キャストの交代
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「マッシュ (テレビドラマ)」の記事における「キャストの交代」の解説
ヘンリー役のマクリーン・スティーブンソンは、第3シーズンが始まる頃には、アラン・アルダ、ウェイン・ロジャースに次ぐ第三の外科医を演じることに次第に嫌気がさし、途中で降板したいとプロデューサーに告げた。ヘンリーの別れの回を準備する時間はたっぷりあったので、ヘンリー・ブレイクは第3シーズンの最終回で除隊し、家に帰ることに決まった。彼の最後のエピソードのタイトルは、"Abyssinia, Henry"である。Abyssiniaは発音のよく似たI'll be seein' yaの俗語で、「さよなら」「また会おう」の意である。その回の最後のシーンで、レイダーは涙ぐみながらヘンリーの乗った飛行機が日本海で撃墜され、彼が死んだと報告した。レイダー役のバーゴフがこの演技について聞かされる数分前まで、キャストはこのシーンを書いたアルダを除き、誰もこんなことになるとは知らなかった。それまでは、ブレイクが無事に家に着いたことが伝えられるはずだった。今ではこれは古典的なエピソードだと考えられているが、当時はファンから怒りの手紙の集中砲火を浴びた。その結果、『マッシュ』の制作チームは、他のキャラクターは悲惨な去り方をすることはないと約束した。スティーブンソンは1996年2月15日に亡くなった。なお、映画でヘンリー・ブレイクを演じたロジャー・ブラウンはその翌日に逝去している。しかも、二人とも死因は心臓発作である。 トラッパー役のウェイン・ロジャースは、第4シーズンにも出演する予定だった。しかし、契約更新の際に「道徳条項」にサインすることを求められ、拒否するといういざこざが起こった。ロジャースは第1シーズンからシリーズを降板すると脅しをかけていたが、第3シーズン途中で降板を決めたマクリーン・スティーブンソンに比べれば、その離脱は予想外だった。ロジャースは、彼の役はろくに重視されたことがなく、アルダの役ばかりに重点が置かれていると感じていた。ロジャースの後釜のマイク・ファレルは、1975年夏の中断の間にあわてて採用された。トラッパーの別れのエピソードがないのはこのためである。 3人の主役のうちの2人が去った結果、第4シーズンは『マッシュ』にとって大きなターニング・ポイントとなった。第4シーズンの冒頭で、ホークアイはレイダーから自分の休暇中にトラッパーが除隊になったと知らされる。そして、トラッパーの代わりにB.J.ハニカットが招集されてきたが、視聴者がトラッパーの出発を見ることはなかった。このシーズンの第2話では、シャーマン・T・ポッター中佐が、ブレイクの代わりに部隊の指揮官に任命される。シリーズは、コメディではあるが、次第に感情面を重視するようになる。ロレッタ・スウィットが演じるホリハン少佐の役柄はこの間にも進化を遂げ、ホークアイやB.J.とより親しくなり、フランクと仲違いする。彼女は後に、「わたしより階級が上じゃない人は愛せないの。」として将校仲間のドナルド・ペノブスコット(Donald Penobscot)中佐と結婚するが、この結婚生活は長く続かなかった。「ホット・リップス」というニックネームは、このシリーズの半ば頃からほとんど使われなくなった。実は、ロレッタ・スウィットは、他の役柄(特に『女刑事キャグニー&レイシー』のクリスティン・キャグニー)を演じるために第8シーズンでシリーズを降板したいと考えたが、プロデューサーは契約解消を拒否した。『女刑事キャグニー&レイシー』のシリーズのパイロットとなったテレビ映画版で、スウィットはキャグニーの役柄を作り出して見せたが、TVシリーズには出演しなかった。 フランク役のラリー・リンヴィルは、第4シーズンが終わりコメディ派の脚本家の筆頭だったラリー・ゲルバートが去った後には、彼が演じるフランク・バーンズのキャラクターがいとも簡単にわめきちらすようになったことに気づいた。第5シーズンの間中、リンヴィルはフランク・バーンズとしてやれることはやり尽くしたと感じていた。そして、もともと5年契約にサインしていたので、5年目が終わりに近づいたところでこのシリーズから降板すると決めた。第6シーズンの第1話では、フランクは、全部カメラに写らないところで、マーガレットの結婚のせいでおかしくなってしまい、米国本土に転属し、代わりに中佐に昇進した。ある意味、フランクのホークアイに対する捨てぜりふである。マクリーン・スティーブンソンやウェイン・ロジャースと違って、リンヴィルはこのシリーズを去ることに未練はなく、「わたしはこの役でできることはすべてやったと思う。」と語っている。長年にわたり喫煙者だったリンヴィルは、2000年4月に、癌に関連した肺炎で死亡した。 デビッド・オグデン・スティアーズが演じたチャールズ・エマーソン・ウィンチェスター三世は、他の外科医たちに対する一種の敵対者として登場した。より有能な引き立て役だったが、その関係はとげとげしいものではなかった。フランク・バーンズとは違って、ウィンチェスターは軍のことは意に介さなかった。彼の敵意は、元の指揮官ホレース・ボールドウィン大佐へのクリベッジ(トランプのゲームの一種)の借金のせいもあって東京総合病院から4077に転属になったことが一因だった。ホークアイやB.J.への敵対者として、彼がバーンズと違っていたのは、緊急手術(meatball surgery)が必要な時に行き過ぎた完全主義になることもあったが、明らかにすばらしい医師だということだった。ウィンチェスターは仕事の上ではみんなに尊敬されたが、同時に、ボストンの名家出身のスノッブだったので、他のキャラクターと多くの衝突を引き起こした。とは言え、脚本家はウィンチェスターに人間性を発揮させてもいる。例えば、右手が少し不自由になった若いピアノ奏者の治療や、ホークアイの父親が米本国で手術を受けた時にホークアイと徹夜したことや、匿名で孤児院にクリスマス・プレゼントを贈るという一家の伝統を続けることなどである。
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