「次世代特急車両」の開発開始と情勢の変化
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「JR北海道キハ285系気動車」の記事における「「次世代特急車両」の開発開始と情勢の変化」の解説
不祥事や経営問題については「北海道旅客鉄道」を参照 「スクラムチャレンジ2011」の最終年度となる2011年(平成23年)4月、JR北海道は「次世代特急車両」試作車の設計・製作に着手することとなった。同年度の環境報告書には次のように記載されていた。 動力性能向上と環境性能向上を両立させるモータ・アシスト式(MA)ハイブリッド駆動システムや複合車体傾斜システム等の要素技術を組み合わせた次世代特急車両の開発をスタートさせました。今後は、最高速度、曲線通過性能、加速性能の向上のほか、省エネルギー及び騒音・バリアフリー対応の実現に向けて各種検討を進めていきます。 また、2012年(平成24年)5月に発行された雑誌『鉄道界』には次のように試作車3両の計画が示されていた。 3.平成24年以降の具体的な計画(1)新製車両(中略)③次世代特急車両の新製これまで、次世代車両システムの技術開発としては、モータアシスト式(MA)ハイブリッド駆動システムや複合車体傾斜システム等の主要な技術について、イノベーショントレイン(キハ160一般気動車の改造)により基礎開発を行い、基本性能の開発段階を終了しています。次のステップとしては、省エネ・速達性に優位性が期待できる次世代特急車両の全体システムの開発に着手し、試作車3両の制作を計画しています。 — 佐々木 (2012, p. 50) しかし、JR北海道は長年厳しい経営環境の下、本来必要である設備投資や修繕が後回しになっていた実態があり、開発開始直後の2011年(平成23年)5月27日に発生させた石勝線脱線火災事故をはじめ、以降JR北海道社内では事故・不祥事が続発した。 この時点では「次世代特急車両」の開発自体は継続されていたが、2012年(平成24年)11月に策定された「スクラムチャレンジ2011」後の中期経営計画「中期経営計画2016」では、安全性向上や信頼の回復に主眼が置かれることとなり、「次世代特急車両」についての具体的記述は行われなかった。また、その後も続発する不祥事を受け、2013年(平成25年)11月のダイヤ変更から翌年8月のダイヤ改正にかけて、段階的に特急列車の速度引き下げやキハ261系の空気ばね強制車体傾斜取りやめを行い、加えて十分な予備車を確保して検査を行うようにするなど、JR北海道の都市間輸送に対する施策は速度向上から車両・軌道負荷の軽減への方針転換が目立つようになった。2013年(平成24年)度の環境報告書では「次世代特急車両」については次のような記載となり、速度向上等に関わる記述が削除された。 環境性能向上を両立させるモータ・アシスト式(MA)ハイブリッド駆動システムや複合車体傾斜システム等の要素技術を組み合わせた次世代特急車両の開発を行っています。今後は、省エネルギー及び騒音・バリアフリー対応の実現に向けて各種検討を進めていきます。 それでもなお「次世代特急車両」の開発は進められ、2014年(平成26年)5月発行の雑誌『鉄道界』には次のような計画が示されている。 4. 新型特急気動車(試作車)の開発現在、制作を進めていますモータ・アシスト式(MA)ハイブリッド駆動システムを採用した新型特急気動車の試作車3両を平成26年秋に導入し、走行試験を実施する計画です。また、この試作車により、振子方式と車体傾斜方式を組み合わせた複合車体傾斜システムも確認する予定です。 — 難波 (2014, p. 54)
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