PPA問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 10:10 UTC 版)
PPAとは塩酸フェニルプロパノールアミン(Phenylpropanolamine)の英略称で、充血除去薬のひとつ。日本では別名ノルアドレナリンとも言われる、交感神経作用成分のことである。日本では認可された1956年よりとして、鼻づまりなどの症状に適応がある総合感冒薬やOTCの鼻炎薬に広く含まれており、交感神経を刺激することで、鼻腔毛細血管の拡張を抑えて、鼻詰まりを緩和する。 しかしアメリカ合衆国では、PPAを服用することで食欲抑制効果があるとされ(日本では認可されていない)、食欲抑制剤として大量のPPAを服用した複数の者が、脳出血(出血性脳卒中)を発症し死亡例もあったため、2000年11月にアメリカ食品医薬品局(FDA)は、PPA含有製剤の自主的な発売中止勧告を発した。実際のPPAは鼻腔の毛細血管のみならず、心臓を通り全身の血管拡張を抑えることで巡りが早くなり、その結果脳出血のリスクが高まるとしたからである。 日本でも情報番組や報道で「日本の複数のかぜ薬にも含まれている」と大々的に報じ、その連鎖で対応に追われパニック状態となるドラッグストア等も見られたが、厚生省は、米国ほど大量にPPAが含有されていないことを理由に、脳出血や心臓病・高血圧症の既往症者は投与禁忌とし、適正利用の指導を強化することで、発売を継続することにした。 しかし、日本でもPPA含有かぜ薬の過剰摂取や高血圧の禁忌患者で脳出血を発症する例が生じているため、2003年に厚生労働省が、PPA含有製品をプソイドエフェドリン(PSE)に代替するように製薬会社に通知した事から、供給メーカーは、PPAからPSEなどに代替した製品を販売している。PPA含有製品については外箱などに「PPA含有であること・投与禁忌者について・何か副作用が起きたら医師・薬剤師に相談すること」などと記載された紙が貼付されたり、同様の内容を薬剤師が購入者に伝えるなどした上で、在庫限りで販売された。 この影響で、医療用医薬品の「ダン・リッチ」も、PPAを含有する薬品のため、2005年3月末で販売終了となった。
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