昇華式ピエゾプリンター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 02:51 UTC 版)
「染料昇華印刷」の記事における「昇華式ピエゾプリンター」の解説
インクジェットプリンターのプリントヘッドにはサーマル方式とピエゾ方式があるが、家庭用大手プリンターメーカーではエプソン以外のすべてのメーカーがサーマル方式を採用していたのに対し、エプソンだけはピエゾ方式を採用していた。また、「ダイレクト昇華インク」を用いた捺染プリンターにはインクリボンを使ったインクリボン方式、トナーを使ったレーザープリンター方式、水性染料インクを使ったインクジェット方式があるが、エプソンが2013年に業務用プリンター「SureColor」シリーズに昇華型インクを採用した製品を加え、業務用ガーメントプリンター市場に本格参入した際、ヘッドは当然ピエゾ方式のインクジェットヘッドを採用した。 2014年、デジタル捺染の市場が急速に拡大するのを見たエプソンは、この市場に向けて「PrecisionCore」と称する新開発のピエゾプリントヘッドを投入。ガーメントプリンター市場において、昇華型インクを使用したデジタルインクジェット印刷の支持は拡大しており、例えば2021年現在でガーメントプリンター最大手の一角を占める武藤工業も、エプソンからピエゾプリントヘッドの供給を受けている。エプソンと並ぶ家庭用プリンター大手のキヤノンも、商用印刷の分野への攻勢の機会をうかがっていたが、2020年にピエゾ方式のプリントヘッドの開発に成功。インクジェットは印刷する対象物を選ばないため、もともと商業印刷向きの技術とされており、またピエゾ方式はインクに熱を加えないため、特にプロフェッショナル用途での色の再現性に適していると考えられている。 市場で入手可能なピエゾ染料昇華プリンター用の染料昇華インクには2つのタイプがある。最も一般的なのがエプソンのヘッドなどで採用されている「水性染料昇華インク」で、これは小型のデスクトップ用でも業務用大判プリンターでも両方で使用できる。一方、ローランドやミマキエンジニアリングなどは「溶剤染料昇華インク」を使っている。それぞれ、各社のヘッド用の詰め替えインクが販売されているが、この2つを間違えて混ぜてはいけない。 水性染料昇華インクを使用する大判ピエゾプリンターの印刷速度は、引き続き向上している。44インチ幅の小型の業務用ガーメントプリンターでも、印刷速度が1時間あたり18平方メートルに達するが、高速の工業用テキスタイルプリンターでは印刷速度が1時間あたり3,000平方メートルを超える。
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