《来る》の敬語
「来る」の敬語表現
「来る」の敬語表現としては、語尾に尊敬語である「られる」をつけた「来られる」が挙げられます。動詞の未然形「来(こ)」に、尊敬表現の接尾辞「れる・られる」を付け足した形です。さらに丁寧語の接尾辞である「ます」を付与して「来られます」と変化させれば、相手に丁寧に伝えることができます。なお「来られる」の他に、「お越しになる・お見えになる」なども「来る」の尊敬表現として用いられます。語尾に「れる・られる」を付け足した「来られる」よりも、敬意を増した表現として広く用いられる言葉です。一方で自分自身をへりくだらせる敬語表現である、謙譲語では「参る」に丁寧表現「ます」を加えた「参ります」が該当します。同様に謙譲の意味を含む「伺う」に丁寧表現を加えた、「伺います」も自身を下げて相手を高める敬語表現の一種です。敬意とは別に丁寧に伝えることを中心に据えた表現方法としては、「来る」の連用形に丁寧表現の「ます」を加えた「来ます」が挙げられます。
「来る」の敬語の最上級の表現
一般動詞の未然形に尊敬表現である「れる・られる」を加えて変化させた、「来られる」よりも上位の敬語にあたるのが「お見えになる」や「いらっしゃる・お越しになる」です。特に「お見えになる」は、目上の人がこちらにやって来るという意味を持つ尊敬表現として用いられます。「来られる」に関しては「お見えになる」や「いらっしゃる」よりもやや砕けた表現となり、親しい先輩や同僚など近しい間柄に対して使える表現になります。ちなみに現代ではほとんど使われていない「来る」の最上級敬語として挙げられるのが、「おはします」です。使用されていた時期は江戸時代にまでさかのぼり、当時の天皇・皇族といった身分の高い人々に対して使う表現でした。「おはす」は「来る」の他に、「(その場に)いる」の尊敬表現にもあたる言葉です。尊敬語の動詞「おはす」を連用形に変化させて、丁寧語の接尾辞「ます」を加えて敬意を表しつつ丁寧に伝える表現になります。ただし古文や歴史小説の中などに用いられることが大半であり、現代の口語・文語においては「お見えになる」や「いらっしゃる」などの表現を使うのが望ましいでしょう。
「来る」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールや手紙の文中で「来る」を敬語で表現する際、「お越しになる」が最適です。「来られる」はフランクな表現でビジネスシーンには向かない点、「いらっしゃる・お見えになる」に関しては既にその場に訪れていることを示す傾向が強い点が、それぞれが文中に用いられにくい理由として挙げられます。文例としては「先日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございました」といったように、「もらう」の謙譲語「いただく」を組み合わせて用いられることが多いです。また「大阪にお越しの際は、ぜひお声掛けください」といったように、連用形の名詞化表現「お越し」を使うこともあります。「来る」を上司に伝える際の敬語表現
直属の上司に対して、社長などその上司よりも上の立場の人物の来訪を伝える場合の敬語表現は「お見えになる・いらっしゃる」です。社長の他にも、取引先の担当者や顧客が来訪した際にも、「お見えになる」を用います。一方で顧客に対して、自分の会社の上司の来訪を伝える際には尊敬語は使いません。へりくだる表現である謙譲語を用いて、相手すなわち顧客への敬意を示します。謙譲の意味を持つ「参る」や「伺う」を未然形に変化させて、丁寧語の接尾辞である「ます」を語尾に足しましょう。「来る」の敬語での誤用表現・注意事項
「来る」の敬語表現に「来られる」を用いる際の注意点として挙げられるのが、人によって敬意を感じる度合いが異なる点です。一般的にはやや砕けた表現として捉えられるケースも少なくないため、より上位の表現である「お見えになる」や「お越しになる」を使った方が無難でしょう。また「お越しになられる」などのように、敬意を示す接尾辞「れる・られる」を付与すると誤用となるため注意が必要です。「お越し」や「お見え」には、既に尊敬の意味が含まれているためそこに「られる」を付け足すことで、二重敬語になってしまいます。「来る」の敬語での言い換え表現
「来る」の敬語である「来られる」や「いらっしゃる」、「お見えになる」などの言い換え表現として挙げられるのが「おいでになる」です。「来る」だけでなく「居る」の尊敬語にあたるのが「おいでになる」であり、「いらっしゃる」と同義の言葉になります。なお尊敬表現としての使い方の幅は広く、動詞や形容詞を連用形にした上で、助詞「て」と併用して動作に敬意を示すことも可能です。語尾を尊敬表現の接尾辞である「なさる」に変化させた、「おいでなさる」も言い換え表現として用いることができます。会話内で用いる際には、丁寧な表現となる「ます」を語尾に加えて表現するのが一般的です。「いらっしゃる」と同じ意味を持つ言葉であるため、既に来訪していたりまもなくやって来る際に用いられます。また同じく丁寧表現である「です」を語尾に加えて、「おいでです」と表現することも可能です。こちらは「お越し」と同様に、連用形に変えて名詞化させた上で丁寧語の接尾辞を加える形になります。
《来る》の敬語
来るの敬語表現
「来る」の敬語表現は、尊敬語、謙譲語、丁寧語でそれぞれ異なります。「来る」は相手が自分にとって敬意を払う相手ならば、尊敬語である「お見えになる」や「来られる」が用いられますが、語尾を「れる」や「られる」に変えた「来られる」は、語頭に「お」を付けた「お見えになる」よりも尊敬の度合いが低くなってしまうため、より敬意を払う相手に対して使うのであれば、「お見えになる」の方が無難です。自分が来るのであれば、「参る」や「伺う」を使います。「参る」は、基本的に場所に対して敬意を払うときに使う言葉であり、「行く」の謙譲語として用いられることも多い言葉です。一方で、「来る」の丁寧語として使われることも多く、会話をしている相手に対し、へりくだった言い方をするときにも「参る」を使います。何に対して敬意を払っているのか、はっきりさせないと誤用につながってしまう恐れもあるため、注意が必要です。「伺う」は「訪問する」ことのへりくだった言い方であるため、「参る」よりも使いやすい敬語表現ではないでしょうか。また、「伺う」は「お~します」の表現にすることができるため、ただ「伺います」よりもさらに丁寧な「お伺いします」と表すことができます。「来る」の丁寧語は語尾に「ます」をつけた「来ます」になります。後輩や同僚など、対等な関係の相手に使うのであれば問題ありませんが、上司や取引先など、目上の人に使う場合には不適切な表現となってしまう場合もありますので、使いどころには注意が必要です。来るの敬語での誤用表現・注意事項
「来る」の敬語表現において、誤用表現として「参る」の使い方が挙げられます。「参る」は基本的に場所に対して敬意を払う場合に使う言葉ですので、会話をしている相手が目上の人だからと言って、「実家に参ります」というのは誤用になってしまいます。ただし、会話をしている相手に敬意を払う場合や、「来る」を丁寧に言う場合にも「参る」を用いる場合があるので、注意が必要な表現です。「伺う」も注意が必要です。「伺います」で十分敬語表現ですが、さらに丁寧な言い方として、「お伺いします」と言うことが可能です。ですが、「お伺いいたします」にしてしまうと、二重敬語になってしまうため、注意が必要です。丁寧にしているつもりであっても、誤用となってしまうこともあるので、どのような敬語表現があるのか、理解しておくことが重要です。来るの敬語での言い換え表現
・来ます・来られる・お見えになる・お出になる・お越しになる・いらっしゃる・参る・伺う・お伺いする- 《来る》の敬語のページへのリンク