しのぶ【信夫】
しの・ぶ【×偲ぶ】
読み方:しのぶ
《上代は「しのふ」で、ハ行四段活用。平安時代になって、「忍ぶ」(本来は上二段活用)と混同して「しのぶ」となり、上二段にも活用》
[動バ五(四)]
1 過ぎ去った物事や遠く離れている人・所などを懐かしい気持ちで思い出す。懐しむ。「故郷を—・ぶ」「先師を—・ぶ」
2 心引かれて、思いをめぐらす。慕わしく思う。「人となりが—・ばれる」「人柄を—・ばせる住まい」
「秋山の木の葉を見ては黄葉(もみち)をば取りてそ—・ふ」〈万・一六〉
[動バ上二]
1に同じ。
「なき人を—・ぶる宵のむら雨に」〈源・幻〉
しのぶ【忍】
読み方:しのぶ
1 シノブ科の多年生のシダ。山中の岩や樹木に着生。根茎は褐色の鱗片(りんぺん)を密にかぶり、葉身は三角形で細かく裂ける。江戸時代から根や茎を丸めて釣り忍として観賞用にする。しのぶぐさ。《季 夏》「大岩にはえて一本—かな/鬼城」
2 ノキシノブの別名。
3 襲(かさね)の色目の名。表は薄い萌葱(もえぎ)、裏は青。秋に用いる。
4 「忍髷(しのぶわげ)」の略。
5 「忍摺(しのぶず)り」の略。
しの・ぶ【忍ぶ】
読み方:しのぶ
《上代は上二段活用。平安時代になって「偲(しの)ぶ」と混同し、四段にも活用》
[動バ五(四)]
1 つらいことをがまんする。じっとこらえる。耐える。「恥を—・んで申し上げます」「不便を—・ぶ」
2 自分の存在や行いを、人に気付かれないようにする。外から見えないようにして身を置く。隠れる。「人目を—・んで通う」「—・ぶ恋」「世を—・ぶ」「物陰に—・ぶ」
[可能] しのべる
[動バ上二]
1 (現代語に残存したものとして、ふつう「…にしのびず」「…にしのびない」など打消しの語を伴った形で用いる)救ってやりたい、捨てるに惜しい、といった気持ちを現したいのを押さえる。こらえる。「正視するに—・びず」「たっての願いを断るのは—・びないが」→しのびない
2 1に同じ。
「人目多み目こそ—・ぶれすくなくも心のうちにわが思はなくに」〈万・二九一一〉
3 2に同じ。
シノブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 14:45 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動シノブ | |||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||
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シノブは、着生のシダ植物。日本では観賞用に採取・栽培されることがある。
特徴
シノブ (Davallia mariesii Moore ex Baker) は、シダ植物門シノブ科に属するシダである。樹木の樹皮上に生育する着生植物である。
葉は3~4回羽状複葉っぽく裂け、全体としては卵形になる。小葉は先がやや細い楕円形。やや厚みがある革状の葉質をしている。小葉の裏面には、小葉全体より一回り小さいだけの胞子のう群がある。胞子のう群は包膜に包まれて、全体としてはコップ形で、先端の方に口が開いている。葉は冬に落ちる落葉性。ただし、南西諸島のものは常緑である。
茎は太くて長く伸び、表面には褐色の鱗片が一面にはえる。茎は樹皮に根で張りつき、枝分かれしながら樹皮の上をはい回る。よく育てば、木の幹の回り一面に広がって葉をつける。
利用
日本列島では北海道の一部から南西諸島に掛けて、国外では朝鮮半島南部、中国、台湾に分布する。山地の森林内の樹木などに着生するが、古くから栽培された。特に棕櫚皮などを丸く固めたものにシノブを這わせ、紐で吊るせるようにしたものをシノブ玉と呼び、軒下などに吊り下げて鑑賞した(つりしのぶまたは釣りしのぶ。夏の季語)。通常は苔と組み合わせ[1]、場合によってはセッコクなどもこれにつけた。
なお、近年は、より葉が分厚く、台湾産の種である常緑のトキワシノブ(Humata tyermanii)が栽培されている。
文化
シノブの名は古来より和歌などにも見られ、長く観賞の対象となっていたことを伺わせる。和名の意味は「忍」であり、「堪え忍ぶ」性質が強いためと言われる(岩槻、1992、p.115.)。
近縁種等
国内の近縁種には、葉がはるかに厚くて固く、二回羽状複葉っぽく浅く裂けるキクシノブ(Pachypleuria repens (L.f.))がある。紀伊半島から九州まで分布する希少種である。名前は葉が菊の葉に似ることから。また、琉球列島のシマキクシノブ(P. vestita (Bl.))は葉がさらに細かく裂けることで区別できる。
シダの古名としてのシノブ
シノブはシダの古名のひとつでもあり、この名を持つシダは数多い。代表的なものにノキシノブ・タチシノブ・ホラシノブなどがある。また、カニクサにはツルシノブという別名がある。
脚注・出典
- ^ 深野晃正「軒先の涼 釣りしのぶ◇江戸に広まった夏の風物詩 自ら山でコケなど採り作る◇」『日本経済新聞』朝刊2018年7月12日(文化面)2018年7月15日閲覧
参考文献
- 岩槻邦男編『日本の野生植物 シダ』(1992年、平凡社)
- 光田重幸『しだの図鑑』(1986年、保育社)
シノブ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/10/03 06:41 UTC 版)
「太陽がイッパイいっぱい」の記事における「シノブ」の解説
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「シノブ」の例文・使い方・用例・文例
- ハナシノブ科の植物の、ハナシノブ科の植物に関する、または、ハナシノブ科の植物に特徴的な
- シノブノキ属低木または高木の総称
- ハナシノブ科
- ハナシノブ科の標準属
- ハナシノブ属の植物の総称
- フロックス属のハナシノブ科の植物の総称
- ハナシノブ科の草本の属
- ハナシノブ目の植物の科
- ハナシノブ目の双子葉植物の植物の科
- 地上生(水生)または着生のシダ:コケシノブ科のシダ
- コケシノブ科の標準属
- 熱帯地方の湿地帯に生えるコケシノブ属のシダの総称、葉は半透明
- シダ:ある区分においていくつかの科に分類される大きな科(チャセンシダ科、シシガシラ科、シノブ科、コバノイシカグマ科、オシダ科、ツルシダ科とイノモトソウ科を含む)
- シノブ属シダの総称
- 柔らかい灰色の毛でおおわれた根茎を持つシノブ属の2種類のシダのいずれか
- シノブ属のキンモウウラボシ
- イキシノブという植物
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