サーマル方式
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「インクジェットプリンター」の記事における「サーマル方式」の解説
サーマル方式とは、加熱により管内のインクに気泡を発生させてインクを噴射する方式である。 サーマル方式ではインクの詰まった微細管の一部にヒーターを取り付け、これを瞬時に加熱することでインク内に気泡を発生させてインクを噴出させる。加熱に使用するヒーターは抵抗加熱、誘導加熱などが考えられる。その基本原理は1970年代半ばにキヤノンの中央研究所で偶然見つかった現象に由来する。この時、液体の詰まった注射針に半田ごてが触れたとき針先から液体が飛び出した。キヤノンではこの現象を解析、これをヒントに各社で研究開発が進められ、1984年にヒューレット・パッカードが世界で初めてサーマル方式のインクジェットプリンターを発売した。翌1985年にはキヤノンも自社開発のサーマル方式を「バブルジェット」と命名しBJ-80を発売した。富士フイルムビジネスイノベーション、レックスマークなどでもサーマル方式のインクジェットプリンターの開発および販売が行われている。 サーマル方式の長所は以下の通りである。 ヘッド構造が比較的単純。 物理的機構が少なく印刷速度の高速化や印字画素の高密度化が図りやすい。 インク滴の射出が高速であるため双方向印刷の精度が出しやすい。 短所は以下の通りである。 熱をインクに加えることになるため、熱劣化の少ないインクを用いる必要がある。 同一の噴出穴でインク噴出量を調整するのが難しい。実際多くのプリンターで高速印字用の大液滴噴出穴と、写真印刷などに用いる小液滴噴出穴を並べている。 ヘッドの寿命が短く、プリンターの場合ユーザーによる交換が必要となることが多い。 長期間使用しない場合、ノズル中のインクの水分が蒸発することによりヘッドが詰る場合がある。微細化されるとその傾向が高まる。もっともキヤノン製ヘッドの中期[いつ?]以降のものは、ヒーターとノズル先端との距離が短縮されインク吐出時に気泡がノズル先端に到達するように構成されたため、乾燥によりノズルが詰まる可能性は減った。 インクの噴出穴が多いため、目詰まり防止のためのクリーニングによるインク消費が多く、低頻度印刷でも維持コストがかさむ。 水滴がかかると変色することがある。
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サーマル方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 03:55 UTC 版)
いわば可逆式の感熱紙とも言うべきもので、光散乱方式と発色方式があり、前者の光散乱方式では透明状態と白濁状態を熱による相分離、または相変化により可逆的に変化させることで光散乱や屈折率、透過率の変化を利用する物理変化型で、仮に、室温で高分子中に脂肪酸結晶があっても、空隙がないので光を透過して透明だが、この状態で加熱すると、高分子がガラス転位点以上となり、脂肪酸結晶が融解するものの、この状態で急冷すると樹脂は固化するが、脂肪酸は過冷却となりすぐに結晶化せず、しばらくしてから結晶化するので光が散乱されて白濁状態となる。後者はこれまで感熱記録紙で使用されているロイコ染料の発色現象を利用して熱的に制御することによって書き換え可能な表示が可能で、化学構造が変化して発色する化学変化型で、単独では無色なロイコ染料が、酸性物質の顕色剤と結合することに発色する。
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