総合感冒薬 広告・販売戦略

総合感冒薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/24 01:46 UTC 版)

広告・販売戦略

冬季の風邪シーズンに多く売り上げることからドラッグストアで目立つ位置に陳列されたり、特定の商品は大幅値引きしたり、ノベルティが貰えたりするなどの販促活動が活発である。また昭和30年代からは冬季を中心に風邪薬のテレビCMが放送されており、1980年代から現在にかけてはタレントを起用した各種広告が活発である。どの風邪薬も似たり寄ったりの成分であるため、イメージ戦略を通じて購買意欲を湧かせるものとされている。さらに2000年代からは風邪薬のテレビCMの開始時期が8月末頃まで前倒しして展開されるようにもなっている。

アンプル入りかぜ薬事件

1950年代当時は、錠剤や粉末状とは別の剤形の有効成分を水溶液に混合してアンプルに入れた「アンプル入りかぜ薬」が各社から発売されており、飲用することで即効性があるなどしたため需要はあったものの、解熱剤としてピリン系製剤(アミノピリンやスルピリンなど)が多く含まれていたため、ショックなどのアレルギーで死亡する消費者が続出、1959年から1965年までに38人の死者を出した。 厚生省1965年に製薬企業に発売停止や回収などを指示した[5]。しかし、その後もこの「アンプル入りかぜ薬」は販売されており、同年に国会の社会労働委員会で問題になるなどして、全面発売禁止命令が出されるまで販売が続いていた。これは「アンプル入りかぜ薬事件」(薬害)と言われ、同時期に社会問題化したサリドマイド薬害の事も踏まえて、医療用医薬品の一般消費者向けの宣伝広告が制限・禁止されるようになる。

なお、ピリン系製剤で副作用の頻度が少ないイソプロピルアンチピリンを主成分とした頭痛薬や総合感冒薬が、即効性を売りに販売されているが、ピリン系製剤のアレルギー体質でなければ過度の心配の必要はない。

PPA問題

PPAとは塩酸フェニルプロパノールアミン(Phenylpropanolamine)の英略称で、充血除去薬のひとつ。日本では別名ノルアドレナリンとも言われる、交感神経作用成分のことである。日本では認可された1956年よりとして、鼻づまりなどの症状に適応がある総合感冒薬やOTCの鼻炎薬に広く含まれており、交感神経を刺激することで、鼻腔毛細血管の拡張を抑えて、鼻詰まりを緩和する。

しかし米国では、PPAを服用することで食欲抑制効果があるとされ(日本では認可されていない)、食欲抑制剤として大量のPPAを服用した複数の者が、脳出血(出血性脳卒中)を発症し死亡例もあったため、2000年11月にアメリカ食品医薬品局(FDA)は、米国でのPPA含有製剤の自主的な発売中止勧告を発した。実際のPPAは鼻腔の毛細血管のみならず、心臓を通り全身の血管拡張を抑えることで巡りが早くなり、その結果脳出血のリスクが高まるとしたからである。

日本でも情報番組や報道で「国内の複数のかぜ薬にも含まれている」と大々的に報じ、その連鎖で対応に追われパニック状態となるドラッグストア等も見られたが、当時の厚生省は、米国ほど大量にPPAが含有されていないことを理由に、脳出血や心臓病・高血圧症の既往症者は投与禁忌とし、適正利用の指導を強化することで、発売を継続することにした。

しかし、国内でもPPA含有かぜ薬の過剰摂取や高血圧などの禁忌患者で脳出血を発症する例が生じているため、2003年厚生労働省が、PPA含有製品をプソイドエフェドリン(PSE)に代替するように製薬会社に通知した事から、供給メーカーは、PPAからPSEなどに代替した製品を販売している。PPA含有製品については外箱などに「PPA含有であること・投与禁忌者について・何か副作用が起きたら医師薬剤師に相談すること」などと記載された紙が貼付されたり、同様の内容を薬剤師が購入者に伝えるなどした上で、在庫限りで販売された。

この影響で、医療用医薬品の「ダン・リッチ」も、PPAを含有する薬品のため、2005年3月末で販売終了となった。


  1. ^ a b c “「風邪による咳に効く薬はない」米学会が見解”. CareNet. (2017年12月8日). https://www.carenet.com/news/general/hdn/45060 2018年6月1日閲覧。 
  2. ^ a b Fashner J, Ericson K, Werner S (2012). “Treatment of the common cold in children and adults”. Am Fam Physician 86 (2): 153–9. PMID 22962927. http://www.aafp.org/afp/2012/0715/p153.html. 
  3. ^ Malesker MA, Callahan-Lyon P, Ireland B, Irwin RS (November 2017). “Pharmacologic and Nonpharmacologic Treatment for Acute Cough Associated With the Common Cold: CHEST Expert Panel Report”. Chest (5): 1021–1037. doi:10.1016/j.chest.2017.08.009. PMID 28837801. 
  4. ^ 石原結実『東西医学』講談社、pp.87~90
  5. ^ [https://www.pmrj.jp/publications/02/pmdrs_column/pmdrs_column_72-46_12.pdf 薬事温故知新 第72回「アンプル入り風邪薬による ショック死事件」] 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス 2015年12月号(一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団)、2019年2月27日閲覧


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