フライ・セール予想
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:31 UTC 版)
「フェルマーの最終定理」の記事における「フライ・セール予想」の解説
1984年にゲルハルト・フライはフェルマーの最終定理に対する反例 an + bn = cn からはモジュラーでない楕円曲線(フライ曲線): y2 = x(x − an)(x + bn) が得られ、これは谷山–志村予想に対する反例を与えることになるというアイディアを提示。ジャン=ピエール・セールによって定式化されたこの予想はフライ・セールのイプシロン予想と呼ばれ、1986年にケン・リベットによって証明された。 これらの経過は以下のように整理することができる。 まず、フェルマー予想が偽である(フェルマー方程式が自然数解をもつ)と仮定する。 この自然数解からは、モジュラーでない楕円曲線を作ることができる。 しかし、谷山–志村予想が正しいならば、モジュラーでない楕円曲線は存在しない。 矛盾が導かれたので、当初の仮定が誤っていることとなる。 したがって、フェルマー予想は真である。(背理法) つまり、谷山–志村予想が証明されたならば、それはフェルマーの最終定理が証明されたことをも意味するのである(=完全証明への道がつながった)。しかし、当時の数学者たちのほとんどが「谷山-志村予想は証明不可能」と考えており、ここまでアプローチできてもフェルマー予想を解決しようと取り組む数学者は皆無に等しかった。つまりケン・リベットによるイプシロン予想の解決は『証明不可能なフェルマーの最終定理』が『証明不可能な谷山-志村予想』に置き換わったにすぎなかったのである。
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