フェルマーの最終定理とは? わかりやすく解説

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フェルマ‐の‐さいしゅうていり【フェルマの最終定理】

読み方:ふぇるまのさいしゅうていり

整数論上の難問とされていたフェルマ命題で、「nが3以上の自然数のとき、Xn+Yn=Zn満たす自然数X, Y, Zは存在しない」というもの。フェルマ予想フェルマ大定理。1994年米国プリンストン大学ワイルズ教授によって証明されフェルマワイルズ定理ともいう。


フェルマーの最終定理

17世紀数学者フェルマーは、古代ギリシャ数学者ディオファントス記した算術」という書物研究していたが、その書物欄外様々な書き込み残した。この書物にはピタゴラスの定理三平方の定理)についての記述があったが、その欄外に、

2よりも大きなべき指数 n について、 an+bn=cn をみたす3つの整数 a, b, c を見出すことは不可能である。私はこれについてのまったくすばらし証明得たが、ここの余白は狭すぎて書き記すことができない

と書き込んだ。ここに言う「べき指数 n 」は自然数である。

フェルマーは他にも数多く予想残し、すべては決着がついたが、この予想だけは証明することも、反例をあげることもできなかったため、フェルマーの最終定理と呼ばれたフェルマーの大定理または単にフェルマー予想とも呼ばれることもある。

フェルマーの最終定理の n を2とすると、「a2 + b2 = c2」というピタゴラスの定理三平方の定理)となる。これをみたす自然数 a, b, c は(3, 4, 5)、(5, 12, 13)、(7, 24, 25)のように無数に存在するちなみにピタゴラスの定理三平方の定理)をみたす自然数 a, b, c はピタゴラス数呼ばれる

フェルマーの最終定理は、数学界最高の謎であり、数多く数学者がその真偽証明していったわけだが、350年もの間解決をみるに至らなかった。1994年になり、プリンストン大学アンドリュー・ワイルズがついにフェルマーの最終定理の完全な証明成功した。その証明谷村豊志村五郎予想経由するものであり、他にも日本人数学者結果寄与している。

フェルマーの最終定理と似たものに「オイラーの予想」というものがあり「x4 + y4 + z4 = w4」これを成立する自然数の解は存在しないオイラー言っていた。


フェルマーの最終定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/02 03:52 UTC 版)

フェルマーの最終定理(フェルマーのさいしゅうていり、: Fermat's Last Theorem)とは、3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない、という定理である[注釈 1]


注釈

  1. ^ これに対して n = 2 のとき、x2 + y2 = z2 を満たす自然数の組 (x, y, z) は無数に存在し、ピタゴラス数と呼ばれる。
  2. ^ フェルマーの書き込み入りの『算術』原本は、今日では失われている。フェルマーが当時読んでいた『算術』は、1621年にフランスの貴族バシェがギリシア語の原文にラテン語の翻訳を追加した対訳版である[2][3]
  3. ^ 48個の書き込みの全訳は足立 (1986)に収録されている。
  4. ^ ここで、平方数とは有理数の平方を意味する。他の冪も同様。よって、『算術』の元の問題を現代風に表現すれば、有理数 a に対し、x2 + y2 = a2 の正の有理数解を(1つ)求めよ、ということである。
  5. ^ 定理の証明がなされた1995年よりも前からこの予想を「定理」と呼んでいたことには無理があるが、反例も挙げられておらず、予想自体は「真であろう」と誰もが予測したため、「定理」と呼ばれるようになった。
  6. ^ 非正則素数が無限に存在することは1915年ヨハン・イェンセンによって証明された[18]
  7. ^ カール・セーガンは以下のように述べている。
     私はときどき、宇宙人と「コンタクト」しているという人から手紙をもらうことがある。「宇宙人に何でも質問してください」と言われるので、ここ数年はあらかじめ短い質問リストを用意している。聞くところによると、宇宙人はとても進歩しているそうだ。そこでこんな質問をしてみる――「フェルマーの最終定理を簡単に証明してください」。あるいは、ゴルトバッハの予想でもいい。もちろん宇宙人は、「フェルマーの最終定理」という呼び方はしないだろうから、その内容を説明しなくてはならない。そこで例の、べき 指数つきのごく簡単な式を書いておくのだが、返事をもらったことはただの一度もない。 — カール・セーガン、『カール・セーガン 科学と悪霊を語る青木薫訳、新潮社、1997年9月20日。ISBN 4-10-519203-5。pp. 108ff

