物理的機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 07:28 UTC 版)
「ヤルコフスキー・オキーフ・ラジエフスキー・パダック効果」の記事における「物理的機構」の解説
自転する球形の小惑星の赤道部分に2つのくさび形のひれが付いており、平行な太陽光線で照らされているという状況を考える。球状の核における任意の表面要素から放たれる光子による反作用は表面に対して垂直になり、トルクは生み出さない (力のベクトルは全て天体の質量中心を通る)。 しかし光子の熱放射がくさび形の部分から放射された場合は、表面に垂直なベクトルは小惑星の重心を通過せず、トルクが生み出される。どちらのひれも入射する光に対して同じ断面積を持っており (どちらも同じ高さと幅を持つとする)、同じ量のエネルギーを吸収および反射し、同じ強さの力を生み出す。しかしそれぞれのひれの表面は傾いており、再放射された光子による垂直方向の力は打ち消し合わない。図では、ひれ A からの放射は入射光と平行な赤道面の力を生成し、垂直方向の力は生成しない。しかしひれ B による力は小さな赤道方向の力と、垂直方向の力を生み出す。この2つのひれの間の力の不釣り合いによりトルクが生み出され、天体の自転に影響を及ぼす。放射される光によるトルクは小惑星が一周自転する間でも平均化されないため、自転は時間とともに加速する。 結果として、「風車」のような形状の非対称性を持つ天体は非常に小さいトルクを受けることとなり、自転軸が歳差を起こすだけではなく、自転が加速されたり減速されたりする傾向がある。天体が自転する楕円体の形状であった場合は、もし表面温度やアルベドに不規則性が無いのであれば、YORP効果はゼロとなる。
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