上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗とは? わかりやすく解説

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上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗

名称: 上田市八日堂の蘇民将来符頒布習俗
ふりがな うえだしようかどうのそみんしょうらいふはんぷしゅうぞく
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 信濃国分寺民講
選択年月日 2000.12.25(平成12.12.25)
都道府県(列記): 長野県
市区町村(列記): 上田市国分
代表都道府県 長野県
備考
解説文: 長野県上田市にある信濃国分寺境内では、毎年一月七日夕刻から八日にかけて、八日縁日開かれ縁起物を売る数多くの店が立ち並ぶなか、蘇民将来呼ばれる六角形木製護符頒布されている。八日堂とは信濃国分寺通称であり、この縁日近世以来年の始めに行われるこの地方交易の市としての役割果たしてきたとされているものである蘇民将来符は、上田市内をはじめ長野県東北部北関東方面から訪れ参詣者によって求められ除災招福願って家の戸口に吊されたり神棚などに置かれる
 蘇民将来符は、武塔神に姿を変えた須佐之男命蘇民将来歓待し、それによって本人とその家族だけは災厄免れ得たという『備後国風土記びんごのくにふどき】』逸文【いつもん】にみえる説話由来する護符で、当地では信濃国分寺所蔵する文明十二年(一四八〇)書写の『牛頭天王祭文ごずてんのうさいもん】』や元和年間一六一五-二四年)の作と伝えられる八日縁日図』などから、室町時代後期から江戸時代初期には、蘇民将来信仰に基づく木製護符つくられていたと推測されている。
 当地蘇民将来符は、信濃国分寺民講の人たちによって製作、頒布されている。民講は、国分寺門前代々家を構えてきた人たちで組織されており、講員になれるのは特定の家系限られている。蘇民将来符は、ドロヤナギの木を材料とし、形状笠形の上部をもつ六角形の塔型で、各面には大福・長者蘇民・将来子孫・人也の文字魔除け意味する紋様が墨と交互に書かれる。一センチメートルほどの「ケシ」と呼ばれる小さなものから、「平【へい】ジ」「二番中【にばんちゅう】」「中【ちゅう】」「大【だい】」の五種類が製作されそのうち「平ジ」と「二番中」が総数の約七割以上を占めている。国分寺では縁日向けて一万三千本を用意し民講の各家ではおよそ百体程度製作する民講がつくるものには、七福神恵比須大黒、その年の干支などが描かれ、絵民や民と呼ばれている。
 蘇民将来符の製作は、十二月一日の「民切り」と呼ばれる切り初め行事から始まる。国分寺境内にある民堂と呼ばれる作業場に、民講の人たちが集まり国分寺住職作業の安全を祈願した後、講の長老によって、六角形の塔型で胴部削り掛けとなった牛頭天王御神体が二体つくられ民堂の神棚境内にある牛頭天王石祠祀られる以後護符づくりが開始され護符一月七日夕方大護摩祈祷をしてから、国分寺と講の人たちによって別々に頒布される。国分寺本堂内と本堂階段両側仮小屋設けて七・八日の両日に、民講は本堂前の参道にて八日のみ頒布する。八日早朝から参道東西に講の人たちが【びつ】と呼ばれる木箱を置き、その上に護符並べる。東西売場位置は、家ごとに代々定められていて、その年に休んだ家や新たに参加する分家などは売場の一番下の位置店を出すまた、かつては「命の緒【お】」と呼ばれ護符の首を結わえて戸口などに吊すための麻ひも売られていたが、現在ではみられなくなっている。
 蘇民将来符のうち、「ケシ」は懐中携えられ、「平ジ」以上の大きさのものは疫病邪気などの災いが家に入らないように、また開運招福願って、家の戸口に吊されたり玄関軒下数十体も連ねて吊り下げられる神棚仏壇に置く家も多く特設設けている家もある。蘇民将来符は、一年後社寺などに返却せず、家で年々増やしていくものとされており、なかには百体を越える数を祀る家もみられる
 除災招福を祈る護符類は多くなかでも蘇民将来信仰に関する習俗各地伝承されているが、木製護符を出すところは多くはない。本件は、この種の習俗典型例一つ考えられまた、民講といった組織護符の製作・頒布に関する伝統的なしきたりみられるほか、その祀り方が独特であるなど地域的特色も豊かである。



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