テレオモルフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/18 19:30 UTC 版)
幼い子実体は球状であるが次第に伸長して倒涙滴形ないし倒卵形をなし、基部はしばしば短く不明瞭な柄状を呈することがあるが、これを欠くことも少なくなく、表面はくすんだ赤褐色ないし灰褐色で、微毛を密布してビロード状の触感があり、高さ 5-7 cm 程度になる。未熟な段階では楕円体状の頭部も細い円筒状の柄状部もともに白色の菌糸で満たされているが、頭部の中には次第に空隙を生じ、その内面に、胞子を形成する子実層(ハイメノフォア Hymenophore)が作られ始める。じゅうぶんに成熟すれば子実体の先端から垂直に亀裂が入り、4-7枚の裂片となって裂開し、おのおのの裂片は外側に大きく反転して全体の径10-12 cm の星状をなし、内面の子実層を露出する。子実層は肉眼的には平滑あるいはかすかなしわを備え、橙褐色ないし淡赤褐色あるいはクリ色を呈し、無数の子嚢と側糸とで構成される。 子嚢は細長い円筒状で無色・やや厚壁、基部はときにくびれ、さらに尾状に著しく細まっており、頂端に明瞭な円盤状の蓋(オパーキュルム Operculum)を備え、内部に8個ずつの胞子を形成し、外壁はヨウ素溶液で染まらない(非アミロイド性)。一個の子実体の内部に形成される子嚢は、すべてがほぼ同時に成熟して胞子を射出する。胞子は一側がやや平たくつぶれた紡錘状で無色・薄壁ないしやや厚壁、表面は平滑(ただし透過型電子顕微鏡による観察では、ごく微細な点状の窪みを密布する)、内部に1-5個の油滴を含み、ヨウ素溶液で呈色しないが、メチルブルーの乳酸溶液で全体が青く染まる。側糸は薄壁、ときに分岐し、はじめはその全長にわたって等径で糸状をなすが、老成すれば上端から三番目以下の細胞が球状に膨れ、全体としては数珠状を呈し、淡褐色の内容物を含む。子実体の髄層は不規則に絡み合った無色の菌糸で構成されており、菌糸はゼラチン化しない。子実体の外皮層は、髄層よりもさらに密に絡み合った菌糸からなり、個々の菌糸は褐色を帯びる。外皮層の構成菌糸の末端からは、厚い細胞壁を備えた黒褐色の毛状菌糸(互いにもつれ合うことは少なく、先端はやや丸みを帯び、外壁への色素粒沈着はない)を生じている。この毛状菌糸の外面は、光学顕微鏡下では滑らかにみえるが、走査型電子顕微鏡のもとでは無数の円錐状の突起におおわれている。
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テレオモルフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/27 08:11 UTC 版)
テレオモルフの子実体は、日本で見出されるクモタケとほぼ同形同大で、宿主もやはり、地中に袋状の巣を作って生活するクモ類であるが、頭部は粉状をなさず、微細な粒点(組織に埋没して形成された子嚢殻の開口部)をこうむり、粉状の分生子におおわれることなく黄白色ないし淡黄褐色を呈する。基準産地はトリニダードドバゴであるであるが、台湾・中国(安徽省滁州市)にも分布する。なお、アナモルフの分布が確認されているソロモン諸島では、テレオモルフの発生記録はまだ知られていない。 日本では、沖縄県西表島のカンピレー滝付近において、オキナワトタテグモを宿主とする標本が見出されたのが最初で、イリオモテクモタケの和名が与えられているが、発見例はクモタケに比べてはるかに少なく、沖縄県以外の産地としては鹿児島県(屋久島)および山口県が知られているのみである。 奄美大島においてミヤコジマトタテグモを宿主とし、子実体の赤みが弱くてクリーム色を帯びるものを一変異とし、アマミウスキクモタケの名で区別する意見もある。両者は、子実体(子座)の色調のほか、生育環境にもやや相違がある(イリオモテクモタケは通風のよい路傍の崖面、アマミウスキクモタケは空中湿度に富んだ沢すじに多い)という観察例が報じられている。
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