ミオグロビンとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 物質 > 化合物 > タンパク質 > ミオグロビンの意味・解説 

ミオグロビン


ミオグロビン

~RCSB PDBサイト「今月の分子」から~

Myoglobin - RCSB PDB Molecule of the month

タンパク質構造を語るには、ミオグロビンを抜きにすることはできません。なぜなら、タンパク質構造科学はミオグロビンの構造から始まったからです。

何年もの困難な仕事ののちJohn Kendrew同僚たちは、ミオグロビンの原子レベル立体構造決定し生物学理解していく時代基礎築いたのです。人類最初にかいま見分子構造は、PDBデータベースで得ることができますコード1mbn)。分子構造拡大し近く見てましょうまた、PDBファイル直接見て良いでしょう1)1960年代のKendrewたちと同じように、あなたもこのタンパク質美しくも複雑な構造にきっと驚くはずです。

Reference

CC Attribution-Noncommercial-Share Alike 3.0 Unported
Bio Wikiの記事を複製・再配布した「分子生物学用語集」の内容は、特に明示されていない限り、次のライセンスに従います:
CC Attribution-Noncommercial-Share Alike 3.0 Unported


ミオグロビン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/19 08:28 UTC 版)

ミオグロビン立体構造

ミオグロビン英語: myoglobin[1])(略: Mb)は、筋肉中にあって酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵する色素タンパク質である。クジラアザラシイルカなど水中に潜る哺乳類は大量の酸素を貯蔵しなければならないため、これらの筋肉には特に豊富に含まれている。一般に動物の筋肉が赤いのはこのタンパク質に由来する。

歴史

X線回折により三次構造が解かれた最初のタンパク質として知られる。1958年ジョン・ケンドリューらはマッコウクジラのミオグロビン結晶を使って2Å分解能でその全構造を明らかにした。

構造と機能

1本のポリペプチド鎖と1分子のヘムからなり、酸素分子を結合する。筋繊維中に広く見られ、球状タンパクで酸素を蓄える。153個のアミノ酸残基から成り、1個のヘムをもち、分子量は約1万7800である。タンパク質は8個のαヘリックスをもち、それらがヘムをとり囲んでいる。酸素分子はヘムの中央にある鉄に可逆的に結合する(酸素化)。

  1. 酸素の貯蔵(Long period oxygen storage)[1][2]
  2. 生体触媒(Biochemical catalyst)[3][2]
  3. 酸素透過の促進(Facilitation of oxygen diffusion)[4][2]
  4. 酸素バッファー(Oxygen bufferあるいはShort-time oxygen storage)[2]

酸素に対する化学親和力ヘモグロビンより高く、血中のヘモグロビンから酸素を受け取り貯蔵することができる。ミオグロビンの構造と機能はヘモグロビンと類似性が高いが、ヘモグロビンが四量体であるのに対してミオグロビンは単量体である点が大きく異なっている。外部酸素濃度が低い場合、例えば筋肉の酸素要求が血液からの供給を超えた場合などにのみ酸素分子を放出し、緊急時の酸素貯蔵庫として機能する。

毒性

ミオグロビンは筋挫滅、強い圧迫、激しい運動を受けた筋肉が解放されるとカリウム乳酸などと共に大量に流れ出し、クラッシュ症候群を引き起こす。ミオグロビンやヘモグロビンヘム色素は腎毒性があるため、高ミオグロビン血症[5]による急性腎不全(尿細管壊死)を招き(ミオグロビン尿症)の原因となる[6]

誘導形態

食肉中には、酸素型(オキシミオグロビン)、還元型、メト型3種の誘導型が存在する[7]

ミオグロビンとヘム鉄

メトミオグロビンはミオグロビンのヘム鉄が Fe2+ から Fe3+ に主に酸素により酸化されたものである。生きている筋肉においては、補酵素であるNADHシトクロムb4の存在下でメトミオグロビンの補欠分子族であるヘムFe3+ を通常のミオグロビンの Fe2+還元するメトミオグロビン還元酵素の活動によりメトミオグロビンの濃度は無視できるほど少量である。死んだ筋肉である食肉は、メトミオグロビンを除去するためのこの還元作用が働かず、ミオグロビンが酸化されてメトミオグロビンが過剰に生成され、それゆえ食肉が古くなると茶色のメトミオグロビンが蓄積されるものである。

脚注

  1. ^ H. Theorell Biochem. Z. 268 73 (1934)
  2. ^ a b c d 田村守、押野臨、「ミオグロビンの生理的意義」 生物物理 1976年 16巻 1号 p.1-13, doi:10.2142/biophys.16.1
  3. ^ P. George and D.H. Irving J. Colloid. Sci. II. 327 (1956)
  4. ^ J. Wyman J. Biol. Chem. 241 115 (1966)
  5. ^ 副島昭典、北本清、長沢俊彦、「高ミオグロビン血症を呈した急性腎不全症例7例の臨床的検討とその病態に関する考察」 日本腎臓学会誌 1982年 24巻 11号 p.1289-1298, doi:10.14842/jpnjnephrol1959.24.1289
  6. ^ 藤江正雄、古谷雅子、柳沢英雄 ほか、「ミオグロビン尿症による急性腎不全を呈したalcoholic myopathyの1症例」 日本内科学会雑誌 1985年 74巻 6号 p.786-789, doi:10.2169/naika.74.786
  7. ^ 泉本勝利、小沢忍、「食肉中のミオグロビンに関する反射分光法」 酪農科学・食品の研究 1993年 42巻 5号 p.A-157-A-169, doi:10.11465/milkscience.42.A-157

ミオグロビン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 03:04 UTC 版)

ヘモグロビン」の記事における「ミオグロビン」の解説

ヒトを含む多く脊椎動物筋肉組織見られる筋肉組織の色に赤と灰色があるのはこれのためである。タンパク質としての構造配列ヘモグロビンに非常に近いが、4量体ではなく単量体であり、cooperative binding英語版)を持たない酸素運搬よりも、酸素貯蔵のために用いられる

※この「ミオグロビン」の解説は、「ヘモグロビン」の解説の一部です。
「ミオグロビン」を含む「ヘモグロビン」の記事については、「ヘモグロビン」の概要を参照ください。


ミオグロビン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 06:44 UTC 版)

コオリウオ科」の記事における「ミオグロビン」の解説

酸素筋肉中に貯蔵するタンパク質であるミオグロビンは、すべてのコオリウオ骨格筋存在しない。ただし、コオリウオ科10種では、心筋の特に心室にミオグロビンがみられるコオリウオ心室心筋におけるミオグロビンの遺伝子発現は、少なくとも四つの別々の時代分けて失われていった考えられている。

※この「ミオグロビン」の解説は、「コオリウオ科」の解説の一部です。
「ミオグロビン」を含む「コオリウオ科」の記事については、「コオリウオ科」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ミオグロビン」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ミオグロビン」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



ミオグロビンと同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ミオグロビン」の関連用語

ミオグロビンのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ミオグロビンのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
JabionJabion
Copyright (C) 2024 NII,NIG,TUS. All Rights Reserved.
Bio WikiBio Wiki
Bio Wikiの記事を複製・再配布した「分子生物学用語集」の内容は、特に明示されていない限り、次のライセンスに従います:
CC Attribution-Noncommercial-Share Alike 3.0 Unported
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのミオグロビン (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヘモグロビン (改訂履歴)、コオリウオ科 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS