EU(欧州連合)からの離脱:ブレグジット(Brexit)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:29 UTC 版)
「イギリスの歴史」の記事における「EU(欧州連合)からの離脱:ブレグジット(Brexit)」の解説
2016年6月23日にイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票が実施されその結果、僅差をもって離脱賛成派が過半数を占めたため、イギリスの欧州連合離脱(通称:ブレグジット/Brexit)が決定された。 これを受けて、キャメロン首相兼保守党党首が責任を取る形で辞任を表明し、2016年7月13日にキャメロン政権で内務大臣を務めたテリーザ・メイが、サッチャーに続く2人目のイギリスの女性首相兼保守党党首として就任した。キャメロン政権で外務大臣を務めたフィリップ・ハモンドを財務大臣に充て、ハモンドの後任として外務大臣にボリス・ジョンソン前ロンドン市長を起用した。 メイ政権は、それまでのエネルギー・気候変動省を新設したビジネス・エネルギー・産業戦略省へ吸収する代わりに新たに欧州連合離脱省を設置し、主にEU離脱問題を担当する閣僚ポストとして、欧州連合離脱大臣を新設した(第1次メイ内閣)。EU離脱により、英領北アイルランドとアイルランドの通関が復活すると、北アイルランドの民族主義者(アイルランド帰属派)との紛争が激化することを恐れた。そこでEU部分残留を可能にすることで、通関を不要にしたものだが、保守党内の強硬な離脱派などが反発し造反者が出たことが原因となり、2019年1月15日、ブレグジット(EU離脱)に関してEUとまとめた協定案が議会下院で、大差により否決された。一方、労働党が提出した内閣不信任案も、1月16日に僅差で否決され、メイ政権は続投することになった。 2019年5月24日、欧州連合(EU)からの離脱が行き詰まっていることを受け、メイ首相は退陣を表明。6月7日に党首を辞任後、後継就任まで党首代行として首相職に留任し、7月24日に第2次メイ内閣総辞職、ボリス・ジョンソンが首相(兼保守党党首)に就任した。 現在の政権は、第2次ジョンソン内閣(en)、2019年12月13日成立。 2020年1月9日、イギリス議会下院庶民院(定数650)は、欧州連合(EU)からの離脱のために必要な離脱関連法案を採決した。賛成330票、反対231票の賛成多数で可決した。これで法案は下院を通過。月内に上院でも承認され、成立する見込みで、1月末の離脱は事実上確実となった。離脱の方針が決まった2016年6月の国民投票から約3年半に及んだ混迷に、ようやく収束への道筋がついた。関連法案は、離脱条件を定めたEUとの協定案の批准に必要な法律。欧州議会も月内に協定案を承認する見通しで、英EU双方の批准完了によって英国の離脱が実現する。結果として英国は2020年1月31日午後11時(GMT)(日本時間同年2月1日午前8時)、欧州連合(EU)から脱退した。こうして2016年6月23日の国民投票以後3年半の期間を要して、1973年のEC(旧:欧州共同体、EUの前身)加盟以来の約46年に及んだイギリスのEUメンバー国としての地位に幕が下ろされた。ただし、EUとの現状の経済関係は2020年12月末まで継続する「移行期間」に入ったという状況下である。 ジョンソン首相はEUから早期に「完全離脱」するため、2020年12月末までにEUとの自由貿易協定(FTA)締結を目指しており、移行期間の延長は不要と判断。関連法案に移行期間の延長を禁止する条項を盛り込んだ。ただ、EUが過去にFTA締結に数年かかった例もあり、2020年12月末までに交渉をまとめるのは困難が予想される。ジョンソン政権が12月末までにEUとFTAを締結できない場合、英EU間の貿易は世界貿易機関(WTO)の規則に沿って行われ、関税が発生する恐れがある。 2020年1月より、中華人民共和国の湖北省武漢市から世界中に流行拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がイギリスにも流行拡大しその対策に追われる(イギリスにおける2019年コロナウイルス感染症の流行状況)。
※この「EU(欧州連合)からの離脱:ブレグジット(Brexit)」の解説は、「イギリスの歴史」の解説の一部です。
「EU(欧州連合)からの離脱:ブレグジット(Brexit)」を含む「イギリスの歴史」の記事については、「イギリスの歴史」の概要を参照ください。
- EUからの離脱:ブレグジットのページへのリンク