デハ1600形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 00:23 UTC 版)
「小田急1600形電車」の記事における「デハ1600形」の解説
俗に「関東型」と呼ばれる、側面窓配置d1D(1)2(1)D3(1)D1dとして窓の天地寸法を大きくとった軽快なデザインの半鋼製車体を備える。このスタイルは帝都電鉄モハ100・200形や近隣では東京横浜電鉄モハ500・510・1000形、南武鉄道モハ150形、鶴見臨港鉄道モハ210形などにみられた戦前関東私鉄の標準スタイルであった。 一方で本形式はデハ1400形の仕様を引継いで前面を貫通型とし、全長が比較的短く、屋根が薄くRが3500mmと大きいものとされたため、コンパクトで均整のとれたスタイルとなった。また、小田急の車両としては初の運用表示幕が、運転席と反対側の前面窓の内上部に設けられ、これは1~・A~の運用番号を表示するものであったが、実際には使用されていない 。 当時は電気溶接の発達で全溶接構造も可能となっていたが、ウィンドウ・シルやウィンドウ・ヘッダーなどを中心に一部にリベット接合も使用され、鋲頭が露出していた。 車体寸法は従来の車両と統一性を持たせたものと考えられており、デハ1400形より長さが50mm短縮され、幅は同一、天井高が135mm拡大されて、車体長15800mm、幅2620mm、天井高2420mmとなっていたほか、前後妻面はR4500mmの曲面となっていた。また、乗降扉は1400形と同じ幅1000mmの片開式で当初より自動扉、正面貫通扉は蝶番が運転台側の内開き式で、側面窓は1400形より幅は115mm、高さは140mm拡大された、幅800mm、高さ950mmの下段上昇式の二段窓であった。 屋根上の小田原側に集電装置台があり、三菱電機製S-514-Cパンタグラフが搭載され、集電装置台以外の部分にはガーランド式ベンチレーターが中央に1列に配置され、その左右に歩み板が設置されていたほか、屋根布押さえの乗務員室扉・乗降扉上部には水切りが設置されていた。 車内内壁は木製ニス塗り、天井は木製白色塗装、床は木製の床油引きで、室内灯は白熱灯で、白色のグローブが天井中央に1列に6基設置されてそれぞれに常用2灯が組込まれていたほか、うち4基には予備1灯も組込まれていた。座席は乗降扉間および車端部の乗務員室後部とその反対側にロングシートを配し、座面の奥行はデハ1400形より25mm拡大されて450mm、背摺を含む奥行は2.5mm縮小されて510mm、1人当たりの座席幅は乗降扉間は450mm、車端部は470mmとなっていた。乗務員室は左側隅部に設置されており、運転席背面・側面は内壁で区切られ、側面には幅520mmの引戸が設置されて客室と区切られていた。 室内の室内灯、吊手棒受、荷棚受、運転士日除などの室内装備品のデザインは統一されたものであった。一方で室内の吊革は竹製、座席袖仕切部の肘掛や乗降扉横の手摺、室内の禁煙表示板などが金属製から木製に変更されたほか、灯火管制に対応して室内には防空灯6基が、前照灯や尾灯には遮光筒が設置されていた。
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