『ジャスティス・リーグ』の制作
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「ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット」の記事における「『ジャスティス・リーグ』の制作」の解説
『マン・オブ・スティール』(2013年)の公開後、ザック・スナイダーは、『マン・オブ・スティール』、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016年)、『ジャスティス・リーグ』の3部作を含む5本の映画を中心としたDCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)の基礎を設定した。スナイダーの元のビジョンは、『バットマン vs スーパーマン』はフランチャイズの中で最も陰鬱で、シリーズはそこから希望に満ちたトーンになるものだった。しかし、『バットマン vs スーパーマン』は、その暗いトーン、ユーモアの欠如、スローペースなどが批判され、受け入れられなかった。この反響を受けて、配給元のワーナー・ブラザースとスナイダーは、今後のDCEU、特にすでに撮影を終えた『スーサイド・スクワッド』(2016年)と、撮影まで1ヶ月を切った『ジャスティス・リーグ』を再考することになった。スナイダーと脚本家のクリス・テリオは、『ジャスティス・リーグ』を当初の予定よりも希望に満ちたトーンに書き直した。撮影監督のファビアン・ワグナーは、スナイダーが「フランチャイズの他の映画のスタイル化された、彩度の高く、超ハイコントラストの色調から脱却する」ことを望んでいたと語った。 『ジャスティス・リーグ』の主要撮影は2016年4月に始まり、翌年の12月に終了した。数ヶ月後、スナイダー監督の『ジャスティス・リーグ』の複数のカットが、スナイダー監督の友人や家族に加え、ワーナー・ブラザースの幹部にも見せられた。カットには不完全な視覚効果ショットと部分的な音声ミキシングも含まれていたが、最終的なランタイムとピクチャー・ロックは完了した。後にスナイダーは、スナイダーカット完成までに必要なのは「いくつかのCGの微調整」だけで、基本的には「完成」したカットが複数あったと語った。フォーブスの寄稿者で映画脚本家のマーク・ヒューズは、スナイダーカットは90%以上完成していると報じ、デイリー・テレグラフは、視覚効果の専門家を引用して、ワーナー・ブラザースが映画を完成させるにはさらに3000万~4000万ドルが必要だと見積もっていると伝えている。スナイダーカットを見たワーナー・ブラザースの幹部らは、スナイダーが『バットマン vs スーパーマン』の批判を受けてトーンを軽くするためにかなりの努力をしたと感じたという。しかしながら、ワーナー・ブラザースはこの結果にまだ不満を持っていたという。 スナイダーの演出に不評だったワーナー・ブラザースは、大規模な再撮影をするために、マーベル・シネマティック・ユニバースの『アベンジャーズ』(2012年)や『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年)の監督を務めたジョス・ウェドンを雇った。ワーナー・ブラザースCEOのケビン・ツジハラは、『ジャスティス・リーグ』の長さを2時間を超えないように義務づけた。また、ワーナー・ブラザースは公開日を延期しないことを決定した。スナイダーはウェッドンが書き直したシーンを撮影することが期待されていたが、スナイダーの娘であるオータム・スナイダーが2017年3月に自殺した際は、ワーナー・ブラザースの要望に応えようと2人は協力していた。スナイダーは5月に辞任するまでの2か月間、気晴らしのために『ジャスティス・リーグ』の制作を続けていた。『ジャスティス・リーグ』をプロデュースしていた妻のデボラ・スナイダーも一緒にプロジェクトを離れた。 スナイダーが去った後、ウェドンは『ジャスティス・リーグ』の制作を完全に掌握したが、公開された映画ではスナイダーが監督のクレジットに名を残した。ウェドンは脚本に80ページ近くを追加し、ワグナーは、ウェドンのカットでは彼が撮影した映像の10%程度しか使用していないと推定している。作曲家のトム・ホルケンボーグは、ポストプロダクションの途中でダニー・エルフマンに交代する前に映画の音楽を完成させた。劇場公開のためにウェドンが書いたシーンや再撮影したシーンは、より明るいトーンとユーモアが特徴で、スナイダー監督のダークな演出で見られる暴力のレベルを下げていた。設定された上映時間を満たすために、90分以上のスナイダーによる映像が削除されたが、結果としては物語の基本的なアウトラインに沿ったものとなった。最初のカットはテスト視聴者からの評判が悪かったが、試写会では『ワンダーウーマン』(2017年)と同じくらいの高評価だったため、ワーナー・ブラザースはこのカットを進めることにした。『ジャスティス・リーグ』は2017年11月17日に劇場公開された。 批評家は、この劇場版のカットを「フランケンシュタイン」と表現し、明らかに2人の異なる監督の作品であることを示してた。『ジャスティス・リーグ』は、推定3億ドルの制作費に対して、6億5790万ドルの興行収入を上げた。推定損益分岐点である7億5,000万ドルに対して、この映画はワーナー・ブラザースに約6,000万ドルの損失を与えたとDeadline Hollywoodは報じている。この映画の成績の悪さから、ワーナー・ブラザースは、スナイダーが描いていた互いの繋がりの多いシェアード・ユニバースというビジョンから離れ、代わりにスタンドアローン映画やソロ・フランチャイズに焦点を当てることにしたという。
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