昇華型フォトプリンターの応用製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 02:51 UTC 版)
「染料昇華印刷」の記事における「昇華型フォトプリンターの応用製品」の解説
かつては、昇華型プリンターと言うと工業用またはハイエンドの商業用印刷においてのみ利用されていた。例えば昇華型フォトプリンターは、医療用画像、グラフィックアートの校正、セキュリティ、および放送関連の応用製品においてのみ使用されていた。しかし今日では、高速のオンデマンド印刷を必要とするイベント写真やフォトブース、キオスク端末などで非常に一般的なものとなっている。 アルプス電気は、1990年代より家庭用として5万円から10万円程度の価格帯で高解像度な昇華型プリンターの「マイクロドライブプリンタ」を製造し、昇華型印刷技術を一般消費者の身近なものとした。2021年現在においては、市場には1万円台から買える昇華型プリンター、特にはがきサイズのモバイルフォトプリンターがたくさん存在する。 小型プリンターからインスタントな写真プリントを安価に作成できるため、カードプリンターを使用したID写真など、昇華型印刷を応用した一部の製品では従来のフイルムと印画紙を使ったインスタント写真に取って代わったものもある。 いくつかのメーカーでは、卓上サイズの製品をスタンドアロンプリンター(パソコンなどと接続する必要が無く、プリンター単体で印刷できる製品)として販売しており、さらにはこれと同種の物をプリントキオスク端末や証明写真機向けとしても販売している。RS232Cなど汎用のプリンターの通信規格に対応した製品もある。一部のメーカーでは、プリンターにソフトウェア開発キットを同梱しており、自社のラベルプリンターを買ってくれたお客様に、あわよくばシステムインテグレーターとして自社のプリンターを使った応用製品を開発してもらいたい、と言う下心がうかがえる。 卓上サイズのスタンドアロン昇華型フォトプリンターは、イベント写真の出張写真家によっても使われている。プリンターのインスタントプリント機能により、イベントに参加している時間内に、携帯に便利な小型プリンターからすぐにラボ品質のプリントを作成でき、同時に販売もこなせる。 「昇華」を間接印刷プロセスとしても使用できる。一般的な白黒レーザープリンタを使った、いわゆる「トナー転写」と呼ばれる手法で昇華型印刷が利用できる。「トナー転写」には、熱転写シートに印刷した印刷物を転写プレス機で再転写するという方法(家庭では熱プレス機の代わりにアイロンが使われるので、「アイロンプリント」とも呼ぶ)が一般的だが、昇華染料を含んだ「昇華トナー」と言う特殊なトナーを使用して、普通紙に印刷した物を転写プレス機で昇華熱転写するという方法(「トナー昇華転写」)もあり、Tシャツ、帽子、マグカップ、金属、パズル、その他の表面に恒久的に熱転写できる。専用の昇華トナーはインクリボン方式のインクリボンと同じくらい高コスト、昇華トナーが使える機種が限定される、印刷も粗い、などのデメリットがあるが、転写紙の代わりに普通紙が使えるので低コスト、省スペース、高速、と言うメリットがある。2016年に日本初の卓上型昇華転写レーザープリンタを発売したアイメックス社によると、イベント会場でその場でグッズを作る際などに便利とのこと。
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