クイック・ワンとは? わかりやすく解説

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クイック・ワン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/10 21:23 UTC 版)

クイック・ワン
ザ・フー楽曲
収録アルバム ア・クイック・ワン
リリース 1966年12月9日
規格 レコード
録音 1966年11月
ジャンル ロック
時間 9分10秒
レーベル リアクション・レコード(UK)
デッカ・レコード(US)
作詞者 ピート・タウンゼント
作曲者 ピート・タウンゼント
プロデュース キット・ランバート
ソー・サッド・アバウト・アス
(9)
クイック・ワン
(10)

クイック・ワン」(A Quick One, While He's Away)は、イギリスロックバンドザ・フーの楽曲。作詞・作曲はピート・タウンゼント1966年発表のアルバム『ア・クイック・ワン』収録曲。

解説

短いパーツを集めて組曲風に仕上げた演奏時間9分超の楽曲。彼等は「ミニ・オペラ」と呼んでいた。彼等の代表作の1つになったロック・オペラ・アルバム『トミー』(1969年)の先駆け[注釈 1]となった記念碑的作品である[1][2]

ストーリーは、1年以上も恋人と会えずに嘆き悲しむ少女が、「俺達が慰めてやる」と言い寄ってくる男達やアイヴァーと名乗る老機関士の誘惑にのせられるが、最後には戻ってきた恋人に全ての不貞を許される…という内容である[3]。曲は以下の6つのセクションから構成されている。

  1. Her Man's Been Gone(彼女の男は出ていったきり)
  2. Crying Town(クライング・タウン)
  3. We Have a Remedy(良い薬があるんだ)
  4. Ivor the Engine Driver(機関士のアイヴァー)
  5. Soon Be Home(スーン・ビー・ホーム)
  6. You Are Forgiven(あなたを許してあげる)

各セクションでリードボーカルも異なっており、1ではメンバー全員によるアカペラ、2、3ではロジャー・ダルトリーが、4ではジョン・エントウィッスルが、5はダルトリー、エントウィッスル、タウンゼントによるコーラス、6はタウンゼントが、それぞれ担当している。

曲が出来るきっかけは、当時のグループのマネージャーであり、サウンドプロデューサーでもあったキット・ランバートの助言だった。タウンゼントは1974年のインタビューで次のように語っている。

アルバム(『ア・クイック・ワン』)が完成した後、まだ10分ほどの空きがあることがわかった。するとキットが俺に「何か連続性のある10分の物語を作ってみろ」って言うんだ。俺は「10分の曲なんて書けるわけないだろ。ロック・ソングなんてせいぜい2分50秒だ。使えるコードだって4つか5つぐらいだ。昔からの伝統でそう決まってる」って言ったよ。そしたら彼は「10分の曲を書けないなら、2分50秒の曲を集めて10分の物語を作ってみろ」と言ったんだ。俺は書いたよ。で、それが「ミニ・オペラ」と呼ばれるようになったわけだ。
ピート・タウンゼント[4]

レコーディングはコンサートツアーの合間を縫って、1966年11月に3つのスタジオを渡り歩いて行われたが、当時の技術の限界か一部の曲間の繋ぎ目が粗く、編集点が目立ってしまっている[1]。タウンゼントは上記のインタビューで「シンバルの音を圧縮して蒸気機関のような音を作った」と発言しているが[4]、これは“Ivor the Engine Driver”のパートで聴こえる音と思われる。また各セクションを短いナレーションで繋ぐアイディアもあったが、まとまりが悪くなるとして却下された[3]

コンサート・パフォーマンス

彼等が「クイック・ワン」をコンサートで披露していた時期は、1967年から1970年の『トミー・ツアー』までとあまり長くない[1]。スタジオ音源では演奏時間が9分を超えるが、コンサートでは大体7~8分程度にまとめられ、スタジオ音源よりもハードに演奏されるのが常だった。

