スペクトル標準星
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ハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる1953年の改定されたスペクトル分類では、A型矮星 (主系列星) のスペクトル標準星として多くの恒星がリストアップされたが、これらの全てが現在までスペクトルの標準星として生き残っているわけではない。MK分類において "anchor points" と "dagger standards" として挙げられたA型主系列星、つまり現在までA型星の定義として変わらず用いられ続けている恒星には、ベガ (A0V)、おおぐま座γ星 (A0V)、フォーマルハウト (A3V) がある。モーガンとキーナンによる1973年のMK分類についての重要なレビュー論文では、A3VからF2Vまでの間の型には dagger standards としての標準星は挙げられていない。その後1978年に、HD 23886 がA5Vの標準星であることが示唆されている。 Richard Gray と Robert Garrison は、1987年と1989年の2本の論文で、A型矮星のスペクトル分類法についての最も最近の寄与を行った。これらの論文では、高速自転するA型星と低速自転するA型星についてのスペクトル標準をリストアップしており、例えば HD 45320 (A1V)、HD 88955(英語版) (A2V)、みずへび座2番星 (A7V)、こじし座21番星(英語版) (A7V)、くじら座44番星 (A9V) が含まれる。 モーガンの論文や Gray と Garrison による論文で挙げられているMK分類の標準星の他に、しし座δ星 (A4V) も標準星として用いられる。なお、A6VとA8Vについては標準星として挙げられたものはない。
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スペクトル標準星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/25 07:19 UTC 版)
O型主系列星のMK分類を定義付ける標準星として20世紀前半から変わらず用いられ続けているものに、いっかくじゅう座S星(英語版) (O7V) ととかげ座10番星(英語版) (O9V) がある。 1943年以降のヤーキス天文台の天文学者によってまとめられたMKK分類では、O5からO9までのO型の標準星がリストアップされたが、O9型のものだけは光度階級によって標準星が分割されていた。MKK分類でのO9Vの標準星とされた2つの恒星は、オリオン座ι星ととかげ座10番星であった。1953年のハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる改定された標準星(MK分類)では、O5からO8までは変更はなく、O9Vの標準星として5つの恒星 (HD 46202、HD 52266、HD 57682、ケフェウス座14番星、とかげ座10番星) と、O9.5Vの標準星として3つの恒星 (ぎょしゃ座AE星、オリオン座σ星、へびつかい座ζ星) が追加された。1973年のモーガンとキーナン (Philip Childs Keenan) によるスペクトル分類における重要な再検討においては、MK分類の改定としてO4からO7までの標準星がリストアップされたが、ふたたび光度階級による標準星の分割は行われなかった。この論文ではO9Vの標準星としてとかげ座10番星が、O9.5Vにはオリオン座σ星がリストアップされた。 O型星のうち、O5よりも早期の分類は1970年代までは標準星を用いて定義されていなかった。1978年のモーガンらによるスペクトルの分類では、いくつかのO型主系列星(光度階級がVのもの)の定義がリストアップされた。それらは、HD 46223 (O4V)、HD 46150 (O5V)、HD 199579 (O6V)、HD 47839 (O7V)、HD 46149 (O8V)、HD 46202 (O9V) である。1990年には、OB型星に対する初めてのデジタル式のスペクトル分類が与えられ、その中にはO3Vの主系列星の標準星 (HDE 303308) も含まれていた。O2の分類は2002年に定義され、O2Vの標準星として BI 253(英語版) が用いられた (この恒星の実際のスペクトル型は "O2 V((f*))" である)。その際に、O4Vの標準星が HDE 303308 によって再定義され、O3Vの標準星として HD 64568 と LH 10-3058 が新たにリストアップされた。
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スペクトル標準星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:43 UTC 版)
G型主系列星の典型的な特徴スペクトル型質量(M☉)表面重力(log g)有効温度(K)色指数(B − V)G0V 1.15 4.32 5,980 0.583 G1V 1.10 4.34 5,900 0.608 G2V 1.07 4.35 5,800 0.625 G3V 1.04 4.37 5,710 0.642 G4V 1.00 4.38 5,690 0.657 G5V 0.98 4.40 5,620 0.672 G6V 0.93 4.42 5,570 0.690 G7V 0.90 4.44 5,500 0.713 G8V 0.87 4.46 5,450 0.740 G9V 0.84 4.48 5,370 0.776 ハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる1953年の改定されたスペクトル分類では、G型矮星 (主系列星) のスペクトル標準星として多くの恒星がリストアップされたが、これらの全てが現在までスペクトルの標準星として生き残っているわけではない。MK分類において "anchor points" として挙げられたG型主系列星、つまり現在までG型星の定義として変わらず用いられ続けている恒星には、りょうけん座β星 (G0V)、太陽 (G2V)、くじら座κ1星 (G5V)、おおぐま座61番星 (G8V) がある。MK分類におけるその他の主な標準星には、HD 115043 (G1V)、はくちょう座16番星 (G3V) などがある。G4VとG6Vの標準星は年代によってわずかに変化があるが、しばしば標準星の例として挙げられる天体にはおとめ座70番星 (G4V) やエリダヌス座82番星 (G6V) がある。G7V星とG9V星に対する標準星として広く受け入れられている天体はない。
