2600形への改造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/16 00:27 UTC 版)
「京都市交通局600形電車」の記事における「2600形への改造」の解説
600形から2600形への更新を兼ねた改造に際しては、2000形と性能、条件がなるべく合致するように配慮がなされた。その改造内容は下記のとおりである。 制御装置は2000形と同一の間接非自動制御式の日本車輌製造NC-579(マスターコントローラー)+NCH-452-RUD(主制御器)へ交換 ブレーキ装置も当然2000形と同一のM-18A弁を使用するSME非常弁付き直通ブレーキへ変更 装備機器増加への対応と、2000形と車体長を合わせ収容力を揃える必要から、車体を中央部で斜めに切断し、そこへドア部分を1m継ぎ足して車体長を10.7mから11.7mへ延長。継ぎ足し部分の補強として、中央ドア部の屋根裏に600形当時使用していたエアタンクを切って溶接 妻面中央の方向幕を2000形と同一の2段式方向幕へ変更。下段に行先を、上段には「連結車」または「ワンマンカー」をそれぞれ表示した。前照灯も2000形同様左右2灯とするため、方向幕の左右にあった通風器と経由地表示幕を埋め込み、その上部に各1灯ずつ灯具を埋め込んで取り付け 側面も、窓配置をD(1)3(1)D1 2 1 1(D:客用扉、(1):戸袋窓、数字:側窓数)として、客用扉を前部が2枚連接引戸、中間を引戸として前中式の左右非対称配置とし、後部扉を埋め込んでいる。この扉跡については2段窓と1段固定窓に分割した形で小窓を設けているが、扉は全車が最後まで木製扉であった 塗色も2000形同様のクリーム/コバルトブルーの専用色が採用され、前面窓下にオレンジ色のワンマンカー識別帯が入れられた。また、連結器についても2000形同様の電気連結器つきのトムリンソン式密着連結器が取り付けられている このように新造に近い大改造が施されたが、主電動機と台車は従来のものが流用された。そのため、主電動機はSS-50またはHS-302A、台車はKS-40Jとなっている。 車体は600形時代と同様の半鋼製のままとなっているがデコラ板等で更新され全鋼製並の室内となっている。 これらの改造により2600形は面目を一新し、前面は新造車並みに整形されたが、妻面幕板部周辺の形状と側面のウインドシル、ウインドヘッダー、それにガッターラインにかろうじて600形の面影が残るのみとなった。 なお、車体長が延びたことと、前扉の2枚連節戸化で戸袋部の奥行きが減少したことにより、台車の心皿中心間隔が約1,500mm延び、オーバーハングが短くなったこともあって600形時代に悩まされていたヨーイングが解消され、乗り心地が大きく向上している。 これらの改造工事は、2610 - 2612の3両がナニワ工機で実施されたほかはすべて交通局の直営で施工(壬生車庫内にあった壬生電車車両工場で施工)された。このとき培われたノウハウがその後の1600形・1800形・1900形などのワンマン化改造に生かされている。 こうして完成した2600形は、2000形ともども烏丸車庫に配属され、2000形と共通運用を組んで4系統に集中投入されて、ラッシュ時の連結運転及び昼間時のワンマン運転に充当された。両形式の増強に伴い、連結運転区間を西大路線・北大路線の全線と東山線の百万遍以北に拡大し、1966年には連結車の運用を10編成にまで増やしている。もっとも、2600形の改造は当初30両実施する計画であったが、1967年以降は京都市交通局が財政再建団体に転落してしまったため、18両が完成した段階で打ち切られた。
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