公式のライブ音源・映像の中で最も古いと思われる1967年の「モンタレー・ポップ・フェスティバル」では、まだメンバーが曲の構成を覚え切れていなかったためか、やや粗の目立つ演奏になっている[5]。翌1968年に行われたローリング・ストーンズ主催のロック・イベント「ロックンロール・サーカス」では、既に高く評価されていたライブバンドとしての実力をいかんなく発揮して、素晴らしい演奏を披露した。「ロックンロール・サーカス」は、その版権を握っていたストーンズの当時のマネージャーのアラン・クレインが制作後にストーンズと袂を分かったので、長く封印された[6]が、「ザ・フーの圧倒的なパフォーマンスにヘッドライナーのストーンズが完全に食われてしまい、このためにストーンズが作品を封印してしまった」という説が囁かれたほどであった[7]2017年現在、いずれの映像・音源もソフト化されている。

ザ・フーの公式作品では、ドキュメンタリー映画キッズ・アー・オールライト』とサウンドトラック盤(1979年)に上記「ロックンロール・サーカス」での演奏が、『ライヴ・アット・リーズ』(1970年)の1995年以降のリイシュー版に1970年のリーズ大学公演の音源が収録されている。また、1994年の4枚組ボックスセット"Thirty Years of Maximum R&B"にはスタジオ音源と「ロックンロール・サーカス」のライブ音源をミックスさせた特別バージョン、『BBCセッションズ』(2000年)には1967年10月にBBCのラジオ番組「トップ・ギア」のために録音した音源が収録された。

2014年の「Hits 50!」ツアーで、44年ぶりにセットリストに加えられた。

その他

ビートルズが1969年の「ゲット・バック・セッション」のリハーサルでこの曲を採り上げた。ジョージ・ハリスンがリハーサル中に他のメンバーと衝突しスタジオを飛び出して行ったことに対し、ジョン・レノンが原題“A Quick One, While He's Away”(「奴がいない間に急いでやっちまえ」)に引っかけて採り上げたもので、レノン流のハリスンに対するあてこすりである[8]

脚注

注釈

  1. ^ アルバム『セル・アウト』(1967年)にはミニ・オペラの第2弾「ラエル」が収録された。

出典

  1. ^ a b c CD『ア・クイック・ワン』コレクターズ・エディション(2012年)付属の犬伏功による解説より。
  2. ^ レコード・コレクターズ増刊『ザ・フー アルティミット・ガイド』(2004年)99頁。
  3. ^ a b 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、104頁。
  4. ^ a b BBC2のテレビ番組「2cd House」(1974年8月29日収録)より。映画『キッズ・アー・オールライト』収録。
  5. ^ レコード・コレクターズ増刊『ザ・フー アルティミット・ガイド』(2004年)50頁。
  6. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、183頁。
  7. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、166頁。
  8. ^ レコード・コレクターズ増刊『ザ・ビートルズ/コンプリート・ワークス・3 1968-1970』(2000年)107頁。

Quick1

(クイック・ワン から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 15:44 UTC 版)

QUICK1/Quick1 (Q1)
販売会社 明星食品
種類 即席麺
販売開始年 1982年(初代)
2013年(2代目)
販売終了年 1984年(初代)
2015年(2代目)
完成国 日本
関係する人物 ザ・タイガース
中川翔子
特記事項:
2013年度グッドデザイン賞を受賞。
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Quick1(クイック・ワン)とは、明星食品から発売されていたカップ麺である。

