1600形への改造
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「京都市交通局600形電車」の記事における「1600形への改造」の解説
本形式の2600形への改造が打ち切られた後、京都市交通局ではワンマン化推進のため、在来車の改造によるワンマンカーを導入することとなった。しかし、2600形のような高コストかつ贅沢な仕様での改造は、2600形導入開始時にもまして悪化した交通局の財政状況では困難であり、またこうした大規模な改造工事の実施は短期間でのワンマン化を推進する上で障害となるため、改造内容を大幅に簡略化する方針が採られた。 こうして本形式の内、20年締替が未施工で残存していた612・655・662・667の4両および更新済みの59両を対象として、1966年から1968年にかけてナニワ工機、大阪車輌工業および交通局の直営(壬生車庫内にあった壬生電車車両工場で施工)でワンマン化改造工事が実施され、1600形1605 - 1667へ改番された。 1600形への改造に際しての基本方針は以下の通り。 ワンマン機能と安全設備への十分な配慮 ワンマン、ツーマンどちらでも運転が可能 連結運行は実施しない 在来部品の有効活用 この改造に先立ち、1965年には今後のワンマン改造の研究資料を得るために、800形866にMG(電動発電機)試験車と称される改造が実施された。改造内容はビューゲル自動起倒装置の取り付けと埋め込み式前照灯の露出式シールドビームへの改造、車内外スピーカーの設置と戸閉表示灯の取り付け、運転台正面窓の落とし込み式から押し出し式への変更及び電動ワイパーの取り付け、制御装置の間接制御から直接制御への改造、集電装置のZ型パンタグラフからビューゲルへの改造などである。 これらのコンセプト・試験結果を基にして決定された1600形の改造内容は以下の通り。 前照灯を60Wシールドビーム2基として、これを方向幕左右の通風器上部に取り付け 2000形や2600形と異なり連結運行を行わないことから、前面方向幕を1段式のままとし、その上部に「ワンマンカー」を表示した行灯を取り付け 電磁弁とエアを使用したビューゲル自動起倒装置を取り付け 運転台正面窓を落とし込みから押し出し式に変更するとともに、電動ワイパーを取り付け 正面左右にバックミラーを取り付け 運転台部分は運転席および料金箱を設けたことから、仕切りのHポールを後退。また、運転席には後部出口監視ミラーを取り付け、同時に出入口直後の立客の滞留による後部監視の困難をなくするために、座席を出入口一杯まで延長 室内灯は車内照度向上のため、カバーつき20W蛍光灯×16本からカバーなし20W蛍光灯×10本に変更 車体塗色は2000・2600形のクリーム/コバルトブルーの専用色ではなく、京都市電標準色のクリーム/グリーンのままとし、ワンマンカー識別用として窓下に赤帯を巻いた 20年締替(更新修繕)未実施車4両については、同工事も併せて実施 改造は、すでに2600形に改造された車両があったことから同時に複雑な改番(車両番号の変更)を実施されることになった。また、当初は1601 - 1667の67両を改造する計画であったが、後述するように路線廃止の急速な進捗により601・603・605・606の4両がワンマン化未施工のまま廃車されたことから、この4両に付番される予定の1601 - 1604は欠番となり1605(旧607)がトップナンバーとなった。こうして迅速かつ安価でワンマンカーを揃えることができたが、車体およびモーター・台車は種車のままであったため、車体のヨーイングに引き続き悩まされることとなった。
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