Springfield Model 1861とは? わかりやすく解説

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スプリングフィールドM1861

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/10 19:10 UTC 版)

スプリングフィールドM1861
スプリングフィールドM1861
種類 前装式ライフル銃
製造国 アメリカ合衆国
設計・製造 スプリングフィールド兵器廠
年代 19世紀中ごろ
仕様
口径 58口径(14.732mm)
銃身長 40インチ(1m)
使用弾薬 .58口径ミニエー弾
装弾数 1発
作動方式 パーカッションロック式
全長 1.4m
重量 4100g
発射速度 2、3発/分
最大射程 820~910m
有効射程 91~370m
歴史 
設計年 1861年
製造期間 1860年~1872年
配備期間 1861年~1872年
配備先 アメリカ連合国北軍
関連戦争・紛争 南北戦争
製造数 ~100万丁
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スプリングフィールドM1861は、南北戦争中にアメリカ陸軍(北軍)及び海兵隊が使用したミニエー形式ライフル・マスケットである。製造場所であるマサチューセッツ州スプリングフィールドにちなんで、「スプリングフィールド」と一般に呼ばれている[1]。南北戦争中に、北軍で最も多く使用された小銃であり、その射程、正確さ、および信頼性から好まれた。

概要

以前のモデルであるM1855との特筆すべき差は、M1861では通常のパーカッションロック式(雷管式)に機構を戻し、メイナード・テープ式雷管(Maynard tape primer)の使用を取りやめたことである(自動巻き取り型のテーププライマーは悪天候時の信頼性に欠け、製造に時間・コストがかかった)。さらにM1855と異なり、M1861では2バンド型(銃身と銃床を2個のバンドで固定する)は採用されなかった。

M1861は、持ち上げ式のリーフ式照門を採用した。2つのリーフがあり、片方は300ヤードに、もう片方は500ヤードに調整されており、両方を下げた場合は100ヤードに調整された。南軍が用いたイギリス製の1857年型エンフィールド銃は、ラダー式照門を使用しており、100ヤードから400ヤードまで、100ヤード刻みに調整でき、さらに照門を持ち上げると500ヤード以上に調整できた。エンフィールドの方が細かく照準を合わせることができるが、スプリングフィールドの単純な照門はより丈夫で、また製造コストも安かった。エンフィールドの照門は900ヤード(後のモデルではそれ以上)まで設定されており、500ヤードまでしかないスプリングフィールドより長かったが、実際の戦場では600ヤード以上離れた目標に命中させることは、どちらの銃を用いても運以外のものではなかった。照門の構造は違ったが、その他の点では2つの銃は類似しており、有効射程も似たようなものであった。

M1861のコストは、スプリングフィールド造兵廠で製造された場合は$20であった。需要が多かったため、民間の契約20業者も製造を担当した。M1861の製造業者で最も著名なのはコルト社で、いくつかの自社独自のマイナーチェンジモデルも製造し、「コルト・スペシャル」ライフル・マスケットと呼ばれた。変更点としては、銃身固定バンド、新型の撃鉄、新設計のボルスターがある。これらの変更は造兵廠でも採用され、スプリングフィールドM1863に取り入れられた。

M1861は三角型のスパイク型銃剣が装着できた。

訓練された兵ならば、500ヤードの距離である程度狙いをつけても、1分間に3発程度の発射が可能であったが、戦場での射撃距離はしばしばこれより短かった[1]

歴史

南北戦争開始時点では、M1861の供給は十分でなかった(多くの部隊はM1842滑腔マスケットやM1816を雷管式に改造したものを装備していた。どちらも69口径であった)。第一次ブルランの戦いの時点では、M1861はまだ供給されていなかったと思われる。しかしながら、時間の経過に伴い、より多くの連隊がM1861を受け取り、特に東部戦線に優先して供給された。スプリングフィールド造兵廠及び20の契約企業により100万丁以上のM1861が製造された[1]

M1861は米国で大量生産された最初のライフル・マスケットで(南北戦争前に少数生産されたライフルとしては、M1855、M1841ミシシッピ・ライフル、ハーパース・フェリーM1803がある)、その設計における大きな前進であった。しかし、南北戦争におけるM1861の役割は過大評価されているとする意見もある。熟練した狙撃兵が使用した場合はともかく、徴兵されたばかりで十分な射撃訓練(命中率より発射速度を上げることが優先された)を受けていない兵士が使用した場合には、命中率は高くはなかった。遠距離での正確性の欠如を補うため、南北戦争での銃撃戦は比較的近距離で、一斉射撃戦法で行われることが多かった。また58口径ミニエー弾は虹型の軌跡で飛翔するため、十分な訓練を受けていない兵士が撃った銃弾は、敵兵の頭上へそれた。これは特に戦争初期に発生しており、これを見越して兵士は下方を狙うように指示された。

現在

現在でも、南北戦争の愛好者やコレクターの間では、M1861はその正確性、信頼性と歴史的背景のため人気がある。実物は高価なため、Pedersoli、Armi Sport、Euro Arms等が、手頃な価格のレプリカを製造している。

脚注

  1. ^ a b c Brown P.401 [1]

参考資料

  • Earl J. Coates and Dean S. Thomas, An Introduction to Civil War Small Arms, Thomas Publications (PA); 1 edition (May 1990). ISBN 978-0939631254
  • Ian V. Hogg, Weapons of the Civil War, Chartwell Books (July 1995). ISBN 978-0785804307
  • Jerold E. Brown, Historical Dictionary of the U.S. Army, Greenwood Pub Group (2000/12/30). ISBN 978-0313293221

関連項目

外部リンク


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