《松明》の正しい読み方
「松明」の正しい読み方
松明には「しょうめい」「たいまつ」の2通りの読み方があり、どちらの読み方も正しい。松明を音読みすれば「しょうめい」となり、訓読みすれば「たいまつ」となる。「たいまつ」は熟字訓といわれる読み方で、熟字訓とは2字以上の漢字の組み合わせで単語をつくる熟字に訓読みをあてた読み方をいう。熟字訓は、熟字それ自体に一つの読み方をあてているため、単字単位に分解して読んでも意味をなさない。そのため「まつあけ」「まつあかり」などと訓読みすることはできない。「松明」の意味解説
松明とは、火を用いて周囲を照らす照明具の一種。松の木の油を多く含む部分を細く割ってたばね、その先に火をともして明りをつくった。松のほかにも、竹やアシ、カヤ、おがらなどが資材として用いられた。松明には、照明として手に持つ灯火のほか、 一部分を土に埋めて固定し、主に儀式の際などに戸外で用いる柱松明や、戦闘時に敵陣に投げ込んで照明とする投松明など、さまざまな種類がある。また、松明は夜討ちの成否を占う手段として、投げて火が消えれば凶、燃え続ければ吉とする「松明の占手(うらて)」にも用いられた。松明を投げて吉凶を占うこの方法は、「松明占(うら)」といって民間にも各地で広がりをみせた。松明は日常生活の一般的な照明具として活用されたほか、日常生活以外にも祭りの神事や儀式、軍陣、葬送などといったあらゆる場面で、宮廷、武家、民間を問わず広く用いられた。なぜ「松明」と読むのか・理由
今では「松明」を「しょうめい」と読まず、「たいまつ」と読むのが一般的。「たいまつ」と熟字訓の読みをあてるのは、「焚き松(たきまつ)」から変じたものかと言われている。「松明」の類語・用例・例文
「松明」の類語には、薪をたばねて火をつける「炬火」、木枠に紙を貼り中に置いた油皿に灯をともす「行灯」、竹ひごに紙を貼り中に立てたろうそくで周囲を照らす「提灯」、ブリキなどで枠を作り周りをガラスなどで囲った中の灯芯で明りをとる「角灯」などがある。「松明」の用例・例文には次のようなものがある。「王子の金の鎧は、薄暗い森の中で松明のように光っていました。( 「ろまん燈籠」太宰治)」「秀麿も鍔の嵌まった松明を手に持って、松明行列の仲間に這入って、ベルリンの町を練って歩いた。(「かのように」森鴎外)」「そうして、まもなく古木邸だと思われる処へ来ると、その裏門のあたりで、松明の火がちらちら動いているのが見えた。(「風流太平記」山本周五郎)」など。「松明」の英語用例・例文
「松明」の英語は「torch」。用例として「to burn a torch」「in Japan, a Buddhist service called a pine torch service」などを挙げることができる。- 《松明》の正しい読み方のページへのリンク