A380契約解除とそれに伴う経営悪化
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「スカイマーク」の記事における「A380契約解除とそれに伴う経営悪化」の解説
2014年7月29日、A380の納入受取に関する契約変更について協議中であると、日本経済新聞の取材で明らかにされた。協議自体は製造中の機体が初飛行した4月ごろから始まり、スカイマークはエアバスに対してはじめの2機の受取延期と残り4機の無期延期を申し入れていた。これに対してエアバスの提示した契約変更の条件(大手航空会社の傘下入り)や違約金が不適当なものであり、スカイマークは応じられないと交渉が物別れになっていた。29日にエアバス社は期日が来たため購入契約の解除を通告した。エアバスはスカイマークに対して大手の傘下入りを求めていないと強く否定している。エアバスと同社はA380の契約解除についての条件協議を続けるとしている。2014年12月の時点でスカイマークを契約解除された機体がまだ他社に納入されていないことが会員制写真投稿サイトのAirliners.netで確認されており、12月19日になってエアバス側が英国商事裁判所に対し、訴訟の準備を開始した旨、報道され、スカイマーク広報も追認した。 2014年7月31日の2014年第1四半期(4 - 6月期)決算短信によると、A380・A330の機材導入に多額の支出をしており、A380の契約解除による影響は、現時点で合理的な金額を見積もることが困難であり、相当金額の違約金負担が発生する可能性を記載し「継続企業の前提に関する重要事象等(ゴーイング・コンサーン)」を記した。対応策としてA330導入による輸送力の強化、高品質座席の提供による顧客の囲い込みとあわせ、不採算路線の休止と金融機関からの借り入れを進め、収益力を強化し経営基盤および財務基盤の安定化を図っていくと発表。8月14日にスカイマークが財務省関東財務局に提出した2014年4 - 6月期の四半期報告書で、同社担当監査法人の東陽監査法人も同報告書内で「事業継続に重要な疑義がある」と明記した。 2014年10月30日の2014年第2四半期(4 - 9月期)決算短信においても、A380問題は決着できずに引き続き「ゴーイング・コンサーン」が記された。A330に関しては想定していた結果が出ておらず、新機材投入に伴う新規投資や運航の不安定化が収益に影を落とす状況となっており、前回よりも厳しい状況になっている。路線撤退による余剰航空機材となったボーイング737-800二機を返却し、予備エンジンやフライトシミュレーターなどの固定資産も売却し、リースバック方式に移行して手元資金の確保に努めるとしている。 11月14日に関東財務局に提出した2014年4 - 9月期の四半期報告書で、10月31日付でフルフライト・シミュレーター3台(ボーイング737用2台で 4億3100万円、A330用1台で7億9700万円)と作業用車両36台(5億7000万円)を合計約18億円で売却し、11月からはリース方式に切り替えるセール・アンド・リースバック契約を10月31日に締結したことを報告した。大株主上位3者は西久保愼一社長が筆頭株主で持ち株比率9.78% (約893万3200株)、2位はパチスロメーカーの山佐(岡山県新見市)で 4.56%(416万7400株)3位がエイチ・アイ・エス(HIS)で約1%(約92万6100株)で、9月30日時点の発行済み株式数は9134万200株と報告した。同社担当東陽監査法人は四半期レビュー報告書で「現金預金残高が減少傾向にあり、今後の資金繰りに十分な余裕を確保できなくなる可能性がある」と指摘し、先行きの資金繰りを懸念する文言を加えた。 2014年度は、従来予想は3億円の黒字だったが、最終損益は136億円の赤字(前期は18億円の赤字)と2期連続の最終赤字となり、平成27年3月期通期の単独業績予想を下方修正すると発表した。円安による燃料費高騰や格安航空会社との競争激化で厳しい経営が続いている。
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