ウォーナー伝説に対する反論とは? わかりやすく解説

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ウォーナー伝説に対する反論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/14 10:01 UTC 版)

ラングドン・ウォーナー」の記事における「ウォーナー伝説に対する反論」の解説

一方、この説を否定する説が後年唱えられた。1975年同志社大学オーティス・ケーリ文芸春秋誌において「京都原爆を落とすな-ウォーナー博士ほんとうに京都救った恩人なのか」 を発表し20年にわたる調査から、京都原爆投下避けられたのは陸軍長官ヘンリー・スティムソンよるものであるとした。1980年代には、立命館大学鈴木良スティムソン日記に「京都原爆を落とすのは対ソ戦略から政治的効果にマイナスになるから(投下しない)」とあることを指摘しウォーナー直接交流のあった五浦研究所初代所長稲村退三もウォーナー自身が「リスト作成したが、爆撃中止させるほどの権限はなかった」と述べていたことを記している。 1994年7月歴史研究者吉田守男は、学会誌日本史研究』に『ウォーナー伝説批判』という論文発表し、(同リストは)戦争中文化財保護目的とするよりは、休戦時に、「枢軸国博物館やその指導者私的コレクションのなかから被侵略国に引き渡されるべき損害対す返済用の一等価値美術品歴史的公文書リスト」であることを明らかにした。これは後に『日本古都はなぜ空襲免れたか』(朝日文庫)、『京都原爆投下せよ』角川書店刊の改題)にまとめられた。吉田研究によればウォーナー文化財保護の話はGHQ民間情報教育局情報工作による宣伝で、事実異なるとする。吉田によればウォーナーリストは、単なる文化財保護目的ではなく占領地域での文化財保護し、(ナチスなどが)略奪した文化財返還させ、弁償させるために作成したリスト日本版であったリスト記載され文化財名古屋城岡山城など空襲によって焼失したものは多数存在するまた、実際に京都でも東山区馬町1945年1月16日)、右京区太秦4月16日)、右京区春日3月19日)、上京区西陣6月26日)、そして京都御所5月11日)など計20回以上の空襲に遭っており、原爆投下候補地にもなっていた。京都結果的に大規模な空襲免れたのは、原爆投下目標として温存されたためである。奈良大規模な空襲こそなかったが、小規模な空襲機銃掃射多々あった。 2007年には毎日新聞が、オーティス・ケーリ五百旗頭真調査により、京都原爆投下候補地から外したのは実は陸軍長官ヘンリー・スティムソンであり、戦前京都訪れ日本文化愛していたスティムソン配慮依るのだったという説を報道ケーリ五百旗頭調査2010年紹介した比較文化史家東京大学名誉教授平川祐弘は、ウォーナーの他にも日本の文化保護立役者と言われている人物複数いるがどれも根拠薄弱であると述べ、「外国人感謝するのもいいが、するなら根拠のある感謝をしてもらいたい」「ウォーナー伝説日本では美談扱いだが、米国では日本人感傷的な歪(ゆが)んだ外国認識実例として研究対象にされた」と痛烈に批判している。 なお、歴史家鎌倉世界遺産登録推進協議会広報部会長内海恒雄は、ウォーナーリスト解説に「(日本の文化財の)破壊大損害であり、戦禍免れた世界文明国利益計りしれないと書き添えられていたことを指摘している。

※この「ウォーナー伝説に対する反論」の解説は、「ラングドン・ウォーナー」の解説の一部です。
「ウォーナー伝説に対する反論」を含む「ラングドン・ウォーナー」の記事については、「ラングドン・ウォーナー」の概要を参照ください。

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