アミノピリンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 医薬品 > > 医薬品 > アミノピリンの意味・解説 

アミノピリン【aminopyrine】

読み方:あみのぴりん

解熱・鎮痛剤の一。白色可溶性の粉末ピリン剤一種発癌(はつがん)性があるため、内服では使われなくなった


アミノピリン

分子式C13H17N3O
その他の名称ジピリン、ピラミドン、アミノピリン、アミノフェナゾン、ジメチルアミノアンチピリン、Dipirin、Aminopyrin、Pyramidone、AminopyrineAminophenazone、Dimethylaminoantipyrine、4-(Dimethylamino)-1,2-dihydro-1,5-dimethyl-2-phenyl-3H-pyrazol-3-one、Pyramidon、3-Keto-1,5-dimethyl-4-dimethylamino-2-phenyl-2,3-dihydropyrazole、Amidofebrinoneoantipyrine、アミドフェブリノネオアンチピリン、1,2-Dihydro-4-dimethylamino-1,5-dimethyl-2-phenyl-3H-pyrazol-3-one、4-(Dimethylamino)-2,3-dimethyl-1-phenyl-3-pyrazolin-5-one、1,5-Dimethyl-4-(dimethylamino)-2-phenyl-1H-pyrazol-3(2H)-one、ジメチルアミノアゾフェン、4-(ジメチルアミノ)アンチピリン、ピラドン、ポリナリン、ピリドール、ノバミドン、フェブリニナ、ジメチルアミノアナルゲシン、ジマピリン、デレウマ、アミドピラゾリン、アナフェブリナ、アミドフェナゾン、アミドフェブリン、アミダゾフェン、アミドピリン、Febrinina、Dimethylaminoanalgesine、Dimapyrin、Dereuma、Anafebrina、Amidopyrazoline、Amidophenazone、Amidofebrin、Amidazophen、Amidopyrine、4-ジメチルアミノフェナゾン、フェブロン、ピロミジナ、イタミドン、ブルファネウクソール、アミドフェン、(ジメチルアミノ)フェナゾン、ジメチルアミノフェニルジメチルピラゾロン、4-Dimethylaminophenazone、Febron、Piromidina、Itamidone、Brufaneuxol、Novamidon、Amidophen、(Dimetylamino)phenazone、Dimethylaminoazophene、Dimethylaminophenyldimethylpyrazolone、4-(Dimetylamino)antipyrine、Pyradone、Polinalin、Piridol、1,5-Dimethyl-2-phenyl-4-(dimethylamino)-1H-pyrazole-3(2H)-one、1,5-Dimethyl-2-phenyl-4-(dimethylamino)-4-pyrazoline-3-one
体系名:1,5-ジメチル-2-フェニル-4-ジメチルアミノ-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン、4-ジメチルアミノ-1,2-ジヒドロ-1,5-ジメチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン、4-(ジメチルアミノ)-2,3-ジメチル-1-フェニル-3-ピラゾリン-5-オン、1,5-ジメチル-4-(ジメチルアミノ)-2-フェニル-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、4-(ジメチルアミノ)-1,2-ジヒドロ-1,5-ジメチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン1,2-ジヒドロ-4-ジメチルアミノ-1,5-ジメチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン、1,5-ジメチル-2-フェニル-4-(ジメチルアミノ)-1H-ピラゾール-3(2H)-オン、1,5-ジメチル-2-フェニル-4-(ジメチルアミノ)-4-ピラゾリン-3-オン


アミノピリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/05 03:40 UTC 版)

アミノピリン
IUPAC命名法による物質名
薬物動態データ
排泄尿中
識別
CAS番号
58-15-1
ATCコード N02BB03 (WHO)
PubChem CID: 6009
KEGG D00556
化学的データ
化学式C13H17N3O
分子量231.29358
テンプレートを表示

アミノピリン(Aminopyrine)は鎮痛、抗炎症、解熱作用を有するピラゾロン誘導体の一つである。

13Cで標識されたアミノピリンを用いた呼気検査は肝機能試験におけるシトクロムP450代謝活性の非観血的方法として利用される。別名として アミノフェナゾン(Aminophenazone)[1]アミドピリン(Amidopyrine)[2] などとも呼ばれる。

性状

無色または白色の結晶で、においはない。クロロホルムエタノールエーテルおよび水に溶ける。水溶液は微アルカリ性。融点は107-109℃[2]

歴史

1884年、ルートヴィヒ・クノール(Ludwig Knorr)がアンチピリン塩酸亜硝酸ナトリウムを作用させて4-ニトロソアンチピリンを作り、さらに4-アミノアンチピリンを作った。1896年-1897年エアランゲン大学のヴィルヘルム・フィレーネ (Wilhelm Filehne) がこの4-アミノアンチピリンをN-メチル化合物としてアミノピリンを創製し、ヘキスト社が発売した[2][3]。解熱・鎮痛薬として19世紀後半から20世紀前半に広く用いられたが、副作用の問題から現在はほとんど用いられていない[4]。詳しくは後述

薬効

薬理作用

アミノピリンは、アンチピリン同様に解熱効果があり、効力はアンチピリンの約3倍[2]。鎮痛作用は、アンチピリンやイソプロピルアンチピリンより強い。また、消炎作用を有する。しかし、副作用の懸念から、治療目的の経口薬としては現在は用いられない[4]

過去の効能

日本において製造販売されていた当時の適用は、一般の熱性疾患、結核性熱インフルエンザ感冒などの解熱、頭痛歯痛神経痛月経痛関節リウマチなどの鎮痛であった[2]

副作用

1922年、シュルツ(Schulz)により重篤なアレギーナ様扁桃炎を伴う特異的な頸部疾患が発症し、その成因が無顆粒球症によることが報告され[5]、その後、アミノピリンによる血球減少は多くの追試がなされて因果関係が認められながらも広く一般に使用された[6]。無顆粒球症の発生率は、欧米人で1%以下、日本人ではさらに稀であるが、発生した場合の死亡率は20-50%である[4]

日本においては、アミノピリンとスルピリンが配合された一般用のアンプル入りかぜ薬の使用による重篤なショックで、1959年から1965年までの間に合計38名の死亡例が発生し(アンプル入りかぜ薬事件)、厚生省より製薬企業に対し製品の回収が要請された[7]

また、大量投与すると中枢興奮作用がみられ、痙攣を引き起こすことがある[8]

さらに、アミノピリンが消化管内でニトロソ化反応を起こし発癌につながる可能性が指摘され、使用禁止となる国々が増え、日本においても1977年経口での使用が禁止され[9]1979年には日本薬局方からも削除された[10]。このため、2008年現在では注射剤が一部の動物用医薬品としてのみ用いられている[11]

薬物動態学

代謝・排泄

ルバゾン酸の構造式

体内でグルクロン酸抱合され、または尿素と結合し、ルバゾン酸(Rubazonic acid)または Antipylurea となって尿中に排泄される。このために尿が赤色を呈する[2]

薬物相互作用

三環系抗うつ薬血漿アルブミンとの結合を競合的に阻害する[12]

出典

  1. ^ Aminophenazone — Compound Summary”. PubChem. The National Library of Medicine. 2008年6月12日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 日本公定書協会版『第七改正日本薬局方第一部解説書』廣川書店、1961年、pp. C51-54
  3. ^ M.P.SCHULTZ, "The use of amidopyrine in rheumatic fever", Arch Intern Med., 48, 1931, pp. 1138-1155.
  4. ^ a b c 田中潔『現代の薬理学』第15版、1988年、金原出版、pp 280-281, ISBN 4-307-03028-1
  5. ^ W. Schulz, "Über eigenarlige Halserkranking." Deut Med Wochensch, 48, 1922, pp. 1495-14989.
  6. ^ 伊藤宗元「特集 薬物治療のpitfall:薬物の副作用の現状と対策」『臨床成人病』1994年、24巻、5号、p. 601
  7. ^ 我が国の主な副作用被害事件と安全対策の強化の流れ 日本薬剤師会公式webページ(2008年11月27日閲覧)
  8. ^ L.S. Goodman and A. Gilman, "Analgesic antipyretics, Antiinflammatory agents", In The Pharmacological Basis of Therapeutics, 4th ed., Macmillan, 1970, p. 335.
  9. ^ アミノピリンを含有する医薬品の取扱いについて 昭和52年9月28日、薬発第1090号
  10. ^ 「日本薬局方沿革略記」『第十五改正日本薬局方』2006年、p. 12
  11. ^ 動物用医薬品副作用等情報集:成分別 各社製品一覧 動物医薬品協同組合公式webページ(2008年11月27日閲覧)
  12. ^ 藤原元始ら監訳『グッドマン・ギルマン薬理書』第7版、1988年、廣川書店、p. 511

「アミノピリン」の例文・使い方・用例・文例

  • アミノピリンという
Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



アミノピリンと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アミノピリン」の関連用語

アミノピリンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アミノピリンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアミノピリン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS