【強撃5】(きょうげきご)
中国国産初の攻撃機。
強撃5のほか、強-5やQ-5、A-5ともいわれる。
また、中国語読みに従い「ファンタン」とする資料もある。
強撃5は南昌飛機製造公司(後の洪都航空工業集団)で1958年に開発が開始され、ソ連製のMiG-19のライセンス生産型である殲撃6をベースとする形で進められた。
設計においては諸外国の機体を参考にし、MiG-19とは全く別機と言える程の外見となった。しかし、後退角の強い主翼や双発エンジンを装備した尾部にMiG-19の面影を見ることが出来る。
胴体左右に配したエアインテークとレドーム状の機首に加え、その上多くの兵装を積めるように全体的にMiG-19より機体が大型となった。
ちなみに、全天候能力は無い。
1965年に初飛行を成功し、1969年から量産機が生産された。
さらに実用化の改修が続き、本格的な実戦配備は1970年に入ってからになった。
強撃5は、パキスタン・バングラディッシュ、北朝鮮・スーダン等に輸出され中国では海軍が約100機、空軍では500機運用されていて、輸出を含めると生産数は800機を上回っている。
本機は固定武装に23IIK型23mm機関砲を2門搭載し、霹靂7・霹靂5赤外線空対空ミサイル、Kh-29(AS-14ケッジ)短距離対艦ミサイル、対地ロケット弾、爆弾等が搭載可能である。また、試作型は今では珍しい航空魚雷が搭載できた。
最新型では「雷霆2型(LT-2)」レーザー誘導爆弾が搭載可能となっている。
スペックデータ
乗員 | 1名 |
全長 | 15.65m(機首プローブ含む) |
全高 | 4.34m |
全幅 | 9.68m |
主翼面積 | 28.0㎡ |
空虚重量 | 6,375kg |
離陸重量 (クリーン時/最大) | 9,486kg/11,830kg |
最大兵装搭載量 | 2,000kg |
エンジン | 渦噴6型(WP-6/RD-9B改)ターボジェット(推力25.5kN/31.9kN(A/B使用時))×1基 |
最高速度 | マッハ1.12 |
実用上昇限度 | 15,850m |
航続距離 | 1,080nm |
戦闘行動半径 | 216nm(Lo-Lo-Lo)/324nm(Hi-Lo-Hi) |
固定武装 | 23IIK型23mm機関砲×2門 |
兵装 | 霹靂7(PL-7)AAM、霹靂5(PL-5)AAM、Kh-29(AS-14「ケッジ」)AGM、雷霆2型(LT-2)レーザー誘導爆弾、通常爆弾など |
派生型
- 強撃5型:
初期生産型。
胴体内に爆弾倉を搭載し、250/500kg爆弾を2発搭載可能。退役済み。
- 強撃5 防空試験機:
機首に火器管制用レーダーを搭載する全天候戦闘機型。試作のみ。
- 強撃5型甲(Q-5A):
核兵器搭載型。退役済み。
- 強撃5I型(Q-5I/A-5A):
乙型の改良型で正式量産型。
爆弾倉を閉鎖し主翼下にハードポイントを2箇所増設している。退役済み。
- 強撃5IA型(Q-5IA):
強撃5Iの改良型。
後方警戒レーダーやフレアディスペンサー、パイロンを増設した。
- 強撃5II型(Q-5II/A-5B)
Q-5IAにレーダー警戒装置を追加した型。
- 強撃5型乙(Q-5B):
ドップラーレーダーを装備し、魚雷2発を装備できる海軍型。試作のみ。
- 強撃5III型(Q-5C/A-5C)
輸出型。
Q-5Iをベースに西側アビオニクスを搭載し、マーチンベーカーMk10射出座席の装備やAIM-9空対空ミサイル運用能力が付与された。
- 強撃5M型(Q-5M):
イタリアのアビオニクスを搭載した強撃5IIの改修型。試作のみ。
- 強撃5K型(Q-5K):
フランスのアビオニクスを搭載した強撃5IIの改修型。試作のみ。
- 強撃5D型(Q-5D):
新型ドップラーレーダーを搭載し、C型を発展させた全天候攻撃型。
- 強撃5E/F型(Q-5E/F):
雷霆2型(LT-2)レーザー誘導爆弾の運用及び目標照射用のレーザー捜索/照準ポッドを装備する型。
E型はLT-2レーザー誘導弾2発を搭載し、F型は目標照射用のレーザー捜索/照準ポッドを搭載する。
- 強撃5G型:
胴体下部に固定式の増加燃料タンクを搭載する型。
- 強撃5J型:
複座練習機型。
- 強撃5(KLJ-7PD搭載型):
KLJ-7PDパルスドップラーレーダーを搭載し、翼端にAAM用パイロンが追加され、霹靂12の運用が可能になった型。開発状況は不明。
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