昇華再転写方式のプロセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 02:51 UTC 版)
「染料昇華印刷」の記事における「昇華再転写方式のプロセス」の解説
昇華型印刷とは、ポリエステルやポリマーでコーティングされた対象物に対して行われる、フルカラー印刷が可能なデジタル印刷技術である。シルクスクリーンプリントのように印刷版を必要とするアナログな印刷ではなく、プリンターで印刷するデジタルな印刷なので「デジタルプリント」「デジタル昇華」とも呼ばれるこのプロセスは、印刷版を作らないだけ低コストなので、小ロットの印刷に向いており、服飾、看板、のぼりのほか、携帯電話のカバー、バッジ、マグカップ、その他の昇華印刷がしやすいノベルティアイテムの表面の装飾によく使用される。「ラバープリント」などのように厚盛りにならず、通気性が良いので、スポーツウェアなどでもよく使われる(ノベルティプリントTシャツだとラバープリントの方が好きな人もいる)。このプロセスでは「昇華」という科学現象を利用する。昇華法では、固体に熱と圧力を加えることで、液相を通過せずに吸熱反応によって固体が直接気体に変わる。 昇華型印刷で一般的な昇華再転写方式のプロセスを述べると、まず、特殊な昇華染料に圧電プリントヘッドを当てることにより、ゲル状の昇華インクを「転写紙」に反転印刷させる。この「転写紙」とは高い離型性を持ったインクジェット紙のことで、昇華型インクをこれに付着させた状態で保持する。次に、このデジタルデザインが印刷された転写紙を、印刷を行う対象物と一緒にヒートプレス機に設置する。 画像を転写紙から印刷対象物に転写するには、時間、温度、圧力を適切に組み合わせた熱プレス機プロセスが必要となるが、それぞれどのようにすれば良いかは、印刷する対象によって異なるので注意が必要である。この過程で、昇華した色素が分子レベルで印刷対象物に転写される。昇華印刷に使用される最も一般的な染料では、摂氏175度(華氏350度)程度で昇華される。ただし、最適な発色を得るには、通常、摂氏195〜215度(華氏380〜420度)の範囲で行うのがよい。 昇華型プリントを利用すると、ほぼ永久的な高解像度のフルカラープリントが得られる。染料は印刷対象物に部分的に張り付いているわけではなく、分子レベルで印刷対象物と融合しているため(スクリーン印刷や衣服に直接印刷する直接昇華方式のガーメントプリンターなどと同様)、一般的な利用環境のもとでは、プリントが基材から割れたり、色あせたり、はがれたりすることはない。
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