概要

従来、カップタイプのインスタントラーメンは熱湯を注いでからの調理時間に3分から5分を要し、調理時間が待ちきれないというニーズが存在していた。

1982年10月、明星食品はそれに応える商品として、通常の麺と比べて気泡を多くした特殊製法の麺を用い、調理時間を1分に縮めた商品として「QUICK1(クイックワン)」を発売した。味は、しょうゆベースの「ピリッと辛辣中華」、とんこつ風味の「こってりポークブイヨン」、カレー味の「スパイシー印度カレー」の3種類で、辛味を利かせたり濃いめの味付けをした刺激的な風味が特徴であった。後にバーベキュー風味の「バーベキューしょうゆ味」も追加された。発売当初は大反響を得たが、次第に調理時間の短さに起因する欠点の「調理時間直後ではスープが熱すぎる」や「特殊製法の麺が伸びやすい」が露呈し、商品の人気は急速に下降した。さらに、日清食品が当時実用新案権を持っていた「中空保持構造」を明星食品が無断でQUICK1に採用していたことが明らかとなり、1983年1月に訴訟問題へ発展した[1][2]。その後、伸びにくい麺への改良や味のリニューアルが行われたが、売上は低迷したまま1984年に販売終了となった。

調理時間1分台のカップ麺はQUICK1の終売で一旦途絶えるが、1990年代に入ると「日清ラ王(初代)」(日清食品、1992年 - 2010年)に代表される生タイプ麺のカップラーメン、および「俺の塩」(東洋水産、1997年 - )に代表される細麺タイプのカップ焼きそばなどが登場したことで、再び実現した。なお、明星食品はQUICK1の販売終了から26年後の2010年に「バリカタ」という商品名の調理時間1分台のカップ麺を発売した(その後、「チョッパヤ」に発展)。

2013年2月18日、主に女性客をターゲットに同社の「チョッパヤ」で培ってきたノウハウを投入し、31年を経て「Quick1(クイック・ワン)」名義で再び発売された[3]。味はチキンコンソメブイヤベースミネストローネの3種類が用意されている。なお、2代目Quick1は同年10月1日に2013年度グッドデザイン賞を受賞したが、これは一連の即席麺としては初の受賞となる。

2013年11月4日には男性客をターゲットとした縦型ラージカップの「Quick1 PRIME(クイック・ワン プライム)」シリーズが発売され[4]2014年2月10日には既存のチキンコンソメ、ブイヤベース、ミネストローネがリニューアル発売されたが、2015年に販売終了となった。

CM

初代QUICK1発売当時、同窓会という名目で再結成していたザ・タイガース[5]が起用された。『クイズ・ドレミファドン!』(フジテレビ系)等の番組でも大々的に取り上げていた。発売当初のCMでは同窓会期に発表した最後のシングル「銀河旅行」がCM曲として使われた。

2013年にQuick1名義で2代目が再発売された時のCMには、中川翔子が起用された[3]。CM曲はアタックNo.1の替え歌である。

脚注

  1. ^ 『ラーメン戦争 日清と明星で激突 実用新案権で"訴訟"』 - 朝日新聞 1983年1月22日
  2. ^ 日清食品と明星食品は2006年から2008年にかけて事業・経営統合を行い、「日清食品ホールディングス」を成立させている。
  3. ^ a b 2013年1月30日閲覧、日経トレンディネット
  4. ^ 当初はビーフシチューヌードルのみの発売だったが、2014年1月6日にオニオングラタンスープヌードルが追加発売された。
  5. ^ メンバーの一人である岸部シローは、QUICK1以前にも明星食品の即席ラーメンのCMに出演していた。また、加橋かつみが再合流していた一方で、瞳みのるは、当時完全引退していたため不参加だった(「同窓会」と謳っているのはそのため)。

関連項目

外部リンク


クイックワン(Quick One)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 20:21 UTC 版)

宝くじ」の記事における「クイックワン(Quick One)」の解説

2022年令和4年4月1日より発売開始したインターネット専用全国自治宝くじこれまでの宝くじ異なりゲームチャレンジするとすぐに結果が出る。回号により価格賞金条件チャレンジできるゲーム異なる。発売中のクイックワンの中から購入する回号を選び枚数指定対象ゲームの中からチャレンジするゲーム選びゲームチャレンジすることで当せん結果確認できる

※この「クイックワン(Quick One)」の解説は、「宝くじ」の解説の一部です。
「クイックワン(Quick One)」を含む「宝くじ」の記事については、「宝くじ」の概要を参照ください。

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