあるものの、国鉄の電車製造の指定メーカーではなかったため、このような措置がとられたのである。 台枠の構造上103系車両と比較すると車体裾が若干長くなっている。一部で「旧台枠は流用せず、工期の関係で旧台枠同型の台枠を新規に製造した」とする説もあったが、国鉄車両設計事務所編著の「通勤形直流電車説明書クハ79601~、モハ72970~」によれば、UF132、UF134台枠を流用と明記し、出入り口部を補強、また鋼製根太の取り付けなど具体的な工事内容が記されている他、主電動機冷却風風道が、横梁部を貫通できないため、1-4位床上に風道が出っ張ることになったこと、さらに台車中心間距離が13600mmであり、パンタグラフ中心位置もそれに合わせて103系よりも内方に寄っていることが、旧台枠と台車を流用するためである等、旧台枠を利用しつつ新車体を構築する工事内容が記されており、台枠の全面的な新製は否定されている。 他にも、電動発電機 (MG) の換装による電源の交流化など在来車との混結を前提としない仕様になっており、前述のモハ72970とは異なる点が多く、72形に分類されながら他の72形車両とは混結できない。仙石線投入初期は山手線と同じ黄緑6号であったが、しばらくして視認性向上のため前面下部に黄5号の警戒帯が入れられ、その後首都圏より転用の103系初期車投入と前後して青22号一色へと変更された。 番号の新旧対照は、次のとおりである。 モハ72971 ← モハ72502 モハ72972 ← モハ72504 モハ72973 ← モハ72561 モハ72974 ← モハ72543 モハ72975 ← モハ72612 モハ72976 ← モハ72544 モハ72977 ← モハ72509 モハ72978 ← モハ72560 モハ72979 ← モハ72511 モハ72980 ← モハ72566 クハ79601 ← クハ79435 クハ79602 ← クハ79378 クハ79603 ← クハ79349 クハ79604 ← クハ79456 クハ79605 ← クハ79451 クハ79606 ← クハ79374 クハ79607 ← クハ79305 クハ79608 ← クハ79342 クハ79609 ← クハ79949 クハ79610 ← クハ79368 なお、前述の説明書によれば、クハ79は当初500番台を付番する予定だったようで、訂正された表紙以外にはクハ79501~の記載が見られる。本グループは、1980年に仙石線の在来型72系が103系に置換えられた後も残存し、103系と共通に運用されていた。その後、1984年(昭和59年)から翌1985年(昭和60年)3月14日のダイヤ改正までに103系に順次置き換えられ仙石線からは運用離脱し、同年の川越線電化に先立ち15両(クハ79形600番台全車とモハ72形970番台5両)が工場予備品の見直しで発生した103系の電装部品・台車を使用して、103系(3000番台。クモハ102形、モハ103形、クハ103形)に編入された。またクハ、サハの台車には101系の廃車発生品(DT21T)が再利用されていた。 保留車として残ったモハ72形5両も、翌1986年(昭和61年)に青梅線の増結用のサハ103形3000番台に改造され、番台消滅した。この改造による新旧番号の対照は次のとおりである。 クモハ102-3001 ← クハ79604 クモハ102-3002 ← クハ79606 クモハ102-3003 ← クハ79610 クモハ102-3004 ← クハ79608 クモハ102-3005 ← クハ79602 モハ103-3001 ← モハ72974 モハ103-3002 ← モハ72972 モハ103-3003 ← モハ72980 モハ103-3004 ← モハ72978 モハ103-3005 ← モハ72976 クハ103-3001 ← クハ79609 クハ103-3002 ← クハ79603 クハ103-3003 ← クハ79605 クハ103-3004 ← クハ79607 クハ103-3005 ← クハ79601 サハ103-3001 ← モハ72971 サハ103-3002 ← モハ72973 サハ103-3003 ← モハ72975 サハ103-3004 ← モハ72977 サハ103-3005 ← モハ72979 その後の沿革については、国鉄103系電車#川越線・八高線を参照のこと。
※この「モハ72形970番台・クハ79形600番台」の解説は、「国鉄72系電車」の解説の一部です。
「モハ72形970番台・クハ79形600番台」を含む「国鉄72系電車」の記事については、「国鉄72系電車」の概要を参照ください。
- モハ72形970番台・クハ79形600番台のページへのリンク