ハングル輸出の難しさ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/18 14:46 UTC 版)
「ハングル優越主義」の記事における「ハングル輸出の難しさ」の解説
例えば日本語をハングルで表そうとする場合、濁音、「ツ」を標準的表記法(一例)で正確に表すことは難しい。さらに、ㄱㄷㅂㅈは、原則として語頭で無声音になるため、例えば「다시」が、「ダシ」ではなく「タシ」に近い音となる。「ザ行」も「ㅈ」[tʃ/dʒ]で代用するため、代用表記そのままで発音すると「ざる」が「チャル」、「かざり」が「カヂャリ」に近い音になる。またハングルには "F" にあたる子音字がなく(通例外国語を表記する際はㅍで代用するが、ㅎで代用される場合もある)、後に母音が来ない子音は何らかの母音をつけて表記する場合もある(例:psi(ψ)→프시/pɯsi/)。 また、特定言語がどんな文字を使用するかは、政治・宗教・アイデンティティの問題と密接に関連する。さらに、少数言語の保存は政治、経済、文化的自立など言語外的な環境に大きく左右される。ハングル輸出の成否は、表記法としての効率性以外にも、これら諸要因を含めて考える必要がある。 例えば、旧ソビエト連邦地域で使われる小規模言語が、ソビエト連邦の崩壊以後にキリル文字からラテン文字(ローマ字)に表記体系を変えたことは、主にソ連支配に対する反感という政治的な理由による。[独自研究?]また、イスラム教文化圏の言語がしばしばアラビア文字で表記されるのは文化·宗教的な理由からである。文字がないと思われている少数言語の大部分は、実際には既に正書法体系を取り揃えている場合が多く、その大部分は所属する国家の支配的言語が使う文字またはラテン文字に基盤がある。これは、ラテン文字が世界で一番広く通用する文字であり、ヨーロッパに基盤を持つ一方で比較的特定国家や民族の文化を代表しない中立性を持っており、既にマレー語やインドネシア語、ベトナム語(クオック・グー)、トルコ語、スワヒリ語など多くの非印欧系言語を表記するのに広く使われており、印刷やコンピュータ処理などに簡潔だという長所のためである。また何よりこれら少数言語保存のために努力している人々がラテン文字使用者だからである(ラテン文字化 / キリル文字化 / アラビア文字化も参照のこと)。 しかし、彼らは多くの場合、母語を捨て、支配的言語を使用するようになる。これは、母語を維持するよりその国の支配的言語を習得するほうがずっと役に立ち、その社会での生存に直結するからである。[独自研究?]これは、方言の使用や保存より標準語の習得が現実的利益になることと広い意味で似ている。このように、少数言語の保存は政治、経済、文化的自立など言語外的な環境に大きく左右される。
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