《来てください》の敬語
「来てください」の敬語表現
「来てください」は、正しい敬語表現です。「ください」は「くれ」の丁寧語で、「来て」に「ください」を付けて、「来てくれ(来てほしい)」ということを丁寧に表現しています。ただ、目上の人などに実際に「来てください」と使うのはためらわれるのではないでしょうか。「来てください」は、一方的な命令のようにも感じられます。「来てください」の他の敬語表現についてみていきます。敬語は、丁寧語、謙譲語、尊敬語の3種類があります。丁寧語は、言葉の始めに「お」や「ご」を付けたり、文末を「です」や「ございます」などにして丁寧な言い回しをする敬語です。先述の「来てください」は丁寧語です。丁寧語は日常生活で広く使われており、比較的近しい間柄の人同士で使われることが多いです。「今度の休みはぜひ家に来てください」など、普段の生活でよく使われています。丁寧語よりも、謙譲語、尊敬語のほうが高い敬意を表します。
謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相手を立たせ、敬意を表す敬語です。「来てください」の場合、「来る」という動作をするのは自分以外の他人ですので、謙譲語はありません。
尊敬語は相手を高める表現をします。「来てください」の尊敬語は、「いらしてください」、「いらっしゃってください」、「おいでください」、「お越しください」です。それぞれ、「カジュアルな服装でいらしてください。」、「お足元が悪いので気をつけていらっしゃってください。」、「筆記用具などはこちらで用意しておりますので、手ぶらでおいでください。」、「駐車場はありませんので、電車またはバスでお越しください」といった感じで使います。
「来てください」の敬語の最上級の表現
「来てください」の最上級の敬語表現は何か、という問いの答えは一つではないため難しいです。「いらっしゃってください」、「おいでください」、「お越しください」はいずれも同等レベルの高い敬意を表しているとされています。「いらしてください」は、この三つより少しカジュアルな表現になります。「いらしてください」は「いらっしゃってください」を省略した表現です。日常では、短くて言いやすい「いらしてください」の方が多く使われています。「いらしてください」と「いらっしゃってください」この二つで迷った場合は、「いらっしゃってください」の方が丁寧な表現であることを覚えておくと良いでしょう。
「来てください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「来てください」の敬語表現を使ったビジネスメールの例文をご紹介します。「販売チーム各位
お疲れさまです。
本社人事部の〇〇(氏名)です。
明日の販売員向け研修について、改めてご案内させていただきます。
日時:〇月〇日〇時~
会場:本社会議室A
事前にお配りしましたテキストをお持ちの上いらしてください。
ご多忙の折恐縮ですが何卒よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
マーケティング部〇〇様
拝啓
寒冷の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
日ごろはご高配をいただき誠にありがとうございます。
今年も新商品の発表イベントを開催いたします。
詳しくは同封のリーフレットをご参照いただければと存じます。
当日は、新商品のサンプルもお試しいただけますので、ぜひいらしてください。
今後ともご支援ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
署名」
「来てください」を上司に伝える際の敬語表現
「来てください」を上司に伝える際には、「いらしてください」または「いらっしゃってください」と伝えるのが良いでしょう。「ミーティングルームにいらしてください」などのように表現できます。また、「資料室までいらっしゃっていただけませんか?」と質問の形にするとやわらかい雰囲気になります。上司や目上の人に対してより丁寧にお願いしたいという場合は、クッション言葉を使うことをおすすめします。文の始めに「クッション言葉」を置くことで、文全体がやわらかい雰囲気になります。クッション言葉には、「誠に勝手ながら…」や「申し訳ございませんが…」、「お忙しいところ恐縮ですが…」などがあります。「お忙しいところ恐縮ですが、資料室までいらっしゃっていただけませんか?」とすると大変丁寧な印象になります。
「来てください」の敬語での誤用表現・注意事項
「ご足労ください」という言葉は、間違った敬語表現ですので注意が必要です。「ご足労」とは、「足労」という言葉に「御」を付けた丁寧語です。「ご足労」とは、「本来は自分から行くべきであったところ、わざわざ労力をかけて来ていただいた」という意味です。「ご足労」という言葉そのものは丁寧ですが、「ご足労ください」とすると、相手から来てもらうことを強要しているような意味になるため間違った使い方です。「ご足労」は主に、こちらに来ていただいたお礼を述べる際に使われます。「本日はお忙しいなかご足労いただき恐縮です」、「猛暑の中ご足労いただきありがとうございました。」、このような感じで使われます。アポイントが確定している場合であれば、事前の会話でも使うことができます。「明日はご足労おかけすることになってしまいまして申し訳ございません」などのように使うことができます。「来てください」の敬語での言い換え表現
「来てください」の言い換えとして、「お立ち寄りください」という敬語表現もあります。「立ち寄る」の意味は、「近くに行く」、「ついでに寄る」です。ビジネスシーンなどよりもカジュアルな場面で使われることが多いです。「お立ち寄りください」は、「来てほしいと強く思っている」というよりも、「ついでがあれば…」と言ったニュアンスになります。来てくれたらうれしいという軽めの表現です。「世田谷に引越ししました。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。」などのように使うことができます。- 《来てください》の敬語のページへのリンク