出典

  1. ^ Newton 2019年2月号 p86
  2. ^ 足立 1995, pp. 40f
  3. ^ 足立 2006, pp. 17, 87–95
  4. ^ Panchishkin & Manin 2007, p. 341
  5. ^ 足立 2006, pp. 93–95
  6. ^ 足立 2006, pp. 99–101
  7. ^ 足立 2006, pp. 137–139
  8. ^ 足立 2006, pp. 139–140
  9. ^ 足立 2006, p. 140
  10. ^ 足立 2006, p. 148
  11. ^ 足立 2006, pp. 140–148
  12. ^ 足立 2006, pp. 150–156
  13. ^ a b c 足立 2006, p. 150
  14. ^ 足立 2006, p. 231
  15. ^ 足立 2006, pp. 156–165
  16. ^ 足立 2006, pp. 166–218
  17. ^ 足立 2006, p. 215
  18. ^ 足立 2006, pp. 217, 227
  19. ^ 足立 2006, pp. 223–224
  20. ^ 足立 2006, p. 220
  21. ^ 足立 2006, pp. 215, 226
  22. ^ 足立 1995, pp. 17, 128
  23. ^ 1995年2月の毎日新聞縮小版より
  24. ^ 『Newton別冊 数学の世界[増補第3版]』ニュートンプレス、2019年11月5日、156頁。 
  25. ^ 新スタートレック』38話「ホテル・ロイヤルの謎」など
  26. ^ SHINICHI MOCHIZUKI; IVAN FESENKO, YUICHIRO HOSHI, ARATA MINAMIDE, AND WOJCIECH POROWSKI (30 November 2020). Explicit Estimates in Inter-universal Teichm¨uller Theory (PDF) (Report). 京都大学数理解析研究所. 2020年12月5日閲覧
  27. ^ Singh, Simon (2013) (英語). The Simpsons and Their Mathematical Secrets. A&C Black. pp. 35–36. ISBN 978-1-4088-3530-2. https://books.google.com/books?id=feg_AQAAQBAJ&pg=PA35 



フェルマーの最終定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/24 17:06 UTC 版)

円分体」の記事における「フェルマーの最終定理」の解説

素数 p に対してx p + y p = z p {\displaystyle x^{p}+y^{p}=z^{p}} の左辺を、 Q ( ζ p ) {\displaystyle \textstyle \mathbb {Q} (\zeta _{p})} 上で分解すると、 ( x + y ) ( x + ζ p y ) ⋯ ( x + ζ p p − 1 y ) = z p {\displaystyle (x+y)(x+\zeta _{p}y)\cdots (x+\zeta _{p}^{p-1}y)=z^{p}} となる。ラメ (G. Lamé)、コーシー (A. Cauchy)らは、上記左辺考察し、フェルマーの最終定理が成立することを証明した発表した。しかし、クンマー (E. E. Kummer)は、彼らの証明は、左辺分解一意的であることが前提になっており、 p = 23 {\displaystyle p=23} のとき、それが成立しないことを示した。そのため、 p = 23 {\displaystyle p=23} (円分体性質ある様に、23上の全ての素数) の場合別の方法をとる必要があるクンマーは、素元分解一意でなくとも、ある性質をもつ素数である場合、彼らの証明アイデア生かしながら、フェルマーの最終定理が成立することを証明したクンマーにより考察され素数は、以下の性質持ち正則素数呼ばれる素数 p は、円分体 Q ( ζ p ) {\displaystyle \textstyle \mathbb {Q} (\zeta _{p})} の類数割り切らない正則素数に対しては、以下の補題成立しクンマーは、この補題用いてベキ正則素数場合のフェルマーの最終定理を証明したクンマー補題 素数 p が正則素数であれば円分体 Q ( ζ p ) {\displaystyle \textstyle \mathbb {Q} (\zeta _{p})} の単数 ε を、 ε ≡ a   ( mod ⁡   ( 1 − ζ p ) p ) {\displaystyle \textstyle \varepsilon \equiv a\ (\operatorname {mod} \ (1-\zeta _{p})^{p})} となる有理整数 a が存在するようにとると、 Q ( ζ p ) {\displaystyle \textstyle \mathbb {Q} (\zeta _{p})} の単数 ε 0 {\displaystyle \textstyle \varepsilon _{0}} が存在して、 ε = ε 0 p {\displaystyle \textstyle \varepsilon =\varepsilon _{0}^{p}} と表される正則素数についての詳細は、正則素数 を、フェルマーの最終定理については、フェルマーの最終定理を参照のこと。

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「フェルマーの最終定理」を含む「円分体」の記事については、「円分体」の概要を参照ください。


フェルマーの最終定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:51 UTC 版)

ABC予想」の記事における「フェルマーの最終定理」の解説

ただし指数が十分大きい場合。どの程度大きければよいかは K(ε)依存する定理自体は、ABC予想とは独立ワイルズ証明した。ある K(ε)具体的に求まれば、有限個の例外直接計算することにより、原理的にすべての指数 ≥ 4 に対して証明が可能である。ε = 1 のとき K(1) = 1 という予想もあり、この仮定の下で、指数が 6 以上の場合直ち証明される (Granville & Tucker 2002)。望月らは、フェルマーの最終定理の別証明与えたプレプリント公表しいくつかの誤り認めた2021年10月11日別証明達成宣言した

※この「フェルマーの最終定理」の解説は、「ABC予想」の解説の一部です。
「フェルマーの最終定理」を含む「ABC予想」の記事については、「ABC予想」の概要を参照ください。


フェルマーの最終定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:54 UTC 版)

ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明」の記事における「フェルマーの最終定理」の解説

1637年書き表されたフェルマーの最終定理は以下を満たす3つの自然数 a, b, c が存在しないことを述べている。 a n + b n = c n {\displaystyle a^{n}+b^{n}=c^{n}} ただし n は 3 以上の自然数である。

※この「フェルマーの最終定理」の解説は、「ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明」の解説の一部です。
「フェルマーの最終定理」を含む「ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明」の記事については、「ワイルズによるフェルマーの最終定理の証明」の概要を参照ください。

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