「FM東京」事件
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タイマーズはデビューシングル「デイドリーム・ビリーバー」発売直後の1989年(平成元年)10月13日、フジテレビの音楽番組「ヒットスタジオR&N」に出演した。予定曲目は「タイマーズのテーマ」→「偽善者」→「デイドリーム・ビリーバー」→「イモ」→「タイマーズのテーマ(エンディングバージョン)」の順であったが、1曲目を歌い終えて画面に2曲目の「偽善者」のテロップが出た所で、バンドは未発表曲を突然演奏し始めた。この曲はロックンロール調の軽快なテンポながら、歌詞では「FM東京」と連呼し、「おまんこ野郎」「なんでもかんでも放送禁止」「腐ったラジオ」「最低のラジオ」「政治家の手先」「こそこそすんじゃねぇ」と過激な言葉を交えてFM東京を罵倒。また、最後にネット局のFM仙台(現・Date fm)をも罵倒している。 曲中には司会の古舘伊知郎とGWINKOが突然の事態に困惑する表情や、永井真理子や伊東たけしなど出演者が驚き笑う様子も映された。曲が終わると、メンバーは何事もなかったかのように、3曲目の「デイ・ドリーム・ビリーバー」以降の予定曲を演奏。演奏終了後に古舘は「放送上不適切な発言があったようでございます。お詫びして訂正させて頂きます」とカメラに向かって述べ、「2曲目はリハーサルとはそっくり差し替えてくれましたですね~」とメンバー達に言い、罵倒ソング演奏を番組は事前に知らなかった旨を述べた。 この曲は、ZERRYの友人・山口冨士夫との共作でZERRY が作詞を担当したティアドロップスの曲「谷間のうた」が、FM東京とFM仙台で放送禁止にされたことと、タイマーズの「土木作業員ブルース」が放送禁止、放送自粛にされたことに対する抗議曲であった。後に、メンバーのTOPPIこと三宅は「番組に出るときに『ボス(注:ZERRY(忌野清志郎))、何かやらかしますか?』って言ったんです」と語り、PAHこと杉山章二丸は「前日にボスの所に行って、山口冨士夫さんのラジオの問題があって頭にきた、と。それで誰も入れない4人だけの所で話し合って。スタッフすら誰も知らない状態で決行したということで」と語っている。また、東芝EMIの宣伝担当だった高橋 Rock Me Babyは「あれをやる前に、北海道のフェスであの曲(「FM東京」)をやっていますので」と述べている。 放送後には、この行為が新聞に掲載される などメディアでも話題となった。この放送は生放送だったが、地方局の録画放送ではノーカットで放送した地域もあれば、タイマーズ出演部分のみ過去放送分に差し替えるなどすることで対応した地方局もあった。FM東京はタイマーズのこの行為への報復措置として、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}同じ東芝EMIに所属する松任谷由実の発売直前のアルバムであった『LOVE WARS』の曲を一切放送しないということを東芝EMIに通知[要出典]、またフジテレビはタイマーズに対して3年間の出入り禁止措置をとった。CSフジテレビTWOでの通常再放送では、該当部分をカットして放送されていたが、2009年の忌野追悼番組では自主規制音で該当箇所を消去した上で放送された。 後にZERRY(忌野)はこの行為について「実はテレビ局は大喜びだったんですよ。怒られるかなと思ったけど、プロデューサーとかニコニコしてました。苦情が殺到して反響があったって…」と述べている。PAH(杉山)は2014年に「演奏が終わった後はどんな気持ちだったか」という質問を受けた際「いや、意外と自然というか。そんなに大きな問題だと思ってなかったかなあ。後で映像も見ましたけど、特別な感情は無かったですね。」と語っている が、2017年初出のインタビューでは「ドラムを叩きながら、現場がわたわたしているのを見ているのは楽しかったですね。不謹慎ですけど、ドラムを叩きながら笑いそうになったんです。(中略)うわあ、みんな動いている、えらいことになるかもしれないぞと(笑)」と述べている。TOPPI(三宅)も「最高でしたね(笑)。演奏しながら、テレビカメラの向こうに、いろんな人が走り回ってるのが見えた。あんな光景は見たことなかったです。」と振り返っている。 司会を務めた古舘伊知郎は、ZERRY(忌野)が死去した直後、文藝春秋『週刊文春』のインタビューで「今でも鮮明に覚えているのは、リハーサルからガンガン過激な歌を歌っているわけですよ。ある曲でずーっと『フルタチイチロー』と連呼しているわけですよ。様子がおかしいぞ、と。リハーサルからイヤな予感がして楽屋を訪ねたんです。『気持はわかるけど、なんとか放送コードの範囲内でやってほしい』とお願いした」、「忌野は『古舘サンが言うから気をつける。だけどやりたいことはやるんで許してほしい』と曖昧なままで終わってしまった」、「結局、差し替えられて、半分ムカつきもしたが、アッパレというのもあった。終わってから(忌野が)謝ってきたが『古舘さんだから安心してできた』なんていうから、怒っている方がバカみたいになった。」と当時のことを回想している。 10月11日リリースのシングル「デイ・ドリーム・ビリーバー」はエースコックのスーパーカップのCMソングに起用されたが、直後のライブにてクライアントであるエースコックを誹謗する楽曲を披露している。この楽曲は上述の「FM東京の曲」の歌詞違いであった。 大晦日の「R&R BAND STAND(ロックンロール・バンドスタンド)」には始末書持参で出演。このライヴもNHKによって生中継され、「FM東京の歌」の歌詞を変えた「バンドスタンドの歌」や「明星即席ラーメン」が放送されたが、ZERRYが「グラッチェ、グラッチェ」と言い終わるといきなり中継会場からスタジオに切り替えられた。
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