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スペクトル標準星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/17 15:20 UTC 版)
ハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる1953年の改定されたスペクトル分類では、F型矮星 (主系列星) のスペクトル標準星として多くの恒星がリストアップされたが、これらの全てが現在までスペクトルの標準星として生き残っているわけではない。MK分類において "anchor points" として挙げられたF型主系列星、つまり現在までF型星を定義として変わらず用いられ続けている恒星には、おおぐま座78番星(英語版) (F2V)、オリオン座π3星 (F6V) がある。これら2つのスペクトル標準に加え、モーガンとキーナンによる1973年の論文では、"dagger standards" として標準星が加えられた。これらは、HR 1279 (F3V)、HD 27524 (F5V)、HD 27808 (F8V)、HD 27383 (F9V)、おとめ座β星 (F9V) である。その他の主要なスペクトル標準星には、HD 23585 (F0V)、HD 26015 (F3V)、HD 27534 (F5V) がある。ヒアデス星団内のほぼ同一のHD名を持つ HD 27524 と HD 27534 はどちらもF5V型星であると考えられており、したがってどちらもほぼ同一の色と等級を持つ。 1989年の Gray と Garrison の論文では、高温なF型星の現代的な表を与えている。F1VとF7Vに対する標準星はほとんど挙げられていないものの、専門的な分類の間ではわずかに変更されている。これらの型に対してしばしば用いられる恒星は、おおぐま座37番星 (F1V) とうお座ι星 (F7V) である。F4V型に対するスペクトル標準星は挙げられていない。 F9V型については、モーガンによって分類された高温の恒星と、キーナンによって分類された低温の恒星の境界を定義しており、どの恒星が高温なF型と低温なG型の境界を定義するのかは文献によって食い違いがある。モーガンとキーナンの1973年の論文では、おとめ座β星と HD 27383 がF9V型の標準星として挙げられているが、キーナンと McNeil の1989年の論文では HD 10647 が F9V の標準星として挙げられている。またカシオペヤ座η星はキーナンの1989年の論文ではF9V星とされているが、モーガンの1978年の論文ではG0V星とされている。
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スペクトル標準星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/21 07:44 UTC 版)
ハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる1953年の改定されたスペクトル分類では、12個の恒星がK型矮星 (主系列星) のスペクトル標準星としてリストアップされたが、これらの全てが現在までスペクトルの標準星として生き残っているわけではない。MK分類において "anchor points" として挙げられたK型主系列星、つまり現在までK型星の定義として変わらず用いられ続けている恒星には、りゅう座σ星 (K0V)、エリダヌス座ε星 (K2V)、はくちょう座61番星A (K5V) がある。 MK分類でのその他の主要なスペクトル標準星には、へびつかい座70番星A (K0V)、うお座107番星 (K1V)、グリーゼ892 (K3V)、みなみのうお座TW星 (もしくはフォーマルハウトB、K4V)、グリーゼ529 (K6V)、はくちょう座61番星B (K7V) などがある。 いくつかの文献での例に基づくと、多くの天文学者は K7V と M0V と隣り合った分類であると考慮しており、K8 と K9 の分類は滅多に見られない。HIP 111288 (K8V) や HIP 3261 (K9V) などのような少数の例が定義されて用いられている。
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スペクトル標準星
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 05:55 UTC 版)
M型星に対するスペクトル標準は年々わずかに変化しているが、1990年代前半以降はある程度固定されている。これは、赤色矮星は近傍にあるものでさえ非常に暗く、中期から晩期M型星の研究は天文学の観測技術が写真乾板からCCD、そして赤外線に敏感なアレイへと進歩した過去数十年でようやく進展したという事実が部分的な要因である。 ハロルド・レスター・ジョンソンとウィリアム・ウィルソン・モーガンによる1953年の改定されたスペクトル分類では、M型のスペクトル標準星としてリストアップされていたのは HD 147379 (M0V) とラランド21185 (M2V) の2つのみであった。HD 147379 は後の分類では標準星とみなされなかったが、ラランド21185は依然として M2V の主要な標準星である。MK分類において "anchor standard" として挙げられた赤色矮星は存在しないが、ラランド21185は多くの分類において M2V の標準星として生き延びた。 1973年のモーガンとキーナンによるMK分類の再検討においては、赤色矮星のスペクトル標準星は含まれていなかった。1976年にキーナンと McNeil によって、さらに P. C. Boeshaar によって赤色矮星の標準星が発表されたが、残念ながら標準星についての合意はほとんど得られなかった。1980年代以降により低温な恒星が同定されたため、赤色矮星のスペクトル標準星を全面的に見直す必要性が明確となった。1991年にスチュワード天文台の研究グループは、主に Boeshaar の標準星に基づき K5V から M9V までのスペクトル分類の標準星を与えた。これらのM型主系列星の大部分が、現在も標準星として生き残っている。1991年以降は赤色矮星のスペクトル分類方法にはほとんど変化はなく、いくらかの標準星の追加などが行われている。M型主系列星の主要なスペクトル標準星には、GJ 270 (M0V)、グリーゼ229A (M1V)、ラランド21185 (M2V)、グリーゼ581 (M3V)、グリーゼ402(英語版) (M4V)、GJ 51 (M5V)、ウォルフ359 (M6V)、へびつかい座V1054星C (M7V)、VB 10 (M8V)、LHS 2924 (M9 V) がある。
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